なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

総胆管結石

2021年12月11日 | Weblog

 水曜日の当直の時、午後6時過ぎに心窩部痛の79歳女性が救急外来を受診した。ふだんは消化器科に原発性胆汁性胆管炎(PBC)で通院している。処方はウルソとフィブラート製剤が出ている。

 その日の午後から心窩部痛があり、続いているというが、実際は間欠痛らしい。受診した時は、ほとんど治まっていた。発熱はなく、心窩部に軽度の圧痛があるようなないようなという程度だった。ご本人が(結果的に)受診しなくてもよかった、と言っていた。

 3年以上上部消化管内視鏡検査はしていなかった。胃酸の薬(速効性のあるタケキャブにした)を数日処方した。内視鏡検査は次週しか空いていない。予約をとって、症状が続く時はその前に受診して消化器科で相談してもらうことにした。

 翌日に心窩部痛が続くとまた受診してきた。消化器科で腹部エコーを行うと、胆嚢頸部に小結石を認めたが、胆嚢炎の所見はなかった。総胆管は径6mmで拡張なしとされた。

 血液検査で白血球11400・CRP0.3と炎症の初期像の結果があった。肝機能障害があり(ふだんは正常域)、胆道系酵素も上昇していた(血清ビリルビンは1.4で黄疸はない)。

 腹部CTでは総胆管拡張はないが、総胆管末端に結石がある。乳頭部に嵌頓しているようだ。前夜は総胆管結石が末端に嵌頓しかかっていたのだろうか。受診した時に症状が軽快していたので、簡単な処方だけにしてしまった。

 総胆管結石に対する内視鏡治療の適応なので、地域の基幹病院消化器内科に紹介となった。問題なく受診できたようなので、ベットがあったのだろう。なかなかベットが空かない病院だが、その中でも消化器内科は一番ベットが空かない。

 

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椎間板ヘルニアだけ?

2021年12月10日 | Weblog

 水曜日は当直だった。午前5時すぎに近くの温泉施設に宿泊している61歳男性が腰痛と右下肢のしびれで救急搬入された。

 2~3日前から腰痛があったが、定期的に来ているその施設に車を運転して予定通りにきていた。来た時から腰痛に加えて、右下肢のしびれがあり、食事もとれず、温泉にも入れなかった。

 朝方になって症状がひどくなったので、救急要請した。当院の検査は夜間は呼び出しになるので、緊急性がなければ実施しない。またMRI検査は夜間は基本的に頭部しか実施しないことになっている。

 検査は通常の診療が始まったからになりますと伝えたが、それでもいいという。患者さんは痛みで考える余裕がなかったのだろう。

 搬入されると意識は清明で、右上肢の症状はない。右腰部~臀部~大腿部の屈側にかけての痛みがある。左下肢は普通に挙上できたが、右下肢は30~45度の挙上で痛みが誘発される。

 症状からは椎間板ヘルニアなどが疑われた。気になったのは救急隊到着時の体温測定で37.4℃の発熱があった。救急隊でも搬入依頼の時に報告はなかった。病院で測定すると38℃あった。他に炎症巣・感染巣がなければ、化膿性脊椎炎?。

 点滴ラインを確保して、アセリオ注1000mgを行った。午前8時30分になったら、画像検査と血液検査を行うようにオーダーした。

 診療時間直前に見に行くと症状は軽減していた。血液検査の結果は炎症反応は陰性だった。発症初期のためなのかはわからない。

 腰椎MRIではL2-3、L4-5 で椎間板の後方突出を認めた。L4椎体の前方下部に脂肪抑制T2高信号を認める。炎症はあるのは間違いないが、化膿巣かどうかは確定できない。

 この方はたまたま当地の温泉施設に来ていただけで、住所は県庁所在地にある。当地に入院しても不便なだけだが、痛みがあると車で帰ることもできない。

 自宅近くの整形外科のある病院を受診したことがあり、全国チェーンの総合病院も近くにある。可能ならそちらで診てもらうのが 都合がよい。

 高齢の整形外科医に相談すると、硬膜外ブロックをしてくれた。その後診に行くと、まだ効果今ひとつのようで、ジクロフェナク座薬50mgも使用した。

 しばらくして救急室に行くと、患者さんは整形外科からNSAIDなどの処方を受けて帰ったそうだ。歩けるくらいにはなったようだ。

 

