なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

久しぶりのGI療法

2019年03月21日 | Weblog

 88歳女性が急性腎盂腎炎で入院していた。当院の糖尿病外来(外部の先生担当)と整形外科の外来に通院している。それに内科クリニックにも通院していて、当院とそこのクリニックから安定剤・睡眠薬がダブって処方されていた。心気的な方なのだろう。

 入院した時は高熱で動けなくなり、当院の救急外来に搬入された。救急当番の外科医が対応して、急性腎盂腎炎の診断で内科入院を依頼された。その時の尿培養・血液培養2セットから大腸菌が検出された(感受性は良好)。

 セフトリアキソンで解熱軽快したが、整形外科に通院している両側膝関節の熱感・疼痛が悪化した。膝関節X線では変形性関節症の変化と関節内石灰化があり、感染症をきっかけに偽痛風発作が起きたと判断された。

 もともと整形外科外来でNSAIDのセレコッコスが断続的に処方されていたが、関節痛に応じて内服したりしなかったりしていたそうだ。その時は内服していなかったので、セレコックスを再開した。

 整形外科外来を受診した時は、毎回ではないがデカドロン静注をしていた。糖尿病で通院しているのは知っているのか知らないのか。 安定剤の処方も含めて、通院している科がそれぞれお互いの診療を把握していないという、よくある話だと思って診ていた。

 ところが当方も、もともと血清クレアチニン0.8~0.9mg/dlと年齢を考慮すると腎機能障害があることを、軽視してしまっていた。自覚症状は何もなかったが、その後の腎機能検査で血清クレアチニン1.64mg/dlと上昇して、血清カリウムが7.0と上昇していた。心電図は正常で高カリウム血症の所見はない。

 すぐにセレコックスを中止して、血清カリウム抑制剤(カリメート)を開始した。心電図モニターをつけて、血清カリウムを再検したが同じ値で変わらなかった。

 最後に行ったのがいつか思い出せないGI療法を行うことにした。10%グルコース500ml+速効型インスリン(ヒューマリンR)10単位を点滴静注すると、血清カリウム5.0まで低下した。

 終了直前に血糖60mg/dl台に低下していたが、夕食直前だったので、その後グルコースの点滴をしなかったが、血糖は正常化した。DI療法の後は低血糖になるので、グルコースの点滴を継続とあるのは、確かに重要なことだと改めて思った。

 その後はカリメート内服継続で血清カリウム値は正常域になり、腎機能も普段の値に戻ったので、カリメートは漸減中止とした。もうNSAIDは使えないので、今後変形関節症や偽痛風の関節炎が悪化した時はどうするか。整形外科の問題ではあるので、関節内局注をしてもらうかないようだ。

 糖尿病はインスリン30ミックスの2回打ちをしていた。経口血糖降下薬の処方はなく、血糖コントロールは良くない。今回はDPP4阻害薬+持効型インスリン1回打ちのBOTに変更して、血糖コントロール良好となった(これだと低血糖の心配がほとんどない)。血糖測定は痛いんでやりたくないといっていた。これまで毎日血糖測定の指示だった。BOTで血糖が安定していれば、毎日血糖測定の必要はないと伝えると喜んでいた。

 

  

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ドルミカム開始

2019年03月20日 | Weblog

 肺癌・多発性骨転移で転院してきた64歳男性は、突出痛でレスキュー内服が頻回だった。もともと紹介先の専門病院でオキシコンチン150mg/日まで増量となり、せん妄が出現したため50mg/日まで減量しての転院だった。

 食事摂取が進まず、いつまで多種類の内服ができるかわからないので、少しずつフェントステープに切り替えいった。フェントステープ6mg/日まで増量して、疼痛時にオキノームを内服していた。

 末梢からの点滴が困難となり、CVカテーテルを挿入したので、点滴治療は容易になっていた。塩酸モルヒネの持続点滴にして、疼痛時は時間量のフラッシュと定期量の漸増で対応することにした。

 実際の痛みもあるが、精神的な問題でやるせない感じがして訴えが多くなると判断された。鎮静剤としてドルミカムを投与して、少しでも穏やかに過ごせるように調整することにした。

 癌終末期でも、ドルミカム持続点滴はそうめったに行わないので、最後に行ったのはいつだったか忘れたくらいに久しぶりだ。緩和ケアの大津秀一先生流の使い方で、予後が相当短い時に行う治療になる。

 転院後、家族はあまり来院していないようだ。金銭問題で家族にかなり迷惑をかけていたようで、これ以上この人にお金をかけられないということだった。

 

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中葉症候群

2019年03月19日 | Weblog

 昨日通院している87歳女性が発熱と咳・痰の増加で予約外に受診した。何度か右中葉に肺炎を繰り返しているので、さっそく胸部X線を撮影すると、いつもの中葉に浸潤影があり、炎症反応も上昇していた。

 昨年も数回肺炎になったが、外来治療を希望して、経口抗菌薬で何度か治っていた。今回も入院を勧めたが、食欲があるので外来治療を希望した。2~3日みて良くなければ入院と言っておいたが、今日の昼にやっぱり入院すると連絡が来て、午後から入院にした。

 ふだんはケアハウスに入所しているが、今日は遠方に住んでいる娘夫婦が連れてきた。酸素吸入も必要ないので、年齢にしては若く見える患者さんが澄ました顔で病棟に上がってきた。

 中葉(と下葉)の気管支が拡張して、喀痰培養では誤嚥性肺炎のパターンのmultimicrobialな喀痰がとれる。普段は特に誤嚥するような様子はないが、機序としてはそうなのかもしれない。一度地域の基幹病院呼吸器内科に紹介したが、誤嚥による中葉症候群でしょうといわれた。

 喀痰培養では最近ずっと有意菌としてはMRSAが検出される。定着菌として、それは無視してABPC/SBTで治療すると治っていた。ただ気管支拡張があるとブドウ球菌肺炎もありうる。今回もABPC/SBTで治療を開始するが、MRSAも考慮しておく。

 この患者さんは膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)で専門病院に定期的に通院していたが、高齢になって当院のフォローになった。自己免疫性血小板減少性紫斑病もあり、リウマチ性多発筋痛症にもなり、糖尿病もありと、なかなか勉強になる方なのだった。

 

 

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角膜潰瘍

2019年03月18日 | Weblog

 眼科で角膜潰瘍と診断された91歳女性が内科に紹介されてきた。角膜潰瘍は細菌感染・ウイルス感染などで起きるが、リウマチ膠原病など全身疾患で起きることもあるということだった。 シルバーカー(腰かけられる手荷物入れ付きの手押し車)を押して患者さんが診察室に入ってきた。91歳とすれば元気だ。山間の町の診療所に高血圧症で通院している。今日は息子夫婦が連れてきていた。

 全身症状として、特に困っているものはないそうだ。手指関節の疼痛・腫脹はなかった。両膝は強く曲げると痛いので、正座はできないそうだ(これは仕方ないと思っていると)。皮膚症状・筋症状もない。

 眼科で行った検査ではリウマトイド因子は少し上昇していた。炎症反応は陰性で、抗核抗体とMPO-ANCAも提出されていたが陰性だった。紹介なので、胸部X線と手と膝のX線も行ってみたが、手指の関節はOAの変化も乏しくきれいだった。膝はOAの変化そのものだ。

 さらに検査する必要もなさそうで、家族には100%ではないが、今のところ全身疾患としては否定的ですと伝えた。

 

 がんセンターから転院してきた肺癌・トルソー症候群(多発性脳梗塞)の71歳男性は、相変わらずベット上でばたばたと身体を動かしていた。診療情報r提供書に記載はなかったが、転院前から後頸部痛があるのだった。頸部~腹部でCTを行ったが、後頸部に転移などの異常は指摘できなかった。

 動いてMRIは撮影できそうもないので、今のアセトアミノフェンにトラマールを追加することにした(腎機能が微妙に悪くNSAIDは入れにくい)。これが軽快すればADLの改善が見込めると思うが、転移が証明されなくてもオピオイドを使うべきなのか。

 

 

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「不明熱 Fever of Unknown Origin」

2019年03月17日 | Weblog

 丸善で「不明熱 Fever of Unknown Origin」大野城太郎翻訳(カイ書林)を見つけた時に、翻訳本なので買うかどうか迷った。役に立つかどうかわからないが、不明熱の本を集めているので結局購入することにした。「原書は日本国内の一部の感染症専門医には必須の書物として流通している」そうだ。

