なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

胃瘻の問題

2012年05月21日 | Weblog

 数年前に比べると、胃瘻造設の頻度は減ってきた。80歳台後半から90歳以上の高齢者には、家族が希望しなければ胃瘻は作らず、末梢からの点滴とできるだけの経口摂取(日によって違うが数口)で経過を見ることにしている。88歳女性で脳梗塞でかろうじて歩行していたのが、寝たきりとなった。嚥下障害があり、1回誤嚥性肺炎になったが、少しだけ食べられる。このままだと、そう長くは持たないので家族に希望を聞いた。胃瘻造設の希望があり、明日消化器科医と造設することにした。多少は食べているので、胃腸の動きは大丈夫だろうと思われる。楽しみ程度に経口摂取もできそうだ。

 先週消化器診療の集まりで、地域の基幹病院の医師が胃瘻造設の集計を発表していた。右肩上がりで件数は増えていた。以前と比べると、誤嚥性肺炎を診ている呼吸器科では高カロリー輸液にして後方病院へ転院させているそうだ。造設する消化器かでも術前に内視鏡で医を拡張させてから腹部CTを撮影して、大腸を巻き込まないかどうか確認してから施行しているという。当院はまだ入院日数に余裕があり、1~2か月点滴をしながら経過をみることができる。可能な限り、最期まで数口でも経口摂取させるのは自然な感じがする。嚥下できなくなった高齢者の医療には正解はないのだろうが。

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病院に行ってみた

2012年05月20日 | Weblog

 3日間糖尿病学会に行っていたので、今日は日曜日だが、病院に行ってみた。ステロイドを漸減していたCOPDの80歳台前半の女性が低酸素になっていた。病棟に着いた時には、指示のデカドロン注で症状が軽減しているところだった。胃ろう造設した80歳台後半の女性は昨日から熱発していた。経管栄養を中止して点滴を開始した。日直の小児科医から、左上肢の脱力で受診した80歳台半ばの男性のことで相談を受けた。頭部MRIで新鮮なラクナ梗塞があった。当番ではなかったが内科病棟に入院させて主治医となった。今週高校看護科に提出する試験問題を作成してから帰宅した。

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画像一発

2012年05月16日 | Weblog

 30歳台前半の女性。午前2時過ぎに下腹部痛で救急外来を受診した。当直の内科医が診察して、腹部CTを行ったところ、右卵巣嚢腫があり、嚢腫内に歯と思われる石灰化も認め、奇形種だった。2か月前から断続的に腹痛があったが、治まるので様子をみていたそうだ。茎捻転しかけては戻るのを繰り返して、今日はぐりっと捻転したのだろう。CTの画像ですぐに診断がついて、婦人科で手術となった。体表から触れそうだが、体格の良い人で(皮下脂肪が厚く)触れなかったという。

 明日から糖尿病学会で3日間出張。東京での若手医師セミナーにも行くことにした。

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当たる外科医

2012年05月15日 | Weblog

 昨日の当直は外科の女性医師だった。当直をすると当たるといわれている。今朝病院に車で来る途中、ラジオを聞いていたら、20歳台後半の男性が昨夜道路を横断していて、車にはねられたというニュースが流れていた。事故のあった場所からは当院に救急搬入されたはずだった。病院に来てコンピュータの画面で昨夜の受診患者さんを確認すると、事故の患者さんが搬入されていた。多発骨折(肋骨・骨盤・大腿骨)で血気胸になっていた。外傷性のくも膜下出血もある。点滴指示をみると、アドレナリンが何度も入っている。ニュースによれば、2時間後に搬入先の病院で死亡したとされていたが、当直医が懸命に治療(蘇生術)をしたのだった。

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外来はいろいろあったが、入院のない土日

2012年05月14日 | Weblog

 今回の土日の日当直は、土曜日が大学医師(若い大学院生)、日曜日が他の病院の医師の担当だった。入院するような患者さんがいれば、常勤医の当番が対応するという体制だった。外来はいろいろあったものの、内科の入院はなかった。

