70歳台後半の女性。内科医院に高血圧症と糖尿病で通院していた。比較的急に下肢の浮腫が出現した。利尿剤を投与されたが軽快しないため、当院の内科新患を受診した。検査ではネフローゼ症候群を呈していたので、腎臓内科医に相談した。糖尿病腎症からネフローゼになったと思われるが、糖尿病腎症がそれほどない状態からなので、原発性糸球体疾患も否定できず、腎センターのある病院に紹介した。
結局糖尿病腎症としてのネフローゼと診断された。症状は経過したが、腰椎圧迫骨折を併発したため、腰痛で動けず、当院にリハビリ目的で転院となった。改めて外来カルテを見ると、喫煙による慢性閉塞性肺疾患(COPD)があり、けっこうぎりぎりの血液ガス所見だった。飲酒もかなりの人だった。やせてガラガラ声でしゃべり、タバコと酒の女性で見かけるタイプだった。リハビリをするとしても、一人暮らしの継続は困難と思われた。ソーシャルワーカーを入ってもらい、適切な施設に紹介することにした。さらに問題があった。浮腫で受診した際に、腫瘍マーカーを提出しているが、CEAとCA19-9が軽度に高かった。腹部エコーで膵臓に腫瘍はなかった。便秘や血便の症状はないが、大腸癌の検査も必要だ。