チケットが無くて諦めかけていたとき、マイミクさんから譲っていただけることになり観に行くことができました。
所沢市民文化センター ミューズマーキーはコンパクトでステージも観やすそうですが、ロビー(と呼べるものか?)が極めて狭くて、終演後の大混雑が観る前から想像させられました。
夏休みと言うこともあり、客席は子供たちが大勢!
にもかかわらず、ライオネルの「みなさん、こんにちは~!」に「・・・」と、ほとんど応える子どもは無し。
二回目の「こんにちは~!」には、半分くらいの子どもが応えたのかな?
でも、三回目には、会場中から元気な声で「こんにちは!」と。
既に大汗をかいている分部君も、ホッとしたような笑顔を見せました。
新ライオネルの分部君、竹内君に負けず劣らずの大汗かきです。
でも、なかなかの爽やかなイメージのライオネルです。
「すてきな気持ち」は、表情に変化が少なくて、ちょっと残念でした。
もう少し、ワクワク感が出てくると良かったのですが・・・。
スワガードの脇坂さんは、思っていた以上に面白かったです。
あまりおネエっぽさはないのですが、低い声とキレのある動きとコミカルな部分のギャップがあるので、子供たちの笑いを取っていました。
ライオネルにナイフを投げるとき、ブーツに指が入らなくてもたついてしまったので、ナイフを投げている感じが薄れてしまいました。
その分神保さんがナイフの柄を楯で上手く引っかけていたので、必要以上に揺れていてスワガードが相当な力で投げたように見えました。
松元恵美ちゃんのジリアンは、歌声もルックスもイメージに合っていてとても良い感じです。
ただ、白鳥の王様でスワガードの槍に身を挺してライオネルを守ろうとするときの姿は、美緒ちゃんの方がキレイだなと感じました。
前回と変わった点の一つは、ライオネルの台詞。
終盤、猫に戻れなくなったライオネルに、ステファヌス博士が
「ここに留まって、儂と一緒に暮らしたければ、そうしても良い。
それなら、二日間の人間の記憶を消してやろうか?」と語りかけます。
それに対して、ライオネルは「とんでもありません!」と。
DVD(2008年NHKホール)や2013年7月(前回公演)に自由劇場で観たときは、今回と同様に「とんでもありません!」だったのですが、翌8月に観たときには「とんでもない!」に変わったのを記憶しています。
日本語としては、「とんでもない」が本来の表現であって、「とんでもありません」や「とんでもございません」は本来の表現が慣用的なものとして一般化してしまったものだそうです。
NHK放送文化研究所のWebサイト(https://www.nhk.or.jp/bunken/index.html)では、「とんでもない」をていねいに表現する場合の語法として、次のような言い方があります。「(~なんて、)とんでもないです・とんでもないことです・とんでもないことでございます」と紹介されています。
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/gimon/183.html
言葉は生きていて様々な変化が生じてくるので、明らかな誤用でなければ違和感の有無は人により程度の差はあれ許容されるものです。
「人間になりたがった猫」自体はLloyd Alexanderさんの作品を翻訳したもので、四季の公演は台本を作成した方の文章に忠実なんだと思いますが、どうなんでしょうね?
2002年にNHKで放送された栗原英雄さんがライオネルを演じたものも、「とんでもありません」です。
公演中に正規表現に変えたり、また台本に戻したり。
今は違和感を感じる人も少なくなってきているのかも知れませんが、1979年の初演の頃は違和感はなかったのでしょうか?
もう一つは、燃え落ちる白鳥の王様の外観セット。
以前のものよりも、建物感がしっかりした作りになっています。
ジリアンが助けを求めるバルコニーの下手側には、水でも入っているのかトリバーが引く荷車の樽(ステファヌス博士が隠れている)の様なものが柱の上に載っています。
壁や窓が焼け落ちるのは今までと変わりませんが、階段は途中で折れずに床に落ちてきます。
ジリアンを追って建物に入るスワガードは、今まではバルコニー下の窓から顔を出していましたが、今回は建物上手側の窓?から身を乗り出していました。
焼け落ちる窓や壁の落下は迫力があるのですが、階段や建物下手側の梁などはロープでゆ~っくりと傾いていくので、効果音と差が出てました。
最後は、スワガードに歌いかける「すてきな友達」。
悪者であっても火事場から助け出したライオネルが傷薬を求めても誰一人耳を貸さない中、語りかけるように歌うライオネル。
涙を流し謝罪するスワガード、下を向く人達の中で一人だけ微笑みを向けるのは子ども。
「いつもすてきな友達とこの手を繋ぐのさ」に続いて、子どもが歌い、そして全員で。
まるで、グリザベラとシラバブのようです。
この歌を聴いている恵美ちゃん、目に涙をいっぱい溜めてました。
観ている側も、思わず涙が出てきました。
印象に残っていたのが、高橋怜奈ちゃん。
オンディーヌに出演して退団したものだと思っていただけに、大きな目をクリクリさせて可愛い笑顔に安心しました。
ほとんど一新したようなメンバーですが、とっても素敵な舞台でした。
ステージ数を重ねてさらに良くなった舞台を、また観に行きたいです。