 内容は系統的なところもあるが、基本的に感染症を中心に記載されている。教科書というよりは、「世界的なエキスパートによるクリニカルパール」なので、診療のコツのようなものが散りばめてあるということらしい。

 教科書としては、野口善令先生の「不明熱の診断学」などがあるので、それにこの本をプラスするとちょうどいいのだろう。研修医に勧める本ではないが、指導医は読んでおいて、ちょっとアドバイスする時に使えるということか。詳細な訳注が追加してあり、amazonの書評に「翻訳者自身に不明熱の本を出してほしい」とあったが、同感です。

 

Fever of Unknown Origin 不明熱

 

 金曜日の午後に、感染症相互評価でがんセンターに行ってきた。検査部で細菌検査を担当している検査技師は一人だけだそうだ。したがって、土日は培養検体が出されてもそのまま保存するだけで、培養に回るのは週明けの月曜日になってからになる。当院は細菌検査担当の検査技師は4名が交代で行っている。細菌検査の仕事は(培養検体が少ないので)1日技師一人で済むくらいの業務なので、その日担当でない他の3人は生化学など他の仕事をしている。

 交代でしているので土日も午前中に出てきて、培養検体があればすぐに培養にかかれるし、血液培養の結果が出ていれば可能な限り報告している。がんセンターのICDの先生に、「細菌検査技師は複数にした方がいいですよね」と言ったが、大きな組織ではいろいろあってあって難しいらしい。

 

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辺縁系脳炎の講義(CareNeTV)

2019年03月16日 | Weblog
 CareNeTVで林寛之先生の講演を見ていた。今シリーズは意識障害で、まずは低血糖の症例が出てきて、そこから意識障害の講義が始まる。バイタルサインの安定を図って、安定していれば意識障害の鑑別になる。
 
 まずはコモンは疾患を考えましょうと始まるが、まれな疾患も知っているとうれしいということで、何と辺縁系脳炎の話に展開する。救急の先生に辺縁系脳炎の講義を受けるのは面白い。
 
Q:わけわっかんない!いやだぁ!と興奮した若い女性が受診した
これは、意識障害?精神症状?痙攣?
〇:精神疾患 精神科に行って下さい
✕:辺縁系脳炎
✋:変猿系脳炎 苦心の跡が
正解は、✕:辺縁系脳炎
 

辺縁系脳炎
 
症状
 1)精神症状
  行動異常、支離滅裂思考、興奮、幻聴、幻臭、精神運動興奮、統合失調症様症状、記憶障害、せん妄、性欲亢進など
 2)痙攣
  痙攣重積、口周囲異常運動
 3)自律神経症状
  呼吸・循環動態不全、持続覚醒
 
自己免疫性脳炎 2つ分けられる
 腫瘍、ウイルスによる
 1)抗NMDA抗体脳炎
  45歳以下、女性、抗NMDA受容体抗体
 2)辺縁系脳炎
  45歳以上、GABA8R・AMPA・・・
 
辺縁系脳炎の原因
 ウイルス性(1次性)22%
 傍感染性25% 
 傍腫瘍性8% 卵巣腫瘍、精巣腫瘍、肺癌
 全身膠原病合併4%
 分類不能41%
 
ABCDEs:Step Beyond AIUEOTIPS
 A:Autoimmune
 B:Blood clot
 C:CVT
 D:Drug
 E:Encephalitis
 s:SLE
 
A:Autoimmune 
自己免疫性脳炎
 抗NMDA受容体抗体脳炎
 抗VGKC複合体抗体脳炎
 橋本脳症 
  甲状腺機能が正常で抗体を検査しないとわからないことも
B:Blood clot
血栓性微小血管症
C:CVT 
脳静脈洞血栓症
D:Drug
薬剤性脳症
E:Encephalitis
その他の脳炎
 急性散在性脳脊髄炎
 Bickerstaff型脳幹脳炎
s:SLE
SLE、神経好中球病
 
抗菌薬関連脳症
1)TypeⅠ痙攣
 ペニシリン、セファロスポリン
 数日以内に起きる
 脳波異常あり
 MRIは正常
 GABA低下による
2)TypeⅡ意識障害
 スルホンアミド、キノロン、マクロライド、ペニシリンG
 数日以内に起きる 
 脳波MRIは正常
 NMDA、D2が増加
3)TypeⅢ小脳失調75%、意識障害33%、痙攣13%
 メトロニダゾール
 数週以内に起きる
 脳波異常はまれ
 MRIで異常(小脳、脳幹、脳梁)
 ビタミンB1低下
 
 
 回復期リハビリ病棟に20歳代後半の女性が、リハビリ目的で紹介されてしばらく入院していた。この患者さんは卵巣腫瘍があった。担当した脳神経内科医が、この患者さんの診断をした病院の先生を「できるなあ」と褒めていた。医療センターから来ている内科専攻医の先生は、そこで経験した辺縁系脳炎の症例(確か5~6例だった)を国際学会で発表していた。これは医療センターの指導医がすごい。
 
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十二指腸潰瘍穿孔

2019年03月15日 | Weblog

 内科の若い先生(内科専攻医)が水曜日の当直だったが、木曜日の朝方に85歳男性が腹痛で救急外来を受診した。10日前から下痢が続いていたという。それだと腸炎になるが、下痢をしている間はそれほどの腹痛は感じなかった。腹痛は前日から起きていた。

 10日間に下痢という病歴で迷ったそうだが、腹部X線は臥位と左下デクビタス(立位になれなかった)をしっかり撮影していた。病院に来てから、前日の当直帯で受診した患者さんを電子カルテでチェックして、この患者さんが気になった。当直だった若い先生は内科再来を診ていたので、病室に行って患者さんを診察した。

 患者さんは認知力低下があり、付き添っていた奥さんもピントの外れた答えをしていて、娘さんが訂正して何とか上記の病歴を確認できた。腹部は上腹部・左下腹部は圧痛がないと答えた。右上腹部から下腹部にかけて、慎重に何度も触診して深めの触診で筋性防御がありそうだ。

 ナースステーションに戻って画像を見ようとした時に、若い先生が病室に上がってきた。一緒に見始めると、若い先生が左下デクビタスで遊離ガスがあるのに気づいた。単純CTをみると間違いなく肝表面に遊離ガスがある。消化管穿孔による急性腹膜炎だった。脱水による腎前性腎不全かと思ったが、案外腎機能は正常域だ。造影CT検査を追加すると、さらに遊離ガスの分布がよくわかった。十二指腸周囲にガスがあり、十二指腸潰瘍穿孔疑いという読影レポートになった。

 外科医に連絡して、緊急手術になった。若い先生は手術に入って見てきます、と言って手術室に向かった。あとで手術に助手で入った外科医に会ったので訊いたところ、十二指腸潰瘍前壁の穿孔でした、と教えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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腰椎圧迫骨折

2019年03月14日 | Weblog

 今日の午前中は救急当番をしていた。腰痛で動けないという63歳女性が救急搬入された。一昨日自宅内で転倒して尻餅をつく形で臀部を打撲した。その後から腰痛で動けなくなり、今日は受診するつもりだったが、家族だけで外出させることができず、救急要請していた。

 この方は昨年11月に右前頭部皮質下出血で地域の基幹病院脳神経外科に入院した。12月から今年の2月まで当院の回復期リハビリ病棟に入院していた。

 状況から腰椎圧迫骨折と判断した。単純X線ではっきりせず、CTでもよくわからなかった(L4かなという印象はあるが)。結局MRIまでしてL4圧迫骨折と診断した。

 整形外科に連絡したが、このくらいでは入院適応としていないようで、NSAID処方で帰宅となった。

 

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きれいな体で解剖してもらいたい

2019年03月13日 | Weblog

 昨日内科クリニックから紹介されたインフルエンザと肺炎の91歳男性は、今年になってから、食事の飲み込みが悪くなっていた。入院してからも、薬を飲むのは無理です、と看護師さんから報告があった。

