なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

副腎不全

2019年05月25日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ていた。受診数は少な目だった。暑い日で79歳女性が熱中症で救急搬入された。一人暮らしで孫が電話しても出なかったので、直接自宅に見に行った。ADL自立の普段元気な方がぐったりしていたので救急要請した。

 搬入時、会話は可能だったが、ワンセンテンス答えるだけで、目を閉じてだるそうにしていた。臥位で尿が出ないと言うので、車いすでトレレまで行った。入院で今日明日と点滴して、月曜にまで経過をみることにした。

 

 85歳女性が倦怠感・食欲不振などを訴えて、4月から何度か内科外来を受診していた。そのうち5月の連休中に高熱で救急外来を受診した。内科の若い先生(内科専攻医)が日直をしている時で、急性腎盂腎炎で入院になった。

 尿路感染症は抗菌薬投与で軽快治癒した。不定愁訴的な訴えは続いて、まず甲状腺機能低下を疑ったが、甲状腺機能は正常域だった。低ナトリウム血症が続いているのに気づいて、ACTHとコルチゾールの検査しようと思ったそうだ。

 外注検査だったので、提出前にちょっと相談された(まったく依存はない)。結果はコルチゾール低下・ACTH上昇を認めて、原発性の副腎不全だった。

 この患者さんは3年前から内科クリニックでステロイド内服を処方されていた。皮膚のかゆみで処方されたらしいが、皮疹があるわけではない。そして倦怠感・食欲不振の症状が出る前に、自分で内服をやめていた。長期のステロイド投与によるステロイド依存状態で、ステロイドを中止したための症状だった。

 処方されていたのはセレスタミン1日3錠なので、ベタメサゾン70.75mg/日になる。昔はよくアレルギー疾患に安易に長期処方されているのをみかけた。今時はほとんどみかけない。

 画像上(CT)は副腎を指摘できず、石灰化はない。まあ補充すればいいかと思ったが、若い先生は原発性を証明するために、迅速ACTH試験をするという。結果は、負荷後のコルチゾール値が低く(10μg/dL未満)、原発性副腎不全が証明された。コートリル15mg/日が開始されて、症状は軽快してきたそうだ。 

 

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