なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ギラン・バレー症候群疑い

2019年05月23日 | Weblog

 内科の若い先生が診ていた症例で、ギラン・バレー症候群疑いで医療センターに紹介(転送)となった。

 患者さんは71歳女性で、がんセンターで肝細胞癌の治療を受けている。先週の金曜日はがんセンター消化器内科の定期受診日で、前日から出現した両側手足のしびれと左顔面神経麻痺(閉眼障害・口角下垂)の話をした。

 血液検査上は異常がないと言われて(まあそうだろう)、整形外科を受診するように指示された。患者さんは言われた通りに整形外科を受診したが、顔面神経麻痺なので耳鼻咽喉科を受診するよう指示された。

 耳鼻咽喉科クリニックを受診して、そこから当院の耳鼻咽喉科に紹介された。その日のうちに4か所の医療機関を受診したことになり、随分回り道をしていたことになる(耳鼻咽喉科の問題でもなかったが)。

 耳鼻咽喉科では帯状疱疹の確認をしたが、疱疹はなかった。基礎疾患を考慮してかステロイドは見合わせてビタミン剤と、バルトレックスが処方された。

 帯状疱疹によればRamsay Hunt症候群で、原因を特定できないとBell麻痺で単純疱疹の関与となる。バラシクロビル(バルトレックス)は帯状疱疹の治療量で処方されていた。無疱疹性帯状疱疹もあるので、難しい。

 患者さんは、翌18日(土)の夜間に救急外来を受診していた。両側手足(末梢)のしびれと両下肢の脱力が進行していた(歩行はできる)。当直の外科医が頭部MRIを行ったがが、新規の異常は認めなかった。週明けに内科外来受診とされた。

 今週の20日月曜日に内科外来を受診して、内科の若い先生(地域医療研修中の内科専攻医)が診察した。ギラン・バレー症候群ではということになった。入院で経過をみたが、22日水曜日には両下肢の脱力が進行して歩行できなくなった。急遽腰椎穿刺を行うと蛋白細胞解離があった(この辺はさすが神経内科志望)。すぐに自分の病院の神経内科に連絡して、搬送となった。

 当方としては、いろいろやっているのを診て気づいたという形になる。相談されても、「神経内科に送って」というだけで、顔面神経麻痺と両側手足のしびれ・脱力の症状を聴いた瞬間に、経過をみることもなく即神経内科に紹介してしまうだろう。

 今週後半は大阪で神経内科学会があり、この先生も医療センターの指導医から言われて学会発表があるそうだ。

 

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