しらの風景

自然と野鳥や生き物が大好き!自然の中には学びがいっぱい。
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戦場を伝える。(11/5*土)

2005-11-05 | 平和大好き!
今日は午後から金大祭のイベントで、ジャーナリストの野中章弘氏の講演『戦争の真実を追って~進行するメディアの衰弱、埋もれゆく声なき声~』をぜひ聞きたいと思って聞きにいった。
野中章弘さんは、世界の戦場の現場を取材しているジャーナリスト。話の合間に世界各地の戦闘の場が映し出され、彼と一緒に仕事をしている若いジャーナリストがイラクの現場を取材撮影した映画“リトルバード”も冒頭の部分が流された。(先日金沢のシネモンドでも上映されていましたよね!)
野中氏の話の中で印象に残ったのは、「日本の新聞やテレビに歪みが生じている。そして、ジャーナリズムの衰退。みんながものを考える力が弱くなってきている。声高の人、断定する人に耳を傾けている。大切なのは、自分の頭でものを考え自分の声で話すこと。思考の筋肉を鍛えていくこと。今、日本のジャーナリストは自分の意見を持ち発言できる人が少ないので海外のジャーナリストと議論できていない。そして、情報が沢山あるほど本当の情報が見えなくなってきている状態。真義を確かめる間もなく情報が流れていき本質がずらされている。イラクの現場でされているアメリカのピンポイント攻撃は、はずれも多い。当たった時だけ発表している。そして、多くの市民の犠牲はやむえない犠牲といわれて片付けられている。アメリカの掃討作戦とは、村全体を包囲していっせい攻撃をすること。米兵の死者は2000人。イラク市民の死者の数は調べられてない。おそらく3万人~10万人以上。イラク戦で流された多くの映像は1.戦車 2.イラク施設の破壊 3.ミサイル であった。ここで少なかった映像はイラク人の被害者の映像。この映像が世界にもっと多く流れたらもっと反対の声があがったはずである。なぜこうなるのかというと、ジャーナリズムの世界で生きる人たちがひとり一人の信念や価値観で生きるのではなく、組織の価値観で行きているから。これは対立関係にある。また、政府とジャーナリズムも対立の関係。日本はパブリックがない国。しかし、政府のもたらした結果を引き受けるのは国民。小泉さんの中には小さな自己しかない。他者がない。現場で感じるのは、戦闘ではなくきちんと平和構築に向けての方法はあるはずだということ。」
質疑応答の最後に私は野中さんに聞いた。「せっかく沢山の情報の中から真実を伝えようとしている情報にたどり着いても、イラク市民のあまりの悲惨さ、先の選挙のショック。自分なりに何かをしていても時々ため息が出るときがある。野中さんの戦場に向うエネルギーはどこから来るのですか?」
彼は答えてくれた。「自分のために。自分が腐ってしまわないために。そして、少数であることを恐れてはいけない。時代の変化で、まともなことを言うほどおかしいと思われる今の時代。3日前に高遠さんに会った。彼女がその時に言った“微力であっても無力ではない”という言葉は心に染みた」と。そうだなそうだな、ひとり一人が自分に問えばいいんだ。これでいいのか?って。そして、それは真実の報道を知った時から始まるんだ。