内科の再来を診ていた。火曜日は診察に時間のかかる訳ありの患者さんを少数入れている。高血圧症・糖尿病で通院している54歳男性が眼科から回ってきた。
4月27日車を運転中に突然目の前が暗くなったそうだ。自宅で休んでから当院の救急外来を受診したが、連休明けに眼科受診となった。その目の前が暗くなる症状と左眼の奥の疼痛が断続的にあった。
今日は視力障害と眼痛はないが、発症してからずっと嘔気があって、食事をあまりとれていないという。血液検査では血液濃縮で脱水症を呈していて、腎機能も通常より悪い。
意識は清明で特に麻痺はない。運動失調もないようだ。眼科では視力両側1.0で良好だったようだ。症状が間欠的である点がわからなかった。脳神経の問題ならば持続すると思った。
神経内科医に相談すると、てんかんなのかもといわれた。頭部MRI検査の最中だったので、まずMRIの結果を診てから考えることになった。
放射線室から連絡がきた。視交叉のところに腫瘤があるという。神経内科医と放射線科医がすでに来ていた。急遽造影MRIを追加することになった。固い台の上にいると腰痛がひどいというので、いったん終了にして、他の患者さんを間に入れてから改めて造影することになった。
造影すると下垂体自体が腫脹していて、そこから連続性に上方に進展して視交叉に及んでいると判明した。下垂体腫瘍による視交叉圧迫の症状だった。
地域の基幹病院脳神経外科に連絡すると、すぐに診てもらえることになり、救急搬送することになった。少ししてその先生から連絡が入って、下垂体腫瘍を専門に扱っている脳神経の専門病院の先生に連絡したので、直接そちらに救急搬送してほしいということだった。
ありがたく指示に従って、救急隊には搬送先が変わりましたと伝えた。
この患者さんのことがあって、入院31名を全部診る暇がなかった。明日診ておかないと明後日から学会出張なのでまずい。