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アイーダ 8月13日マチネ・ソワレ/14日

2011年08月14日 23時39分00秒 | 観劇

7月に次いで、アイーダ会いたさに遠征をしてしまいました。
今回も、週末を利用しての3公演。
楽の前週という時期ですが、観に来て本当に良かったと思える舞台でした。
前回7月16・17日との違いは、ファラオが勅使瓦さんから維田さんに。
アモナスロが、高林さんから牧野さんへ。
そして、ネヘブカが石倉さんから松本さんに変わりました。
観たかった組み合わせに、期待大です。

まずは、智恵さんのアイーダから。
ネヘブカが松本さんに変わったからかどうかは解りませんが、気付くとエジプトの港に到着し奴隷となった侍女たちが調べられている時、アイーダとネヘブカが互いを気遣っているのか手を握りあっていました。
『星のさだめ』でアイーダとラダメスが互いの気持ちを確かめ合うまでの間、ラダメスの前でのアイーダの態度が少しだけ毅然とした印象が強くなった気がします。
逆にラダメスがアイーダに対しての嫌らしさと言うか小憎らしさも増した気がします。
互いを意識しての微修正でしょうか?
今回の智恵さんですが、今まで以上に気持ちが前面に表れている感じです。
『ローブのダンス』で自責の念に捕らわれているアイーダがヌビアの民に勇気づけられていく心の変化は、いつもと変わらず明確に伝わってきます。
パッチワークのように様々な布を縫い合わせたローブは、捕らわれたヌビアの民が各々の大切な布を出し合って作ったであろうものだけに、アイーダの心を動かしたのでしょうね。
そのアイーダが父であり王であるアモナスロの身を案じながらも失意の民と自身を勇気づける『神が愛するヌビア』は、素晴らしいです。
特に14日、いつもよりも更に言葉を一つ一つ噛みしめるかのような歌い出し、アイーダの表情を観ている時、ふと平和だった頃のアイーダやヌビアの民の穏やかで楽しそうな様子が見えた気がしました。
その瞬間、涙が止められなくなりました。
こんなことも、あるんですね。
まるで、能の舞台を観ている時に、ふとイメージが広がるのと同じ感覚でした。
『この世の苦しみ』13日ソワレの智恵さんに心が締め付けられ、心の中で『気が済むまで泣きなさい。』と言って、抱きしめてあげたくなりました。
そして、『迷いつつ(リプライズ)』。14日は『神が愛するヌビア』同様に歌詞を丁寧に歌い上げていました。
本当に、素晴らしいアイーダ。さらに、好きになりました。

阿久津ラダメス
直前まではハイトーンの伸びも良く、素晴らしと聞いていたのですが、13日はマチネではファルセットがかなり厳しく、声を潜めた台詞でも声が出にくいことを感じさせました。
歌声は、しっかり歌い上げてしまえば大丈夫なだけに、一見さんであれば意識に残らない方もいらっしゃったのではないかと思いました。
ソワレは幾分持ち直しましたが、やはりファルセットは弱く、それが影響をしたかは定かではありませんが、『この父親にしてこの息子あり』で、『~支配はできない。どんなに押し付けても~』の台詞が『どんなに○×△□も~、受け入れは、せ~ぬ~。』に。
阿久津さんでも、こんなことがあるんですね。
14日は、前日と比べるとかなり良くなっていました。
月曜の休演日で回復されることを、願っています。
声の件を除けば、いつもと変わらぬ素晴らしいラダメスです。

