なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ドクターMRI

2012年08月17日 | Weblog

 今日の午後は当直明けで脳外科医が不在となり、神経内科医も忙しくてとれていなかった当直明けの分の休みをとって不在だった。両方の科は1名ずつなので、脳神経の専門医が不在となってしまった、

 55歳男性。施設職員をしているが、数日前から風邪で調子が悪かったそうだ。勤務中にふらついて、しゃべり方も一時的におかしかったらしい。職場の同僚が救急要請した。救急隊が基幹病院(脳神経の医師8名)に連絡したところ、対応できないと言われ、症状がそれほどひどくないということで当院へ搬入された。昼過ぎに来たので、午前の救急当番だった循環器科医が対応した。搬入時は症状は軽快していて、検査では異常がなかった。頭部MRIでも異常はなく、点滴しているうちに、すっかり回復して帰宅した。

 79歳男性。左下肢の脱力が出現して歩けなくなったらしい。自分で救急要請して搬入された。以前構語障害が出現して神経内科に入院したが、脳梗塞はなく、症状は消失していた。私が午後の救急当番として対応した。搬入時も左下肢の脱力があった。一時的に左上肢の脱力もあったが、すぐに回復した。意識は清明。糖尿病外来に通院しているので、血糖測定したら184mg/dlだった。グラクティブ25mg/日の処方のみなので低血糖にはならない。頭部MRIは脳萎縮のみで、拡散強調画像で新鮮な脳梗塞は描出されなかった。検査を受けているうちに左下肢脱力は軽快した。MRAで見る脳血管は思ったほど動脈硬化を認めなかったが、穿通枝まではわからない。一過性脳虚血発作疑いとして入院で経過をみることにした。

 55歳女性。ふらつくのと、しゃべるのがおかしいということで家族が車で当院に連れてきた。内科クリニックに高血圧症で通院していて、そのクリニックに連絡したことろ、すぐに当院にいくよう言われたそうだ。消化器科医が外来に駆り出されて対応した。右片麻痺が出現していて、失語症を呈していた。頭部MRIで左中大脳動脈(MCA)が根本で途絶していて、その領域は基底核と頭頂葉が梗塞に陥っていた。時間が経つと左MCA領域全体が梗塞になっていくのだろう。また右MCAの狭窄も目立った。基幹病院の神経内科へ連絡すると受け入れOKで、すぐに救急搬送となった。

 当院のいいところは、CTはもちろんMRIもすぐに撮れるところだ。専門医が常にいるとは限らないので、ドクターMRIにお願いすると、ちゃんと診断してくれる。あとは搬送先を探すだけとなる。検査に頼りすぎるなどというよりも、専門医が少ない分を検査機械で補うというのが確実な方法かもしれない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする