HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

ドット柄に流行はないから、期中提案もいけるか。

2012-08-22 18:59:57 | Weblog
 ドット柄にほとんど流行はない。ピンやポルカなど大きさやピッチの違いで洗練度が決まる程度。だから生地さえ手に入れば、企画はしやすい。秋物第一弾でドレスやパンツにしてみたが、卸メーカーの話しによると顧客を中心に好調ということだ。
 このコラムでも以前に書いたが、トップスはドット柄でもさほど気にならないが、パンツになるとこれが穿きこなすにはかなりの勇気がいる。だから、マスで売れるアイテムではない反面、街中をスタイリッシュに闊歩できることになる。

 では、シャツはどうだろう。そんなことを考えていたら、知り合いのメーカーから「期中のバリエーションが欲しいので、手持ちのドットプリントで何かやりませんか」との企画提案のオファーが舞い込んだ。
 生地は日本製で、反つぶしの残りだから用尺に限りがある。まあ、期中企画だから売り切れご免でも構わないようである。「じゃ、生地のサンプルを送って」と、届いたのが上質なコットンポプリンだ。
 ポプリンとは米国でいうブロードクロス。最近、欧州メーカーのスペックではこの呼び名が使用されているため、日本でもポピュラーになり始めている。一般には40番手くらいの単糸で織った生地を指すが、サンプルは60番手の双糸を使っているようだ。だから、ブロードと呼んだほうが正確かもしれない。
 
 そこでどんなシャツにするか。素材はオールシーズンいけるブロードだから、昨今の気候なら10月下旬までジャケット無しても通用する。つまり、アウターとしての存在感があるデザインがいいだろう。 
 ならばドットというプリント柄をグラフィカル&マルチに活用してみようと、デザインした一つがコレ。まあ、そんなに付けるバイヤーはいないと思うが、営業さんには「指し色的にフェイスの並べてはどうでしょう」ってセールストークでお願いしたい。

 身頃と袖、衿の柄を代えるデザインは、某デザイナーブランドがかなり前にやっていたデザインモチーフだ。通常は用尺の問題や生地合わせの手間からコストが掛かり、NBアパレルはやらなかった。しかし、シャツの柄なんて無地か、ストライプか、チェックかしかないので、目新しい企画やデザインで遊ぶには柄を違えてはぐくらいしか手は残っていない。
 もともと、シャツは縫うのが結構難しいが、海外でのスキルも上がり、比較的ローコストで生産できるようになった。こうした背景からこの秋は、身頃と袖、衿の柄を代えるアシメトリーなストライプシャツがSPA型セレクトにも登場している。雑誌メディアの秋号でもプレス自ら着用してアピールしている。

 もはや大手セレクトショップがオリジナル比率が80割程度まで高まっている中、専門店系アパレルでは上質な素材を背景にした遊びのデザインがもっと必要かもしれない。ストライプのアシメトリーシャツは、マス狙いで登場しているので、これをドットで試みたわけだ。
 欧米のコレクショントレンドを見ると、感覚はあまりに斬新しぎてもいけないってことがわかってくる。ただ、マーケットの反応は誰もが着ている服なら、高い金を払ってまで着たくないである。そこにファストファッションの台頭があるわけだ。
 それゆえ、専門店系マンションアパレルにとっては、一歩先くらいの感覚で、相対的に高価格だが付加価値があるもの。これをデザインでしかける小刻みな企画提案しかないと思う。
コメント
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