なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

とりあえず無事退院~非代償性肝硬変

2017年12月27日 | Weblog

 非代償性肝硬変による腹水・浮腫で入院していた68歳女性は症状が軽快して無事退院になった。アルコール性ではなく、HBs抗原・HCV抗体陰性で、抗核抗体・抗平滑筋抗体も陰性だった。原発性胆汁性胆管炎(肝硬変)を一番疑っていたが、抗ミトコンドリア抗体も陰性だった。血液検査では原因不明になる。

 利尿薬静注(ラシックス・ソルダクトン)とサムスカ7.5mg/日内服で開始して、浮腫がほとんど消失して利尿薬は経口に変更した。腹腔穿刺はしないで済んだ。腹部エコーで確認すると、腹水はまだあるが、許容範囲?だった。

 10年前に両側卵巣子宮摘出術の既往があり、チョコレート嚢胞?と言われていたらしい。救急搬入時のCA125が13200と高値だった。腹水細胞診は陰性で、3週間経過したところでCA125を再検すると455に低下していた。昔、CA19-9の正常(?)高値例(100以上)を調べたことがあり、2年経過をみて癌と診断されなかった人たちは、右肩上がりにはならず、低下したりまた上昇したりという経過だった。治療なしで低下する時は癌ではないという結論になった。((膵乳頭部癌が自壊した時は下がることがあるらしい)CA125はどうなんだろうか。

 腹水・浮腫と腰痛で寝たきり状態になっていたが、多少介助して病室(個室)内のトイレまで歩行できるようになった。もう一息の感じだが、年末でもあり、自宅退院を希望された。

 糖尿病はこれまで混合型インスリン朝夕2回打ち(ノボリン30Rを42単位ずつ)だった。インスリン量からみて、2回打ちの適応ではないようだ。HbA1cは8.8%。今回管理しやすいインスリン強化療法に切り替えた。

 さて外来だが、腰部脊柱管狭窄症・腰痛症はこれまでの整形外科クリニックに通院したいというので、そちらは継続とした。肝硬変については地域の基幹病院消化器内科に肝臓専門医がいらっしゃるので、年明けの外来に予約をとった。腹水があり、生検はできないのだろうが、まだ60歳代なので一度は診てほしい。継続して診てもらえるかどうかはわからないので、退院時処方がなくなるころに当院内科外来の予約も入れておいた。 

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