Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

「はいからさんが通る」展

2017-12-22 22:38:00 | いろいろ


弥生美術館で開催中の「はいからさんが通る」展に行ってきました。

発案者は5歳の姪っ子で、今新しい劇場用アニメが制作されたり宝塚で舞台となったりと、何かとリバイバルしていたのですね。

最新アニメは、やはり最新の絵柄で、展覧会で70年代の美しい華麗な原画を見ると心の中では「原作の良さがない」と思いましたが、今のセンスをよしとするお若い方が入門として出会うには、作品が長く伝えられる良ききっかけとなりましょう。

展示は、作品発表の1970年代から遡り、今から100年前の大正時代の風俗とともに見せていました。これぞ竹久夢二美術館の弥生美術館ならでは。

そして原画の方も、マグゴナガル先生のような女学校の先生が、「日本の母として、良き教養を身につけ、殿方に見出されるのです。」と教育しているところに、フェミニストの美しいお嬢様が現れ、「私たちが殿方を選ぶのです。」と言ってのけるページ紹介しておりました。

そうです、おそらく70年代にすでに時代錯誤だった大正時代の理想の女子を袴とブーツで蹴ちらすオテンバで男勝りなはいからさんは先生を驚かしていたのですね。

しかしですねー、70年代に時代錯誤だった理想の女子像が、それから半世紀たっても日本ではあまり代わり映えしてないことにショックを覚えました。

さすがに今は「日本の母」という女の先生こそいませんが、何やらお上の方では少子化対策として女性に子供を産むよう圧力をかける方向でキャンペーンを案じているではありませんか。国のために子供を産めというのはまさしく「日本の母」の押しつけです。

ところで一方、はいからさんのような「オテンバで男勝りの元気な主人公」というのは、昔から少女漫画の主人公のステレオタイプでもありました。ハイジ(少女漫画じゃないけど)、キャンディキャンディから、オスカルまで。

やはり女の子がなりたい女の子は自由で強い子なのに、少女漫画を読まなくなる年頃になると、男性や社会に都合のいい女性像の型にはめられて行ったのですね。

はめられない女の子はいつまでも少女漫画も読むし、男性や社会のために生きたりしませんし。

それにしても70年代の少女漫画の華麗で豪華な絵柄はいいです。大好きです。

はいからさんの伊集院忍は大日本帝国陸軍の軍人だというのに、10頭身で、ハーフとはいえ金髪だし脚は長いし、彼が来ているととてもあの帝国軍の制服に見えません。

忍さんだけでなく、蘭丸ちゃんとか、女の子に見える美少年もよく登場していました。女の子はいつだって綺麗な男の子が好き。

絢爛豪華な少女漫画、だいぶ70年代の映画や音楽、ファッションの影響を受けていたと思います。だから好きなのかも。



フォンダン・ショクバ

2017-12-20 20:39:00 | 近況
      

今日、ショクバのマネージャーにハーゲンダッツの「フォンダン・ショコラ」をご馳走になりました。

寒さのあまり、ぜんぜんフォンダン(フランス語で「溶ける/柔らかい」の意)じゃなくて中心まで凍ったままで全体がクリスピーでしたが、美味しかったです。

「ここで熱いブラックコーヒーがあったらなあ」と思ったのですが、先日私がお客様用のコーヒーを入れて自分で飲んでいた時、マネージャーに「Mさん(マネージャーの上の人で時々オフィスに来る)がいる時はコーヒー入れてたらダメだよ」と注意されたので、なんとなくMさんはいなかったけど遠慮して我慢したのでした。

そのあと、オフィス外のフロントデスクの方でPCに向かってたら、「しましまさーん、コーヒー入ったよ」と先輩が呼んでくれるではないですか?!

ああ!私の心は見透かされていた!!

