Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

日本の美術館の歩き方

2016-09-03 10:59:00 | 異文化


「The art lover's guide to Japanese museums」(2014)
その邦訳「フランス人がときめいた日本の美術館」(2016)
この2冊の著者であるソフィー・リチャーズさんの講演が六本木の国立新美術館にてありました。海外からのアート好きのお客さんが多く、東京案内もネタが尽きた私にもってこいと思って参加しました。

著者はフランスで美術を学び、パリ、NY、ロンドンでアートリサーチャー、美術ジャーナリストとして活動、その傍ら自費にて何度も日本を旅し美術館巡りをしたそうです。

全国の特徴のある美術館として(日本の伝統的な工芸/美術にまつわるものが多い)

法隆寺宝物館
旧朝倉家住宅
河井寛次郎記念館
箱根ラリック美術館
中村キース・ヘイリング美術館
根津美術館
樂美術館
佐川美術館

最新の傾向として(日本の伝統と世界的なモダンアートの融合)

十和田市現代美術館
青森県立美術館
大分県立美術館
Benesse Art Site

を写真付きで解説してくれました。

美術館の紹介の前にソフィーさんが言いましたが、日本にはクオリティもオリジナリティも高い美術館/博物館がとても多いのに、英語による発信が少ないため、海外にその情報がほとんど無い、とのこと。そして公的機関の館だけでなく、個人や企業
設立による館も多い。

(まったくその通りで、夫の友人や親戚などが日本に来るたびに、私もまったく名前も知らない美術館に彼らを連れて行くと言って、美術館の日本語ウェブサイトを私が読まさせられるのです。たまに英語サイトがあっても、情報が日本語ほど詳しくなく、アップデートもされていないのです。)

日本の美術館は西洋に比べて短期間で展示も変わり、その入れ替えに1週間ほどクローズする習慣があり、それも注意しないといけないとのこと。
また、美術館にたどり着いても、展示品解説に英語がないと、展示物のことがわからないとも。

特に個人所有の美術館では靴を脱がなくてはならない場所もあり、外国人にとっては何度も脱いだり履いたりは大変だという意見もあるが、靴がないことで館内が静かになって、五感で建築物や展示を感じられる利点もある。

などなど90分に渡る講演とQ&Aでした。



個人的な感想(当たり前か)など

私の参加するイベントは、女性が圧倒的に多いものがほとんどなのですが、これは男性も多かった。しかも年齢層も広かった。Q&Aではおじさん二人が日本の伝統文化に関する質問をしたのが「え?」だった。フランス人の美人さんが自国の文化に興味を持っていることが嬉しいのはわかるけど、講演は英語&通訳だったのだけどおじさんは拙いフランス語を喋ろうとして的外れなのでは。Q&Aの後も、個人的な質問がある人はソフィーさんに聞いても良い、とのことだったので、私は本書出版後にできた新しいおすすめ美術館があれば聞きたかったのに、またそのおじさんが著者と話に行って待たなくてはいけなかったので、諦めて部屋を出ました。

日本語を読めない人にとってはブラックホールであろう日本の情報網中、「ベネッセの美術施設は英語発信にとても頑張っているので、おそらく世界で一番有名な日本の美術館」だという話を聞きました。実際、私の夫も友人と行ってます。と、いうことは、町おこし、国おこしには英語発信するだけでいいのでは?と思いました。「クールジャパン」でアニメとマンガを世界に売るのはもう翻訳されていて成功してるではないですか。「伝統文化」と「最新アート」を持つ日本を売るには、相手にわかる言葉で発信するだけ。経済大国じゃなくても、イタリアのように観光大国になれば世界へ対して日本が自信を持てると思うんですが。