弥生美術館で開催中の「はいからさんが通る」展に行ってきました。
発案者は5歳の姪っ子で、今新しい劇場用アニメが制作されたり宝塚で舞台となったりと、何かとリバイバルしていたのですね。
最新アニメは、やはり最新の絵柄で、展覧会で70年代の美しい華麗な原画を見ると心の中では「原作の良さがない」と思いましたが、今のセンスをよしとするお若い方が入門として出会うには、作品が長く伝えられる良ききっかけとなりましょう。
展示は、作品発表の1970年代から遡り、今から100年前の大正時代の風俗とともに見せていました。これぞ竹久夢二美術館の弥生美術館ならでは。
そして原画の方も、マグゴナガル先生のような女学校の先生が、「日本の母として、良き教養を身につけ、殿方に見出されるのです。」と教育しているところに、フェミニストの美しいお嬢様が現れ、「私たちが殿方を選ぶのです。」と言ってのけるページ紹介しておりました。
そうです、おそらく70年代にすでに時代錯誤だった大正時代の理想の女子を袴とブーツで蹴ちらすオテンバで男勝りなはいからさんは先生を驚かしていたのですね。
しかしですねー、70年代に時代錯誤だった理想の女子像が、それから半世紀たっても日本ではあまり代わり映えしてないことにショックを覚えました。
さすがに今は「日本の母」という女の先生こそいませんが、何やらお上の方では少子化対策として女性に子供を産むよう圧力をかける方向でキャンペーンを案じているではありませんか。国のために子供を産めというのはまさしく「日本の母」の押しつけです。
ところで一方、はいからさんのような「オテンバで男勝りの元気な主人公」というのは、昔から少女漫画の主人公のステレオタイプでもありました。ハイジ(少女漫画じゃないけど)、キャンディキャンディから、オスカルまで。
やはり女の子がなりたい女の子は自由で強い子なのに、少女漫画を読まなくなる年頃になると、男性や社会に都合のいい女性像の型にはめられて行ったのですね。
はめられない女の子はいつまでも少女漫画も読むし、男性や社会のために生きたりしませんし。
それにしても70年代の少女漫画の華麗で豪華な絵柄はいいです。大好きです。
はいからさんの伊集院忍は大日本帝国陸軍の軍人だというのに、10頭身で、ハーフとはいえ金髪だし脚は長いし、彼が来ているととてもあの帝国軍の制服に見えません。
忍さんだけでなく、蘭丸ちゃんとか、女の子に見える美少年もよく登場していました。女の子はいつだって綺麗な男の子が好き。
絢爛豪華な少女漫画、だいぶ70年代の映画や音楽、ファッションの影響を受けていたと思います。だから好きなのかも。