東京の家に寄宿させてもらっている息子と娘は、私と姉が使っていた部屋で暮らしている。そこには、物持ちのよい姉が使い続けてきた古い家具がいくつか残っている。
娘が使っているこの小さな本棚は私がまだ学校に上がる前から家にあって、いろいろな本を預かってくれてきた。転勤族だった我が家だが、どの赴任先にも運ばれて今に至っている。つくりは古いし使いにくいが、しっかりしてまだまだ壊れそうにない。
その脇に思ってもみない古い思い出を見つけた。
‘ピンキーとキラーズ’ とっても流行ったグループだ。わかる人は私と同世代です!
その古い古いシールが貼り残されていた。これを貼ったのを覚えている。もう半世紀近くも前の出来事だ。今の家族ではなく私が小さい頃の家族が、笑って暮らしていた時の古い古い思い出だ。何ともいえない感情がぶわっとわき上がってきた。
この本棚、これからどんな時を過ごすのだろう。簡単には手放せない、そんな何かを思った。