 今朝泊まり込んでいた奥さんと話をした。クリニックからの診療情報提供書には、肺炎が疑われることと、食事摂取が難しくなっているとのみ記載されていたが、実際はもっと突っ込んだ話もされていた。往診して自宅で看取るのは難しいといわれたそうだ。そこでは数が多くなって往診先も制限していたが、看取りとなると24時間対応になってしまう。

 1週間はインフルエンザと肺炎の治療をして、ある程度軽快したら嚥下訓練を行うが、嚥下は無理と判断される可能性が高い。その場合、経管栄養や高カロリー輸液を希望しますが、と訊いてみた。奥さんはどちらもしなくていいと言う。自然な形で看取ってほしいそうだ。この患者さんは大学医学部の献体の申し込みをしていた。体がボロボロになるまで治療してほしくない、苦しまずに自然に死なせたい、と奥さんは言う。

 そう言われても、肺炎の治療を中止というわけにもいかない。1週間は肺炎の治療をすること、その後に嚥下訓練も行うが、経口摂取できなければ最低限の末梢静脈からの点滴のみを行うこと、末梢血管からの点滴が困難な時は皮下注に切り替えることで同意された。

 奥さんは、きれいな体で解剖してもらいたい、と言われたので、できるだけ希望に沿った対応にしますと答えた。お仕事は何をされていた方ですかと訊くと、高校で英語の教師をしていましたという。当方の卒業した高校でも勤務されていたが、女子高での勤務が長かった。お子さんはおられず、残っている兄弟も高齢でお見舞いに来るわけでもない。まだ元気な時に夫婦で話し合っていたことに基づいて、奥さんが患者さん本人の希望を伝えたという形になる。

 

 

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TIA?

2019年03月12日 | Weblog

 昨日内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が、一過性に左半身麻痺を呈して回復した86歳男性を診察した。施設入所中で職員が対応したので、症状把握は容易だった。

 まず意識が低下して、10分くらい続いたそうだ。意識が回復してから、左半身麻痺があるのに職員が付いた。1時間くらいの経過で麻痺は消失したが、施設の嘱託医が診て、当院に紹介してきた。

 「一過性意識消失のみは一過性脳虚血発作ではない」、とされているが、この場合は半身麻痺も一過性に出現して回復しているので、全体的にTIAになる。

 画像では異常がないことを想定して頭部MRIが行われた。陳旧性のラクナ梗塞を認めたが、予想通り新規の脳梗塞はなかった。ただMRAの所見が想定外だった。右内頚動脈が閉塞している。それで右大脳が無事ということは、ゆっくりとした動脈閉塞でバイパスができていると判断された。

 TIAというよりは、細々と流れていたバイパスの血流が低下して症状が出現した、と表現するほうがいいのか。バイパス血管なので、血流が低下すると容易に反対側の症状が出現するのだろう。

 昨日はひとり脳神経内科医が休みだったので、当方に相談された。抗血小板薬で経過をみるしかないと思われたが、症状が再発再燃する可能性がある。入院で経過をみるのが無難だろう。

 地域の基幹病院脳神経内科の先生(一番上の先生)に電話で相談してもらうことにした。その結果すぐに診てもらえることになった。この脳血管では、脳梗塞が起き始めれば、左大脳の広範囲が巻き込まれると予想される。

 この内科専攻医の先生は神経内科志望だが、先方でもわかっているらしく、わからないことがあったらいつでも相談していいといわれているそうだ。指導医に愛されるキャラクターで何よりだ。

 その病院の脳神経内科から、1月初めに脳出血後遺症の93歳女性が当院に転院してきた。脳室穿破もあり、意識障害が遷延していることから、末梢点滴のみで経過をみてDNRの方針となっていた。当院に来てからも家族に確認したが、その方針でいいということだった。

 1か月経過すると、発語はないが開眼するようになった。もう一度家族に確認したが、経管栄養も高カロリー輸液もしなくていいというのは変わらなかった。

 それからも末梢点滴で経過をみていて、2か月が経過した。家族は、経管栄養は望まないが、高カロリー輸液にして療養型病床のある病院に紹介してほしい、と希望された。今さらな感じもあるが、今日CVカテーテルを挿入して、高カロリー輸液に切り替えていくことにした。

 今日はインフルエンザA型罹患+肺炎併発の91歳男性が入院した。いかにも当院らしい入院だ。 

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