大和アムネリス
愛の物語では、ケースから出る前に足下を見てしまうのは、相変わらずのようです。
『時は古代エジプトの物語~』以降が、今までよりも歌いあげると言うより語り的なイメージに変わってきていました。
アムネリスデビューをしてから休みもないため、喉が少し辛くなってきたのかなと言う気もしてきました。
アムネリスの場合は、特に寝室のシーンで以前よりも可愛らしさが前面に出てきた気がします。
もっとも、自分が愛するのではなく、幼い頃から仲の良いラダメスが自分を愛してくれていると信じているためにはしゃいでいるようにも思えてきます。
この後のシーンも考えてみると、孤独な王女のイメージが強くなってきた感じです。
奴隷として入国し、侍女として使えることとなったアイーダに、短い時間のうちに信頼感を強くする事からも伺えます。
『どうもおかしい』
「お前は、ここに残って代わりに謝って・・・。」
「貴方はいつも、正しいことを言う・・・」
「お願いしているの、友達として。」
ゾーザーからバビロン衝撃の説明を受けた後、『今まで私が考えもしなかった事が沢山あるのね』でゾーザーに向けられる視線が厳しさを増してきた感じで、何も知らない自身とゾーザーの謀を悟ったかのようでもあります。
『真実をみた』では、走り去ったアイーダの姿を追う視線(間)が、気持ちを語っています。
牢獄でラダメスへの『一度でも私を愛してくれたことがあった?』には、微かな願いと受け入れなければならない現実への複雑な思いが滲み出ています。
審判のシーンでの判決を急ぐファラオを制する『この私が要求しているのです!』の台詞が迫力を増して怖いくらいです。
『愛するもの総てがいなくなり、間もなく私は1人きりになります』の言葉からも、アムネリスの孤独が伝わってきます。
アムネリスにとって、王女である自分は愛されるものであって、自分が愛することを知らなかったということでしょうか?
時の旅人となったアムネリスが、博物館で再会するアイーダとラダメスを見つめる目が穏やかなのは、アムネリスが初めて人を愛することが出来たことでもあるような気がします。

松本ネヘブカ
彼女のネヘブカが、やっぱり私は好きです。
捕虜として捕らえられても、他の侍女たちとは違いアイーダを気遣う様子が良く解ります。
アイーダもまた、ネヘブカに対する信頼が厚いことも解ります。
『ローブのダンス』でアイーダにローブを差し出す時も、アイーダへの想いと、ヌビアの民に対して踊れと指示を出す様子も好きなシーンです。
『神が愛するヌビア』で1人1人を勇気づけているアイーダを励ますように歌い始めるシーンも、お気に入りの一つです。
ラスト、智恵さんと共に歌いあげていくのも、松本さんならではです。
アイーダの身代わりとなるシーンは、エジプト兵が入ってきた瞬間に『恐れていた事が起きた』とでも言うかのように伏せていた目を兵に向けています。
硬く握りしめた手にも、身代わりとなる恐怖と決意が感じられ、涙なしにみられません。
やはり、ネヘブカとしては、私の中で一番です。

金田メレブ
初見の頃から、理解出来るような不可解なような存在だったメレブですが、今回初めてメレブの死で涙が出てきました。
そーザーやアムネリスを皮肉混じりに茶化したり、酒を密売して黄金をせしめているかと思えば、アモナスロ脱出の計画をしたり、アイーダとラダメスの2人を冷静にみていたり。
そんなメレブも、10歳の時には既にエジプトに捕らわれていたことがアイーダをアムネリスの前に連れて行く途中に告白しています。
以来、故郷のヌビアへ帰る日を誰よりも待ち望んでいたはず。
脱出直前、アイーダを守り死んでいく事の無念さは、量り知れません。

牧野さんの父の顔の優しさと、王の顔の厳しさを見せるアモナスロも良いですね。
まだまだ、細かいことを書き出そうとしたら、枚挙にいとまがありません。

今回このカンパニーでアイーダという作品を観られたこと、それ以上に智恵さんのアイーダが大好きです。
この素晴らしい3公演と出会えたことを、神に感謝せずにはいられません。

楽まで1週間。
素晴らしい舞台で楽を迎えられることを、願います。

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ハービスの地下のエントランス前に、控えめなカウントダウンボードが設置されていました。

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大阪・四季劇場
2011年8月13~14日
アイーダ 井上智恵
アムネリス 大和貴恵
ラダメス 阿久津陽一郎
メレブ 金田暢彦
ゾーザー 飯野おさみ
アモナスロ 牧野公昭
ファラオ 維田修二
ネヘブカ 松本昌子
【男性アンサンブル】 黒川 輝
朱 涛
田井 啓
徳永義満
品川芳晃
河野駿介
江田あつし
森 健太郎
【女性アンサンブル】 加藤久美子
大村奈央
宝生 慧
杏奈
高橋亜依
濱田恵理子
駅田郁美