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血液培養を出してください

2021年12月09日 | Weblog

 血液透析を受けている患者さんが発熱で受診した。月曜日に担当の先生から、新型コロナ(抗原定性)とインフルエンザの検査は陰性だったが、どうしようかと相談されていた。

 細菌感染でしょうから、画像はCTで確認して、血液検査(と採取できれば尿検査)で判断しましょう、お伝えした。水曜日に確認すると、火曜日に入院していた。(火・木・土に透析の方で、土曜に発熱の話で迅速検査をして、火曜の透析日に検査後入院した)

 胸腹部CTで両側肺に胸水貯留とそれに接する肺に無気肺様の像がある。そこの部分に肺炎があるかどうかは確定できない。尿が出る方で、尿沈渣では白血球>100/HPF・細菌(3+)だった。CTで両側腎臓は萎縮というか菲薄化している。

 

 尿路感染症(急性腎盂腎炎)の方が考えられるのかもしれない。抗菌薬が開始されていたが、培養検査が提出されていなかった。培養を取ってください、あるいは培養を(当方が)取りましょうかというのを忘れていた。

 透析患者さんだと、血流感染の可能性があるので、血液培養2セットを取っておきたかった(採取できれば尿培養も)。シャントのある上肢は使えないので、対側の上肢からの採血(主には肘部の正中と前腕の静脈)になる。

 静脈からの採取ができなければ、患者さんからは嫌がられるが、動脈から2セット採取も最近出している。翼状針を使用すると、動脈からでも20mlの採取が安定してできる。

 血液培養の採取数が極端に少なくなって、抗菌薬適正使用チームとしては検討例がなくて困っている。発熱(細菌感染疑いの)とみれば、こちらから取りにいかないとだめなようだ。

 

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肺結核疑い?

2021年12月08日 | Weblog

 消化器科医が紹介されてきた77歳男性の画像を見ていたらしい。医局のコンピュータの画像モニターが開きっぱなしになっていた。一見して肺結核の画像だったので、これまでの経緯を確認した。

 7年前に食道癌で市内のクリニックから地域の基幹病院外科に紹介されて、さらに大学病院外科に紹介された。大学病院で手術をして、その後は担当医が開業したのでそちらのクリニックに通院していた。

 遠方でもあり、胸部X線での陰影も気になるということで、当院消化器科に紹介されてきた。大学病院にいた時に長く当院にバイトに来ていた先生だったので、当院消化器科医とは馴染みだった。(人柄も技能も優れた先生で、ジャニーズ系の顔立ちでもあり、看護師さんに大人気だった)

 右肺上葉に気管支拡張を伴う陰影があり、胸膜浸潤・胸水貯留もある。どう見ても結核で、放射線科の読影レポートも肺結核疑いだった。

 

 外来で喀痰培養(抗酸菌と一般)を出そうとしたが、ごく少量した出なくて、検査室からこれでは無理ですといわれていた。次週の呼吸器外来(非常勤医師)に紹介することにしていた。

 外来の中央処置室で喀痰を出そうとして頑張ったのだろうか。専用の喀痰採取室はないので仕方がないが、結核疑いだと危険なことになる。

 

 ただ2年前に肺炎で内科に入院した既往があった。担当は別の先生だが、その時は肺炎球菌肺炎として治療して軽快していた。喀痰培養は陰性だが、尿中肺炎球菌抗原が陽性だった。

 セフトリアキソン投与で解熱して、炎症反応上昇は普通に軽快していた。画像では今回は見られない斑状影散在があった。その分を差し引くと、2年前と今回の画像は大きくは違わない。陳旧性肺結核のところに、肺炎球菌肺炎を来して治癒したということになるのか。

 そうなると、念のため喀痰の抗酸菌染色(+結核菌PCRと培養)で確認して、活動性肺結核でないことを証明すればいいのだろうか。来週の呼吸器外来で判断してもらう、で問題ないのかもしれない。

 

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前立腺癌?、前立腺炎?

