なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

骨格筋の挫滅

2018年04月17日 | Weblog

 昨日精神科病院から筋原性酵素の増加で60歳女性が紹介されてきた。精神科の病名は情緒不安定性人格障害(境界型人格障害)だった。12日前に自宅で転倒して全身(体幹部)を打撲した。冷蔵庫も倒れるくらいだった。その3日後に精神科を受診したが、血液検査でGOT 417・GPT 156・CK17045・LDH 1222だった。精神科としてはびっくりしたのだろう。

 19歳から精神科に通院し始めていた。結婚を機に他県に住んでいたこともあるが、離婚して戻ってきた。15年くらい前に現在の夫と再婚している。ちょっと気が弱そうだが、誠実な印象の夫だった。現在の精神科病院に替わってからも何度かの入院歴があると記載されていた。1年半くらい前から飲水(多飲)と排尿へのこだわりが強くなっているそうだ。

 普通に歩いて診察室に入ってきた。会話は問題ないが、いつ頃からかという話の時には夫が教えてくれた。紹介状を見て、心因性多飲・低ナトリウム血症を想定していたが、浮腫はなかった。

 転倒した日に総合病院を受診してと記載されていたが、それは当院だった。整形外科を受診して、左背部(肩~臀部まで)と右肩に皮下出血を呈していたが、特に血液検査はなく、骨折はなしとして帰宅になっていた。

 筋原性酵素を再検すると、AST 32・ALT 40・CK 401・LDH 530とかなり改善していた。Hb10.6g/dlと、5年間に受診した時と比較して2g/dl低下していた。皮下出血の程度がひどいので、そのくらいにはなるのだろう。右肩の皮下出血はすでに黄色になっていて、左背部はまだまだらに紫色を呈している。腎機能障害・電解質異常はなかった。

 特に患者さんは困っているわけでもなく、精神科病院に言われたので受診したというだけだった。そのまま経過をみていいですと伝えて帰宅とした。患者さん本人は割と無症状で、夫はありがとうございましたと言って笑顔で連れて行った。この夫のおかげで何とか生活しているのだろう。

 精神科へは、骨格筋の挫滅による筋原性酵素の上昇は改善して心配ありません、皮下出血による軽度の貧血も経過をみていいと思います、と返事を書いた。

 

 昨日の肝腫瘍の男性は、がんセンター紹介を希望された。カロナール1500mg/日分3(1回500mgで頓用追加可)で心窩部痛は軽減したそうだ。

 

 

 

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