コーヒーくらいはどこの職場でも無料で飲めますけれど、うちは「サービス付きアパートメント」なのでオフィスにあるコーヒーメーカーとコーヒー豆は宿泊客の朝食サービスを提供するための備品で、マネージャーも一応、上にはそれを自分たちが飲んでることは公にしてないというわけだったのです。

しかしそのマネージャー、遅刻する人がいる時はオフィスにいる人がタイムカードを押してあげたり、暇なのに人手が余ってる時は30分くらい先にあげてくれてタイムカードはシフト通りに押してくれる人。

でも社員はみんな真面目に出勤してますから、お互いにサボってるのではなく、電車遅延などの不可抗力での遅れはカバーしておこう、無駄に時間をつぶすくらいなら業務上なんの支障もないから部下を帰す、というポリシーのようです。

つまり仕事は仕事でちゃんと求められますが、いらない規律や規則は求めないのだと思います。ああ、やっと本当に外資らしい職場に来れました。

男性なので、最初は同じ男性の部下に対する口のきき方などに私はビビって、硬直していましたが、1ヶ月が過ぎてようやく少し慣れてきました。

というのも気がつけば、今までの私の上司は女性が多く、女性は裏でどう思っていようとも、表面上の言葉は丁寧だから、男性のビシッとダメ出しをする言葉が怖かったのですね。だって「何やってんだよ!」とか「ダメだよ〜!」とか・・・

そんな私だというのに、実は私が採用されたのは、今まで5名体制だったゲスト・サービス(フロントスタッフ)のうち、ふたりの女性が産休に入ったから。

マネージャー含む残りの3人は男性で、私が入ってからもうひとりの女性スタッフが異動してきたのですが、彼女は来月退職することが決まり、私は乙女の園から野郎ばかりの世界へと迷い込んでしまったのでした?!


そうそう、英語はちっとも上達してません(そもそも話すべき内容が日本語でもわかってない)が、「サートゥンリー」は何回か言いました!でも大体私がフロントデスクにいる時にお客さんが来て話し始めると、それを聞きつけた別のスタッフがオフィスから出てきて対応してくれるので、やっぱり私はぬるま湯に浸かってフォンダンしてますね・・・早く対応できるようになりたいなあ!



ザ・クラウン 2

2017-12-16 20:55:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


Netflixで「ザ・クラウン」のシリーズ2が12/8から配信されています。

早速夢中で見ました。面白いです。

現存の女王様のお話、ドラマとわかっていても、ロイヤルファミリーに歴史上の事件や政治家が続々と登場して、リアルだけれども見せ場もたくさんです。

世界を動かす国家元首やファーストレディを向こうに回し、政治に直接介入はないにしろ、国の利益のために公務を務める女王。

男性の王ならばなくていい苦労を実感したシーズンでした。それは、夫よりも妻の地位が高いことで夫との関係が難しくなることと、妊娠・出産です。

ドラマ「ヴィクトリア」でもヴィクトリア女王の夫アルバートは妻の後ろに控えるのが苦痛そうでしたが、それからググッと時代が100年も下っているのに、しかもこの未だ男尊女卑の日本から見れば女性の立場が強そうなイギリスなのに、

やはり立場が妻より弱い夫というのは、ぐずぐずとひねくれて公人の妻をサポートどころか足を引っ張るような不祥事ばかりしでかし、女王の悩みを増やしていました。

エリザベス女王の場合、妹がまたヤンキーで結婚願望強いのに男運がないものだから、心が休まる暇もありません。このマーガレット役の女優さんがまた本物の王女に似ていて美しいんですよね。

マシュー・グードが演じる王女の夫というのが、母の愛に満たされないバイセクシャルの遊び人・・・男というのは女性からの愛に飢え、そして妻より上の立場にいたいのだということがよーくわかるドラマです。

そうして家族と社会が動く中、自分も妊婦となり4人も出産をこなしていたなんて女王様、本当にお疲れ様ですと思いました。男性にはとても務まらない役どころです。

シーズン通して心に残ったのは、マクミラン首相が体調を理由に辞任するときの女王の言葉、

「私が女王になって10年が経ちました。その間に首相はあなたを含めて3人がなりましたが、誰一人として職務を全うしていません。皆、健康や年齢、心の弱さが理由で途中で辞めるんです。」

ちょうどこのセリフが上にも貼ったトレイラーにも出ています。

そして同じピーター・モーガン脚本の舞台「ザ・オーディエンス」か映画「クイーン」でも、彼女の前を何人もの首相が代わる代わる通り過ぎたことが女王の台詞であったと思うんですよね。どっちだったかなぁ・・・ブレア相手に「クイーン」の方だったかしら・・・


それから!!

次のシーズン3からは、女王役がオリヴィア・コールマンになると!そしてエジンバラ公フィリップはマット・スミスのままだと!!そのふたりの夫婦の絵が想像できないんですけど、オリヴィア・コールマンがついに女王様かあ〜〜〜威厳あるだろうなあ〜〜〜マット=フィリップはどんなにぶーたれてももうあの女王にはかないませんって。









アウトランダー シーズン3前半

2017-12-14 22:01:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


アウトランダー/シーズン3がhuluでエピソード10まで配信されました。

18世紀のカロデンの戦いでジェイミーが死ぬのは避けられないと、彼の子供を無事に産むためにクレアが20世紀に石を通って戻って20年後、

ジェイミーが生きていたことを歴史家が発見、都合よく(?)20世紀の夫フランク・ランダルも亡くなったクレアは再び200年の時を超えスコットランドに戻ってきた。

というシリーズ3。

華やかだったパリが舞台のシーズン2に比べ、トーンはかなり地味に。

主役ふたりが20年歳をとっただけでなく、ジェイミーは隠遁生活とクレアを失った悲しみで、勢い余っていた若者ではなくなっていました。

20世紀では看護婦から医者へとキャリアアップして戻ってきたクレアは、しかも別の女性と結婚までしていたジェイミーを受け入れられず「こんなはずじゃなかった!」と悲嘆にくれます。


という暗い幕開けだったのですが、なんだか私には3が2よりも面白いと思えて毎週エピソードがアップされるのが楽しみです。3はエピソードいくつまであるのかしら。

面白いと思える理由を考えると、クレアってここだけの話ですが、老け顔なので雰囲気に年齢が追いついたのですんなり中年わけあり夫婦の話としてドラマを見ていられること、

クレアの出しゃばり気質も年齢とともにちょうど良くなり、私も見慣れてきて以前だったら「なぜそこでそんなに大騒ぎする?!」と思っていたような行動も「やはり言いたいことは言わないと男の思うツボだわね」と応援できるようになりました。

ジェイミーも父だと名乗れない息子もいて、勢いが勝負だった若い頃よりも人間的な複雑さがより魅力的に。

しかし、何よりもすっきりとしたのは、フランクとの関係が失敗という形で終わったことかもしれません。1〜2を通してクレアがジェイミーとフランクの間でどちらにも受け入れられてうまく生き続ける・・・これが私にはどうしても腑に落ちなかったのです。

そして私が2で大好きだったフランスの少年ファーガスがハンサムな青年に成長してまたジェイミーの周りにいることも嬉しいです。

舞台はスコットランド〜パリ〜ボストンから、何とジャマイカに移りそうですし、海の男達との帆船の旅も面白い(衛生的にはかなり難ありですが)です。

続きが待ち遠しい!


オリエント急行殺人事件

2017-12-11 20:58:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


実を言うと期待値はそれほど高くなかったのですが、クリスティーの小説は好きだし、キャストも舞台も豪華で楽しめそうだなと、単純に楽しむために見に行って、期待以上にとても楽しめました。

シネコンの中でも大きなスクリーンでの上映のおかげで、イスタンブールの風景も旅行気分に浸れるほど迫力がありましたし、何と言ってもタイトルの急行列車そのものの迫力は凄いものでした。

南国のイスタンブールを出てすぐに大陸の平原の雪景色になり、夜の列車は雪山の間を煙を吐きながら走り続けます。

もう私はこの辺で、日本やイギリスのような小さな島国ではない、とにかく延々と続く大陸の田舎の恐怖に震えました。

大自然の中、熱く火花を出して回り続ける汽車の車輪はオーガニックで繊細な生き物のようで、よくもヨーロッパ大陸を横断などと恐ろしいことを考えた人がいるものだと感心しました。

しかも落雷で起きた雪崩が直撃で、よくも山の斜面の橋げたで先頭車両のみの脱線で済んだものだと、事件が始まる前からヒヤヒヤしました。

こんなに怖かったのは私くらいのものでしょうか?ひとりで電車やバスに乗っている時、都会を出ると怖くなる、私は田舎恐怖症かもしれません。

車両が斜めってたくらいの事故ですが、車内の暖房や調理施設などは無事のようで一安心。山の斜面に引っかかってるのに、お食事は続けられます。

食事といえば食堂車、と言っても豪華レストランですが、軽食ブッフェコーナーみたいなところに「GODIVA」の文字が見えました。コラボしてるんですものね。映画の半券をゴディバのお店に持って行くと、チョコレートがプレゼントされるそうですよ。

そうそう、そのレストランの調理室シーンもあり、シェフたちが最低でも2〜3人は火を使いながらご馳走を作っていました。またそれを給仕するサービス係の人達もいらっしゃいました。

それで、殺人事件が起きて乗客全員が容疑者としてポアロに集められるのですが、それがたったの12人!個室車両とレストラン車両、おそらく5両編成くらいの列車にたったの12人で満室ということに、改めて驚きました。

ポワロの寝ていたベッドは確か1等の客室のはずですが、寝返りも打てないくらい狭いベッドで、細い廊下から個室へのドアは1車両につき4〜5くらいあったと思います。ポワロは最初は誰かと相部屋だったので、ベッドの数は12よりも多いと思いますが、たった12人のお客のために、マネージャー、車掌、料理人、支給人、そして操縦士とその助手が働くわけです、もしかしたら皿洗いなどをするキッチンメイドもいたのかもしれません。贅沢な旅のわけですね!!

急行列車のことばかり気になってましたが、

ケネス・ブラナーのエルキュール・ポワロはなかなか良かったです。有名なスーシェ版よりも個人的にはムッシュウ・ケネスの方が好みです。何と言ってもおっきな灰色のお髭がいいです。ブラナーももう若くはないなとなっても、こういう役があるので俳優さんも一生チャレンジできる職業ですね。

同じくミシェル・ファイファーも若くなくても美しかった。そして女優全員すごい存在感でした。デンチ様とオリヴィア・コールマンはもちろん、意外な配役のペネロペ・クルーズですが地味な役でも意味の深い登場人物に見せる存在感の演技とでもいうのを知りました。

若手も、デイジー・リドリーはスター・ウォーズのレンの時は個性ない顔立ちだと思っていたのに、この時代劇でもすぐ彼女だとわかりました。そしてセルゲイ・ポルーニン演じる伯爵の夫人役の美女ルーシー・ボイントンは、なんと「シング・ストリート」のヒロインの子だったのですね?!全然気がつきませんでした。彼女の次回作は、私的には大事件のクイーンの映画「ボヘミアン・ラプソディー」で、フレディのガールフレンドの役なのです。楽しみすぎます!

肝心の謎の真相もストーリーを覚えてなかったのでなるほど、と納得のラストでしたが、それよりもポワロが一同を集めて語り始めた時、「キャビン・プレッシャー」のアーサーがタリスカーの謎をめぐってミス・マープルの話をしたことを思い出して、おそらく劇場でたったひとりニマニマと笑ってしまいました。

それと英語圏ではエルキュール・ポワロはヘラクレス・ポワロとして有名だったんですね。ここでも「キャビン・プレッシャー」のハークことハーキュリーを思い出していちいち受けてしまい、様々な角度から楽しめたので、次の「ナイル」も待ち遠しいです。