2021年12月07日 | Weblog

 先週の金曜日12月3日に、85歳男性が地域の基幹病院救急科から転院してきた。一人暮らしで娘さんが通って世話をしていた。

 12月1日に娘さんが訪問した時には不在で、行方が分からなかった。近隣の住民が創作して、林の崖下に倒れているの発見した。その日は雨で、全身びしょ濡れ状態だった。

 先方の病院に救急搬入された時、体温が29.1℃まで低下していた。体温以外のバイタルサインは問題なかった。低体温症として、治療(加温)して、体温は36℃まで戻った。不穏があり、ドルミカムを使用したとある。

 そのまま自宅退院とはできないので、12月2日に転院依頼が来た。空きベットがない病院なので、翌日の3日に転院してもらったという経緯だった。

 診療情報提供書には、社会調整の問題と、炎症反応上昇・腎障害(もともとCKD)・血液凝固異常の問題があり、入院治療をよろしくとあった。当院向きの患者さんだった。

 今回のエピソードはもともと認知症相当で、徘徊して自宅に戻れなかったということのようだ。転院後も落ち着かず、病棟の看護師さんが体幹抑制することになった。就寝前のデジレル25mgと、不穏時のセロクエル25mg錠も処方した。薬剤調整をして、見守りだけで抑制なしにもっていきたい。

 介護保険申請もこれからで、施設入所までは少なくとも3か月はかかるだろう。一般病棟で診て、地域包括ケア病棟に移動して、手続きを進めることになる。

 

 転院後も微熱が続き、炎症反応の上昇が続いていた。送られてきたCDに入っていたCT画像を見ると、前立腺肥大がある。

 

 尿所見は混濁していて、尿路感染を示唆していた。血清PSAを測定すると、30ng/mlと上昇していた。前立腺癌か前立腺炎による上昇だった。

 前立腺炎の治療をして、血清PSAが低下するかどうか確認する必要がある。泌尿器科の先生(非常勤)にも相談することにした。

 

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脳梗塞再発

2021年12月06日 | Weblog

 11月30日に70歳男性が神経内科に脳梗塞で入院した。複数の脳梗塞をきたしていた。

 3年前に地域の基幹病院脳神経内科からハビリ目的で当院に転院していた。その年に2回、左椎骨動脈を原因とした動脈原性脳塞栓症を認めていた。

 10月に意識障害で同院に救急搬入された。頭部MRI拡散強調画像で両側視床内側・脳梁膨大部・両側後頭葉に高信号(梗塞巣)を認めた。左椎骨動脈の閉塞があり、動脈原性脳塞栓症と診断された。(心電図は洞調律で心房細動はない)

 その後当院のリハビリ病棟に転院してきて、退院後は当院の神経内科外来に通院していた。約3年間変わりなく過ごしていたようだ。

 

 今回は意識障害はないが、歩行できないという症状で受診している。頭部MRI拡散強調画像で左小脳などに複数の高信号域(梗塞巣)を認めた。心電図はやはり洞調律だった。

 左椎骨動脈以外の脳動脈硬化も目立つ。しかし、脳動脈硬化からのラクナ梗塞が一定時間内に多発性に起きたというよりは、今回も動脈原性脳塞栓症と考えられるのだろうか。

 

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新型コロナ後遺症

2021年12月05日 | Weblog

 厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント 暫定版」が公開された。

 後遺症ではなく、罹患後症状という表記になっている。罹患後症状とは、「COVID-19罹患後、感染性は消失したにもかかわらず、他に明らかな原因がなく、急性期から持続する症状や、あるいは経過の途中から新たに、また再び生じて持続する症状全般をいう」。

 「罹患後症状が永続するかは不明である」とわかっていないので仕方がないことではあるが、何とも心もとない記載になっている。

 内容は症状が並べてあって、具体的な治療法はなく、それぞれ専門科に紹介とあるだけだった。暫定版とあるので、今後の知見で追加していくということにして、雛型を作成して置いたということらしい。

 

 症状の推移に関しては、忽那先生のYahoo Newsの図解がわかりやすい。

急性期の症状は半年後までにはほとんどの人で消失する

発症からの日数と急性期症状が続いている頻度(https://doi.org/10.1101/2021.09.22.21263998を元に筆者作成)
発症からの日数と急性期症状が続いている頻度(https://doi.org/10.1101/2021.09.22.21263998を元に筆者作成)

 

記憶力低下・集中力低下は長期間持続しやすい

発症からの日数と後から出現する症状が続いている頻度(https://doi.org/10.1101/2021.09.22.21263998を元に筆者作成)
発症からの日数と後から出現する症状が続いている頻度(https://doi.org/10.1101/2021.09.22.21263998を元に筆者作成)

 

新型コロナ後遺症の頻度は?

