なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺癌・心不全

2019年05月18日 | Weblog

 肺癌の85歳男性は自宅退院になる。この患者さんは呼吸器センターのある専門病院で左肺癌で手術を受けて、5年以上経過した段階で治癒と判定されて、フォローは終了になっていた。

 ところが一昨年に、新たに右肺癌(扁平上皮癌)が見つかった(別の新規癌と診断)。高齢のためか経過観察とされたが、その年と昨年に喀血で入院している。さらに今年の2月に発熱・呼吸困難で入院した。肺炎として治療したが、結果的には心不全の悪化で、利尿薬の投与で軽快した。

 肺癌治療の対象外になるので、肺炎の併発や心不全の悪化時に入院できる病院の扱いにしたいといことで、当院に紹介された。住所は当院診療圏ではないが、その専門病院から週1回呼吸器外来に応援医師が来ているという関係での紹介だった。

 3月に呼吸器外来を受診した時にはさほど変わりがなかった。4月初めから呼吸困難となって、当院を受診した。両側胸水貯留と肺うっ血、さらに腹水貯留もあった(肺野条件だともっと目立つ)。心不全だけなのか癌性胸膜炎か迷った。本人は疲労困憊と言った印象で、要するに弱っていた。

 もともと利尿薬(ラシックス40mg/日)を内服していたが、静注で使用した。そして癌性だとすると予後が短い段階を想定して、デカドロン2mgを併用した。時間はかかったが、呼吸困難は改善して酸素吸入を外すことができた。

 1か月以上経過した今月に再度胸腹部CTを確認すると、右胸水と腹水は消失していた。不思議なことに腫瘤自体が縮小したように見える(腫瘍に効いた?)。左胸水は術後の変化かもしれない。2月の入院と同様に心不全の悪化だけだったのか。予後3か月でなければ、デカドロンは必要がないので漸減中止を要する。

 利尿薬はラシックス40mgのままで、増量はしていない。するとデカドロンによる改善?。家族は病状の悪化がなくとも退院後2週間以内のレスパイト入院を希望していた。入院した時に、病状をみて0.5mgずつ減量できるかどうか検討することにした。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする