なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

癌終末期のデキサメサゾン

2022年06月01日 | Weblog

 5月24日に記載した、地域の基幹病院腫瘍内科から紹介された結腸癌術後再発の56歳男性。

 

 紹介で最初に受診した時は、食欲不振・全身倦怠感がひどく、来院してから診察まですわっていられず、点滴室で横になっていた。

 疼痛に対するアセトアミノフェンだけ処方されていたが、患者さんは屯用で使用していた。心窩部の重苦感はあるが、医療用麻薬を使用するほどではないようだ。

 点滴をしながらの診察となった。希望はやはり、「できるだけ自宅で過ごしたい」だった。多発性肝転移というより、全体に癌が広がっている。腹壁にも癌の結節が複数あり、両肺転移もある。印象は「大分弱っている」で、そのまま入院してもおかしくない病状とみられた。

 血液検査で糖尿病はなかったので、ステロイドを開始することにした。その日は点滴でデキサメサゾン4mg相当(1.65mg×2A)を入れて、翌日から4mg/日内服とした。

 

 1週間後の今週火曜日に外来に来てもらったが、横臥はしていなかった。診察室前で座って待っていて、診察室にもすぐに入ってきた。食事摂取できるようになったという。

 その日の朝も菓子パン2個と牛乳を摂取していた。ステロイド投与前は、市販のウィダーインゼリーしか取れないと言っていた。倦怠感も軽減はしているようだ。

 デキサメサゾン4mg/日内服を継続として、2週間後に外来予約を入れた。もう1か月くらいこの状態が続くといいが、ステロイドは急に効果がなくなり、そうなると患者さんはごく短期間しかもたない。

 

 癌の緩和ケアは何人かの専門医の本を参考にしているが、主には大津秀一先生の本を参考にしている。2013年の初版から購入してきて、現在は2021年の第4版になっている。

 癌終末期のステロイドの使用と効果は大津先生に教えてもらった(といっても、本を読んだだけだが)。

間違いだらけの緩和薬選び Ver.4 -費用対緩和を考える-

 Ⅰ. 予後2か月以上:苦痛は「疼痛」が中心の時期。「鎮痛薬(含医療用麻薬)」「鎮痛補助薬」を使用。

 Ⅱ. 予後2か月以内:苦痛は「疼痛」のほか、「全身倦怠感食欲不振」など多種。「ステロイド」を使用。

 Ⅲ. 予後数日以内:苦痛は「身の置き所のなさ」。必要に応じて適切な「鎮静」を行う。「ミダゾラム」を使用。

 

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