診断後から退院時まで、3ヶ月後、6ヶ月後にみられた症状の頻度(厚生労働科学研究. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究(福永班)より)
診断後から退院時まで、3ヶ月後、6ヶ月後にみられた症状の頻度(厚生労働科学研究. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究(福永班)より)
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血液疾患

2021年12月04日 | Weblog

 病院の職員が家庭の事情でしばらく休むという話を聞いた。家族が悪性リンパ腫にかかっていて、病状が思わしくないらしい。

 専門病院で治療を受けているが、その前に当院の外来も受診していたという。昨年のことだが、当院の対応がどうだったか気になった。

 患者さんは50歳代前半の女性だった。最初は発熱が続くとして、休日の救急外来を受診していた。その前にも市内のクリニックを受診していたが、発熱が続いていた。日直は当時の循環器科医だった(昨年度で退職して循環器科は閉科)。

 血液検査では白血球10000・CRP1.8と炎症反応上昇があった。白血球分画で単球が17.0%と上昇していた。AST 45・ALT 51・LDH 822・ALP 110・γ-GTP 70と肝機能障害を認めた。胸部X線検査で肺炎はなく、尿路感染症も否定的だった。

 全身状態としては悪くないので、アセトアミノフェンだけ処方されていた。その後平日も受診して、発熱外来扱いになった。発熱外来担当は外科医だったので、新型コロナとインフルエンザの検査陰性をみて、内科新患に回した。

 当時内科新患を担当していた内科の若い先生が診察していた。3年目の先生なので、外来でも病棟でも大抵のことは相談してきていた。この患者さんのことも相談されていたはずだ。

 血液検査の結果は初診時とあまり変わらず、胸腹部CTを施行していたが、読影レポートは異常なしとなっていた。実際はCTで肝脾腫を認めるが、リンパ節腫大は表在も胸腔内・腹腔内も認めなかった。

 年齢的には高齢すぎるが、単球増加が異型リンパ球の可能性があり、肝機能障害と併せると伝染性単核球症疑いになる(あるとすればサイトメガロウイルスの方だが、さすがに30~40歳代までだろう)。EBウイルス・サイトメガロウイルスの検査を提出したが、両者とも既感染だった。

 その後も発熱が続き、白血球分画の単球増加が目立ってきて32.5%となった。芽球は認めていないが、白血病の疑いとして専門病院の血液内科へ紹介した。先方からの返事は来ていないようで詳細はわからない。

 当院としてはそれなりに対応したとは思う。今振り返ると、不明熱なのだから、血液培養の提出や心エコーでの心腔内疣贅の有無を見るのも必要だった。

 単球増加からは慢性骨髄単球性白血病疑いとなるが、見込とは違っていたのだろうか。正確にはどのような診断だったのか。

 

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複雑性尿路感染症

2021年12月03日 | Weblog

 火曜日に67歳男性が救急搬入された。知的障害があり、障害者施設に入所している。施設内で倒れているのを職員が発見して救急要請していた。

 意識はあり、反応もふだんと変わらないようだ。1週間前にも倒れて、地域の基幹病院に救急搬入されたが、検査で異常がなかったらしい。時々倒れるのが続いているそうだ。

 精神科病院に通院していて、その件で処方されている抗てんかん薬と安定剤が少し減量されていた。βブロッカーが処方されていて、最初は高血圧症の処方かと思ったが、(本態性?)振戦の処方らしい。

 当院の泌尿器科外来にも通院していて、尿カテーテルが留置されている。前立腺肥大症による尿閉だった。6日前に受診して、尿カテーテルを交換している。尿培養が提出されていて、腸球菌(Enterococcus faecalis)・Morganella morganii・大腸菌ESBLが検出されていた。尿カテーテル留置にふさわしい?菌だった。

