病院の職員が家庭の事情でしばらく休むという話を聞いた。家族が悪性リンパ腫にかかっていて、病状が思わしくないらしい。
専門病院で治療を受けているが、その前に当院の外来も受診していたという。昨年のことだが、当院の対応がどうだったか気になった。
患者さんは50歳代前半の女性だった。最初は発熱が続くとして、休日の救急外来を受診していた。その前にも市内のクリニックを受診していたが、発熱が続いていた。日直は当時の循環器科医だった(昨年度で退職して循環器科は閉科)。
血液検査では白血球10000・CRP1.8と炎症反応上昇があった。白血球分画で単球が17.0%と上昇していた。AST 45・ALT 51・LDH 822・ALP 110・γ-GTP 70と肝機能障害を認めた。胸部X線検査で肺炎はなく、尿路感染症も否定的だった。
全身状態としては悪くないので、アセトアミノフェンだけ処方されていた。その後平日も受診して、発熱外来扱いになった。発熱外来担当は外科医だったので、新型コロナとインフルエンザの検査陰性をみて、内科新患に回した。
当時内科新患を担当していた内科の若い先生が診察していた。3年目の先生なので、外来でも病棟でも大抵のことは相談してきていた。この患者さんのことも相談されていたはずだ。
血液検査の結果は初診時とあまり変わらず、胸腹部CTを施行していたが、読影レポートは異常なしとなっていた。実際はCTで肝脾腫を認めるが、リンパ節腫大は表在も胸腔内・腹腔内も認めなかった。
年齢的には高齢すぎるが、単球増加が異型リンパ球の可能性があり、肝機能障害と併せると伝染性単核球症疑いになる(あるとすればサイトメガロウイルスの方だが、さすがに30~40歳代までだろう)。EBウイルス・サイトメガロウイルスの検査を提出したが、両者とも既感染だった。
その後も発熱が続き、白血球分画の単球増加が目立ってきて32.5%となった。芽球は認めていないが、白血病の疑いとして専門病院の血液内科へ紹介した。先方からの返事は来ていないようで詳細はわからない。
当院としてはそれなりに対応したとは思う。今振り返ると、不明熱なのだから、血液培養の提出や心エコーでの心腔内疣贅の有無を見るのも必要だった。
単球増加からは慢性骨髄単球性白血病疑いとなるが、見込とは違っていたのだろうか。正確にはどのような診断だったのか。