数年前に比べると、胃瘻造設の頻度は減ってきた。80歳台後半から90歳以上の高齢者には、家族が希望しなければ胃瘻は作らず、末梢からの点滴とできるだけの経口摂取(日によって違うが数口)で経過を見ることにしている。88歳女性で脳梗塞でかろうじて歩行していたのが、寝たきりとなった。嚥下障害があり、1回誤嚥性肺炎になったが、少しだけ食べられる。このままだと、そう長くは持たないので家族に希望を聞いた。胃瘻造設の希望があり、明日消化器科医と造設することにした。多少は食べているので、胃腸の動きは大丈夫だろうと思われる。楽しみ程度に経口摂取もできそうだ。
先週消化器診療の集まりで、地域の基幹病院の医師が胃瘻造設の集計を発表していた。右肩上がりで件数は増えていた。以前と比べると、誤嚥性肺炎を診ている呼吸器科では高カロリー輸液にして後方病院へ転院させているそうだ。造設する消化器かでも術前に内視鏡で医を拡張させてから腹部CTを撮影して、大腸を巻き込まないかどうか確認してから施行しているという。当院はまだ入院日数に余裕があり、1~2か月点滴をしながら経過をみることができる。可能な限り、最期まで数口でも経口摂取させるのは自然な感じがする。嚥下できなくなった高齢者の医療には正解はないのだろうが。