なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

すでに誤嚥性肺炎

2017年12月28日 | Weblog

 往診もしているクリニックからの紹介で、86歳男性がレスパイト入院として入院してきた。レスパイト入院は地域医療連携室で決めてしまうので、どんな患者さんがくるかわからない。入院予定が決まった後に、主治医からの診療情報提供書が後から送られてきていて、それを見せられた。

 誤嚥性肺炎を繰り返していて、家族が自宅に吸引器を設置して頻回に吸引していたそうだ。そもそも診断名「誤嚥性肺炎」なので、レスパイト入院ではなかった。これは一般入院でしょうと言ったが、もう遅い。

 はたして、入院した日にはすでに両側の誤嚥性肺炎をきたしていた(繰り返していて治りきっていないのだろう)。地域包括ケア病棟の看護師長さんから、とても当病棟では無理ですと言われて、一般病棟にすぐに移した。

 後で家族に話を聞くと、地域の基幹病院に誤嚥性肺炎で何回も入院しているそうだ。急性期対応の病院なので(超急性期を目指しているそうだ)、肺炎がある程度軽快すると、嚥下の状況を確認する余裕もなく退院にせざるを得ない。(ベットを空けもらえないと、当院からも重症の救急患者さんを紹介できない)

 胸部CTでは両側気管支に食物(か喀痰)があるのが見える。右下葉の肺炎はけっこうな範囲だった。何日も前から肺炎が起きていたはずと、家族に説明した。幸い抗菌薬投与で肺炎は軽快してきた。STさん介入で嚥下評価をしたが、経口摂取は到底不可能と判断された。

 まずは年内いっぱい肺炎の治療を継続することにした。口腔ケアをしても、経口摂取しなくても肺炎になるようでは、どうしようもないが、そうでなければ年明けに胃瘻造設を考慮することにした。

 当院では、肺炎の治療をして、嚥下評価もして、嚥下困難であればその後も対応を相談するところまで行っている。けっこうがんばっていると思うが、家族は基幹病院ではなくて当院で肺炎の治療を受けることに不満そうだった。今の病状で紹介して転院しても、1週間で戻されるが。

 病院の規模で役割は違うので、こういうのは順番が大事だ。まず基幹病院で治療を受けて、経口摂取できないことを説明されて、当院に転院して対応するというのが、家族の満足度が高くて一番いい。

コメント
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