上腕骨骨折の80歳台なかばの男性が内科救急外来を受診して、整形外科に入院になっていた。土日の日当直は内科外科2人態勢なので、なぜ内科で診たのだろうと思った。聞いてみると、骨折で整形外科クリニックを受診して、痛みのあまり血管迷走神経反射で除脈・低血圧になり、当院の内科救急外来に搬送されたという。補液などで良くなった後に、本来の整形外科に入院になったということだった。なるほどね。

 20歳台半ばの男性。潰瘍性大腸炎のため、大学病院で大腸全摘の手術を受けている。紹介されて短期間に手術になっているから、かなり重症だったのだろう。嘔吐・腹痛で当院の救急外来を受診した。腹部X線・CTで腸閉塞を呈していた。数回手術を受けていて、人工肛門を閉じる手術が2か月前で、大学病院の外科外来に通院中だった。日直医が大学病院に連絡して搬送となった。大学病院の医師も、なぜ直接大学に連絡しなかったのかと言っていたそうだ。患者さんとしては、近くの病院でちょっと治療すれば良くなると思っていたのだろうか。

 80歳台男性。町内にある入浴施設で浴槽に浮いているのを発見されて、救急車で運ばれて来た。救急隊到着時に心肺停止で、心肺蘇生をしながら病院にきた。治療で一瞬心拍が戻ったが、結局治療に反応せず、死亡確認となった。autopsy imagingでは溺死というより、心疾患で死亡したらしい。状況から当然警察の検視となったそうだ。

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発熱と後頸部痛

2012年05月11日 | Weblog

 60歳台半ばの男性。胃癌の術後で外科の外来に通院している。一昨日から高熱が出て、以前肺炎で入院したことがあるので、また肺炎になったのではないかと心配して外来を受診した。いつも受診している外科の外来を受診したので、外科で診察した。胸部X線とCTで肺炎の浸潤影はなかった。尿路感染症でも胆道感染症でもなかった。そのまま外科で入院になった。発熱が続いて昨日からは後頸部痛を訴えた。意識は清明だが、髄膜炎疑いで神経内科コンサルトとなり、腰椎穿刺が行われた。髄膜炎の所見はなかったので、内科コンサルトとなった。といっても、お昼に医局で弁当を食べている時に、外科医からお知恵を拝借と言われただけだが。相談されたのが、神経内科で検査する前だったので、頭部CTに加えて頸部CTも撮影してもらった。環軸関節の歯突起周囲に不整な石灰化があり、頸椎の偽痛風であるCrowned dens syndromeと思われた。CTで見る限り、頸椎自体は破壊されていないようだ。NSAIDで数日経過をみることになった。この方の孫が先月肺炎で入院したそうだ。マイコプラズマではないらしい。この患者さんも孫の発症後に発熱と咳があったが、すぐに症状が治まったので、受診しなかった。肺炎を疑った今回の入院時に、肺炎球菌尿中抗原が検査されて陽性だった。胃癌の手術は胃全摘と脾臓合併切除だが、肺炎球菌ワクチンはしていない。先月の発熱は肺炎球菌感染だった可能性があり、劇症化しなくてよかった。現在肺炎球菌感染が継続しているわけではないと判断されるが、NSAID加えて抗菌薬も入れることになった。症状が軽快した後に、肺炎球菌ワクチン接種を受けるよう勧めた。

