医療センターから、低血糖脳症の59歳男性が当院の回復期リハビリ病棟に転院してきた。先方の病院の脳神経内科から当院の神経内科宛の紹介だった。
当院の糖尿病外来(外部の医師担当)に通院して、インスリン強化療法で治療していた。先月末の日曜日早朝に、意識障害で当院に救急搬入された。
前日の土曜日に集まりがあり、昼から飲酒していた。ほとんど食べずに飲んでいたため、夕方の分からインスリン注は中止していた。翌日曜日の早朝に泡をふいて寝ていて、反応がないため、家族が救急要請した。
救急隊が血糖を測定して、低血糖(血糖30mg/dl)を呈していた。地域の基幹病院に連絡して、指示でグルコース注で血糖は回復したが(血糖150mg/dl)、意識は回復しなかった。けいれん様の強直性発作が断続的に見られた。
受け入れ困難ということで、通院している当院に搬入された。土曜日の当直だった耳鼻咽喉科医が対応した。頭部CT・MRIで所見がなく、炎症反応の上昇が見られた。
低血糖による脳症なのか、中枢神経の感染症(髄膜炎、脳炎)なのか、わからない。その週末の内科当番は別の先生だったが、連絡を受けて、高次医療機関に搬送するよう指示された。(まあそうだろう。当院では対応できない。)
地域の基幹病院に改めて連絡して受け入れできず、県内有数の市立病院に連絡して受け入れできず、医療センターに連絡すると引き受けてくれた。
当初は糖尿病代謝科で対応したが、血糖を正常域で維持しても意識障害は変わらず、頭部MRIで両側側頭葉内側の海馬領域に拡散強調画像で高信号を認めたため、脳神経内科に転科となった。
髄液検査で有意な異常はなく、ステロイドパルス療法を行って、意識が回復してきた。その後は普通に食事摂取もできて、歩行も可能となったが、高次脳機能障害が残った。
長谷川式で9/30点(MMSEで10/30点)で見当識障害・記銘力障害が目立った。身体的というより、高次脳機能障害(認知症相当)に対するリハビリ目的で当院転院となった。