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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

胃瘻造設

2017年12月06日 | Weblog

 昨日も胃瘻(器具)交換を行った。通常担当している消化器科医が、現在職場復帰リハビリ中で仕事を制限しているので、当方が行っている。週2例ずつ行っていて、こんなにも胃瘻で経管栄養を行っている患者さんがいるんだと驚いている。

 以前当院にいた先生が盛んに内視鏡的胃瘻造設(PEG)を行っていて、400例を超えてさらにせっせと行っていた。看護師さんが「PEG職人」と揶揄していた。造設時の内視鏡を頼まれて(消化器科の先生が忙しくて付き合ってくれない)、時々穿刺もさせてもらっていた。

 当時が全国的に胃瘻造設のピークで、その後は批判的な意見も出て、家族が希望しないケースも増えた。NHKで、胃瘻を広めた国際医療福祉大学外科の鈴木先生が、症例を選ぶようになり、全国の弟子たちを訪ねるという番組を流したのを見た。

 現在当院は症例を選んで行っているというか、あまり行わないようになっている。ちょっと前から「自然死」を勧める先生方の著書も出ていて、基本的には賛成だ。90歳前後の嚥下障害の患者さんには、胃瘻造設はしていない。最小限の点滴+数口の経口摂取で経過をみて、1~2か月の経過でお看取りしている。

 火曜日の胃瘻交換に98歳女性が来た。当院でさかんに胃瘻造設をしていたころの方で、「PEG職人」先生が作成していた。今年で12年目になる。四肢が拘縮して、すごい格好になっている。「あーあー」という発声しかできない。誤嚥性肺炎で入院することもなく、遠方の施設で経管栄養が行われている。やめることはできないので、今後も経管栄養は継続される。

 交換のため前回の器具を引き抜くと、胃内にあるはずの先端部がなかった。切れて、胃内に落ち込んだようだ。経鼻内視鏡で位置確認をしているが、取り出すことも㘅かえて、経口内視鏡に切り替えた。胃底部に先端があり、ワニ口鉗子で摘出した。スパッときれいに分離していた。そのままでも便に出ると思うが、分かった以上はそのままにもしにくい。めったにないことなので、経緯をメーカーに伝えることにした。

 今日は嚥下できないパーキンソン病(レビー小体型認知症)の68歳女性に胃瘻造設を行った。両側重症肺炎で地域の基幹病院へ転送して肺炎は幸いに軽快した。経口摂取はできず、当院に戻ってきた。年齢的にあきらめるということにはならないので、この方は行うしかない。

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