10月26日に感染管理の院内勉強会があり、そこで講演をすることになっている。事務から、外部講師の招聘はお金がかかるので、自前で行うようにといわれていた。
今回は石川県加賀市で開業されている永田理希(ながたりき)先生の著書をもとにして、「シン・かぜ診療」の話をする。
永田先生は、うがいもトローチもかぜ予防・治療に効果がないと述べている(正確には効果があるというエビデンスはない)。
かぜのウイルスは鼻咽頭から入って来るので、口腔内を消毒・洗浄してもあまり意味はない。インフルエンザウイルスは粘膜に付着すると、20分で細胞内に入り込む。これを防止しようとすると、20分おきにしなければならない。
そもそも粘膜に対して消毒薬を使用するのは、粘膜を痛めて、(感染防止に役立つ)常在菌に影響が出てしまう。
ところで、病棟でうがいというより口腔ケアをする時や嘔吐の時に使用している、通称「ガーグルベース」とはどういう意味かと気になった。
検索をしてみると、あの倉原優先生の「呼吸器内科医」が出てきた。「ガーグルベース」か「ガーグルベースン」か、という題で記事を載せられていた。(2013年6月19日付け)
英語だとgargle basinで、一般名は「ガーグルベースン」になる。ガーグルgargleは「うがい」で、ベースンbasin(正確にはベイスン)は「たらい」や「盆」にという意味だ。
製造している大手メーカーのアイエスケー株式会社では、一般名として「口腔衛生汚物受小型ベースン」と記載していて、商品名は「ガーグルベース」にしている。経緯は不明だが、日本では「ベースン」に(耳)馴染みがなかったのため、「ベース」としたのではないか、ということだった。
つまり、ガーグルベースンは一般名で、ガーグルベースは商品名、なのだった。