慢性硬膜下水腫で入院している77歳男性は、五苓散内服で改善している。それに伴って動きも良くなり、発語も出て元気になったが、認知症の症状が目立つようになった。
発熱して急性細菌性前立腺炎として治療を行った。血清PSAが一時的な高値となって、炎症改善とともに正常域になるという教科書的な経過を呈した。
この患者さんは貧血の問題もあった。Hbが8g/dl台(MCV100~102)で、白血球数は2000台だった(感染症時は6000まで上昇)。血小板数は正常下限くらい。
白血球分画では単球増加があり、11.0~27.0%で推移している。これは有意なのだろう。芽球や骨髄球はなかった。血清鉄は低値で血清フェリチンは増加している。血清ビタミンB12や甲状腺ホルモンは正常域だった。
Hb値は同程度で悪化はしていないが、骨髄検査をした方がよいと判断した。あるとすれば骨髄異形成症候群(MDS)で、単球性の疾患も疑われる。他の仕事が忙しくて、先延ばしになっていたが、木曜日に骨髄穿刺を行った。
認知症で騒ぐのではないかと病棟の看護師さんたちが集まって来ていたが、案外拒否もなく消毒も含めて5分で終了した。
外注検査なので結果が来るまで2週間くらいはかかる。MDSだとしても、血液内科に紹介して本格的な治療にはならないが、診断はつけておきたい。
骨髄穿刺は一昨年に2件あったが、自治医大出身の若い先生がいたので、一緒に付いてやってもらった。昨年はなかったので、自分で行ったのは4~5年ぶりかもしれない。