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心気的な訴えのような

2012年05月11日 | Weblog

 60歳台前半の女性。1か月前から咽頭痛と微熱で耳鼻咽喉科や内科のクリニックを受診していた。抗菌薬が処方されていて、耳鼻科からはマクロライド系、内科からはセフェム系が出ていた。微熱といっても36℃台後半だが、私は平熱が低いので、これくらいでもひどいという。変形性脊椎症で通院している整形外科からは安定剤も処方されていた。倦怠感・食欲低下があるという。自分の症状のことはよくしゃべった。咽頭は発赤もなくきれいだった。首のリンパ節が痛いというが、リンパ節腫脹はなく、頸部に圧痛はなかった。検査してみたが、炎症反応は全く陰性だった。念のために出した甲状腺機能も正常域だった。NSAIDと抗菌薬の内服を続けていて、胃腸の調子が悪いという。両方とも中止して、頭重感がある時や熱っぽい時のみ頓用で使用することを勧めた。最初から入院希望という話が出たが、入院するような病気ではないし、入院するとかえって病人らしくなってしまいそうなので、入院しないほうがいいですとお話した。慢性C型肝炎で内科クリニックからウルソが処方されていた。肝機能は正常域だったが、ウイルスはいるのだろう。AFPは正常で、腹部エコーで肝硬変像はなく、腫瘍もない。内科クリニックで検査しているのだろうとは思ったが、HCVのグルーピングとRNAを提出した。2週間後に症状を確認するのと、外注検査の結果を聞きに来てもらうことにした。お寺の住職の奥さんで、檀家の世話など忙しいらしい。

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タバコと酒の女性

2012年05月10日 | Weblog

 70歳台後半の女性。内科医院に高血圧症と糖尿病で通院していた。比較的急に下肢の浮腫が出現した。利尿剤を投与されたが軽快しないため、当院の内科新患を受診した。検査ではネフローゼ症候群を呈していたので、腎臓内科医に相談した。糖尿病腎症からネフローゼになったと思われるが、糖尿病腎症がそれほどない状態からなので、原発性糸球体疾患も否定できず、腎センターのある病院に紹介した。

 結局糖尿病腎症としてのネフローゼと診断された。症状は経過したが、腰椎圧迫骨折を併発したため、腰痛で動けず、当院にリハビリ目的で転院となった。改めて外来カルテを見ると、喫煙による慢性閉塞性肺疾患(COPD)があり、けっこうぎりぎりの血液ガス所見だった。飲酒もかなりの人だった。やせてガラガラ声でしゃべり、タバコと酒の女性で見かけるタイプだった。リハビリをするとしても、一人暮らしの継続は困難と思われた。ソーシャルワーカーを入ってもらい、適切な施設に紹介することにした。さらに問題があった。浮腫で受診した際に、腫瘍マーカーを提出しているが、CEAとCA19-9が軽度に高かった。腹部エコーで膵臓に腫瘍はなかった。便秘や血便の症状はないが、大腸癌の検査も必要だ。

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感染症ではない

2012年05月09日 | Weblog

 80歳前半の男性。発熱で入院した。もともと心房細動・心不全と僧房弁と三尖弁の閉鎖不全もある。明らかな肺炎はないが、肺雑音があり、気道感染症として抗菌薬が開始されたが、発熱も検査の炎症反応も変わらなかった。1週間経過して治さないため、担当医から相談された。尿路感染症や胆道感染症はなかった。感染性心内膜炎も否定できない。直接患者さんを見にいった。1週間熱が続いている割には元気だった。歩くときに膝関節が痛いというが、腫脹・熱感はなかった。左の手関節と肘関節に腫脹・熱感があり、触ると痛いという。偽痛風が疑われたので、整形外科医へのコンサルトを勧めた。あとで診察した整形外科医に話を聞くと、偽痛風でしょうということだった。抗菌薬を中止して、NSAID(セレコックス)が開始された。

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またまた入院

2012年05月08日 | Weblog

 60歳台後半の男性。糖尿病と糖尿病腎症があり、糖尿病自体でも血糖コントロール不良で入院しているが、その後は小脳梗塞・肺炎・心不全・腸骨動脈閉塞で入院を繰り返している。認知症でインスリン注射と血糖測定は妻が行っていた。歩行できて会話はピントがずれているが、これまでの病気を考えると、よくこの状態でいられると感心するくらいだ。理解力は低下しているが、雰囲気は多幸的でよく笑う。1週間前に感冒症状(鼻水・咽頭痛・微熱)で受診していたが、その後も微熱が続いているという。咳はない。今日は高熱が出て、胸部X線では陰影がはっきりしなかったが、胸部CTで見ると、左胸膜直下に浸潤影が散在していた。他に発熱の原因となる病変もなさそうで、肺炎で入院とした。この方のように、献身的な妻のおかげで生きている男性は多いが、献身的な夫のおかげで生きている妻は少ないと思う。

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