土曜日の夜に日当直の外科医(大学病院からバイト)から、発熱の97歳男性を入院させたいと連絡が来た。
老夫婦二人暮らしで、夫は車いす移動で、妻も認知症で介護を要する。毎日にようにヘルパーさんが入っていて、その日はケアマネージャーが連れてきたそうだ。
肺炎はなく、尿混濁もなく、原因は不明だという。食欲低下もあるので、点滴をしてもらうことにした。夫を入院させて、妻は急遽ショートステイ入所させることになるそうだ。
日曜日に患者さんを診に行った。高齢の割に元気そうだった。よくしゃべる人だが、電子カルテにポチッとマークがあった。何かともめるひとらしい。
炎症反応は初期像のせいか、上昇は軽度だった。確かに胸部X線で肺炎像はなく、尿も正常域だった。腹部CTを取っていたので、確認した。
前立腺肥大症を指摘されたことがあるが、治療は中断していた。前立腺腫大というより均等な腫大ではなく、左側が腫大して膀胱に突出している。
日曜日だが、検査で血清PSAを追加測定してくれた。血清PSAは86.155ng/mlと上昇していた。前立腺癌な前立腺炎による上昇と判断される。あるいはベースに前立腺癌があり、炎症でさらに上昇しているのかもしれない。
入院後にセフトリアキソンは入っていたが、血液培養2セットを提出しておいた。セフトリアキソンは前立腺への移行がいいので、そのまま継続とした。
前立腺炎として3週間治療をして、血清PSAを再検して、炎症の鎮静により低下するかどうかみることになる。今日は体調がよくなったせいか、退院すると言って病棟の看護師さんを困らせ始めていた。
明日血液検査をして、入院時と比較するので、明日までは入院していることにした。明日忘れていなければ、普通に入院を継続するが、騒ぐ時は抗菌薬経口に切り替えるしかない(前立腺移行のいいレボフロキサシンになる)。
現実的には介護の手を借りないと生活できないのだが、それは考えていないらしい。