 さらに当院整形外科(大学病院からリウマチ専門医が来ている)に関節リウマチで通院していた。プレドニン5mg/日、メソトレキサートが処方されている。免疫不全の患者さんということになる。

 搬入時に血圧が90台だったが、それ以外はバイタルに問題はなかった。βブロッカーの効きすぎかもしれないと思った。体温が37.2℃と微妙にある。整形外科からトラムセット(アセトアミノフェン入り)が処方されているので、発熱がマスクされている可能性がある。

 検査で白血球18800(ふだんは8000くらい)・CRP17.9と炎症反応が上昇していた。肺炎か尿路感染症が疑われた。胸腹部CTで明らかな肺炎はなかった(右肺下肺野背側に浸潤影?)。

 膀胱壁はかなり肥厚して、膀胱の右側に憩室様に張り出した部分があった。前立腺は肥大している。血清が91ng/mlと上昇していた。前立腺癌か今回急性細菌性前立腺炎を来しているのを反映しているのかもしれない(抗菌薬投与後の再検を要する)。

 尿培養を提出するのにカテーテルを入れ替えて採取さしたが、肉眼的には案外きれいだった。それでも尿検査では混濁(膿尿)していた。血液培養2セットは両肘の静脈から簡単に採取できた。

 血圧が少し低下しているのは、案外敗血症性ショックなのだろうか。患者さんから重症感は伝わってこなかったが。

 前回の尿培養を参考にESBLカバーのカルバペネム(メロペネム)で開始した。入院後は食事摂取もよくなり、当初からないが、重症感はない。(バンコマイシンの投与は見合わせた)

 今回の尿培養からは、腸球菌(Enterococcus faecalis)・緑膿菌・大腸菌ESBLが検出された。血液培養からグアム陰性桿菌が検出されている。菌名はまだだが、検査室では大腸菌ESBLではないかと言っていた。

 

 

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問い合わせ

2021年12月02日 | Weblog

 昨日、市医師会長をしている先生から、相談なんだけど、と電話が入った。

 患者さんは70歳代男性で酒ばかり飲んでいて、あまり食べられないと言う。点滴と消化管の精査をしたいということだった。

 両下肢の浮腫があって、利尿薬を処方してそれは改善しているそうだ。貧血はさほどではなく、血清蛋白はむしろ高めという。おそらく血清総蛋白が高めで、血清アルブミンは低値・血清グロブリン高値というパターンだろう。

 アルコール性肝硬変による浮腫なのだろう。利尿薬を処方して水を引くと、食欲不振になったりすることはある。肝性脳症があると、利尿薬投与で血清アンモニアが上昇するのもある。

 患者さんは入院はしたくないと言うので、外来での点滴と、胸腹部CTで検討をつけて、内視鏡検査をするかどうかになある。患者さんがよければ、どうぞ受診させて下さいと伝えた。電話の向こうで患者さんの声が聞こえたが、案外張りのある声だった。

 結局昨日は診療情報提供書がFAXされることもなく、患者さんは受診しなかった。

 

 午後に市内の内科小児科クリニックの先生から電話が入った。もともとは外科医院だったが、その息子さんが内科、息子さんの奥さんが小児科で、開業医を継承していた。

 電話は内科医の息子さんではなく、小児科医の奥さんからだった。そばに息子さんもいるらしい。内容は87歳になる外科医の父親が食欲が低下しているというものだった。

 食欲不振というよりは嚥下障害があるのかもしれない。少し熱があって抗菌薬を投与しているという。誤嚥性肺炎なのだろうか。

 貧血が進行してHb10g/dlだったのが7.5g/dlくらいに低下しているそうだ。小球性ですかと訊くと、正球性だという。明らかな消化管出血はなさそうだった。

 むしろ骨髄の問題で、骨髄異形成症候群(MDS)などかもしれません、と伝えた。外来に来てもらえば診察・検査をするし、入院でもいいですと返答した。

 まだ紹介のことは父親本人には相談していないので、後でまた連絡しますという。その後、病棟で血液培養を採取していると、また電話が入った。

 本人と相談して少し様子をみることになりました、という。貧血の原因が骨髄疾患かもしれないので、専門の病院を受診させようとなったのかもしれない。

 

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