HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

女子アナとエムズグレイシー。

2011-09-09 16:18:53 | Weblog
 ミッシーというか、ヤングエレガンスというか。裏原に本社を構えるウィメンズアパレル「エムズグレイシー」が売れている。 今年5月のデータを見ると、売上高は直営店で昨対同月比23.5%増をマークし、専門店向け卸しも堅調に推移。プロパーでの消化が順調だから、経常利益率8%台もうなづける。
 エムズグレイシーといえば、地方では必ずどこかの有力店が仕入れてきた「コンサバブランド」。デフレやSPAの台頭、ファストファッションの進出など、「専門店系アパレル」を取り巻く環境が大きく変わる中、同社は百貨店に直営の「ハコ」を構えてMDを強化。群を抜く集客力を背景にコンサバOLやヤングセレブを確実に捉えたことが結実したと言える。
 
 ただ、売れる背景には、やはりものづくりの良さがあるのは言うまでもない。一貫してコンサバ狙いという反トレンド思想で、原価が高くても上質な服を作るからこそ、お客は2年、3年と着続けられる。
 そうした専門店系アパレルらしさに合理性を感じて購入するお客は少なくないはずだ。だからではないだろうが、最近、巷でもエムズグレイシー風のOLを良く見かける。胸元に大きなボーを施したブラウス、ギャザーを入れたスカート、アワーグラスラインのドレス等々。まさに「ど!コンサバ」だ。何年経っても変わらないテイストを街中で見かけると、一瞬、30年以上タイムスリップした錯覚に陥ってしまう。
 この間、夕方のローカルニュースを見ていたら、エンディングスーパーでエムズグレイシーのロゴを見かけた。局出入りのスタイリストが福岡三越あたりのインショップから借りたのだろうが、ルックスでキー局にひけを取る「ローカル女子アナ」にとっては、たとえバストショットでも「上品さ」で対抗できるかもしれない。

 女子アナと言えば、80年代には「キャリア」テイストの代表格だった。当時、アパレルの商品企画にも、ちゃんとキャリアのカテゴリーがあり、働く女性のシンボルとして着こなしてくれた。
 ところが、 90年代に入ると、女子アナからそのテイストは消え去る。テレビ東京ワールドビジネスサテライトのキャスター田口惠美子は、その象徴的存在。都会的でエッジの利いたテーラースーツで経済番組を仕切るより、ビビッドで華やかな衣装で原稿を読む方が視聴者に好かれることを実証したのだ。
 この傾向は現在まで引き継がれ、NHKも民放も女子アナはみなコンサバ。電通マンを利用し袖にしたあの安藤優子でさえ、リースに応じるブランドは限界なのか、ずいぶんコンサバになってきている。
 彼女たちの大半が番組で着用するのは、随所に施されたラッフルやフリル使いで、 暖色系カラーで花柄やドット、マリメッコ。シルエットもルーミー&タイト、AかXのラインだ。これなら背丈やプローションのハンディも解消できる。

 もっとも、最近はキー局の女子アナでも番組用の衣装には苦労している。制作費削減の煽りを受け自前になっているからだ。TBSの世界陸上でキャスターを務めた中井美穂の格好なんか、フリーにも関わらずずいぶん酷かった。意図的に織田裕二に合わせたとしても、テレビ的に許される限度というものがある。
 キー局やフリーのアナウンサーでさえそうなのだから、ローカル女子アナはもっとたいへんだろうと考えていたら、その辺の事情に詳しい友人が教えてくれた。
 「局アナだってKBCをはじめ契約社員になるって噂がある。ローカルで契約アナなら、これから衣装手配もたいへんになるかも。過去にはテレQの今村礼子のように厚かましくも自身で新天町あたりのショップから借りるコもいた。ただ、彼女も博多落ちしてからは熊本ローカルでニュース原稿を読むレベル。自前の衣装はそりゃもう…」

 プレス効果を考えると、全国ネットの女子アナにはかなわない。ローカル番組に貸し出したところで、どれほど販促につながるかは疑問だ。それでも行なうエムズグレイシーの姿勢には敬意を表したい。しかし、ローカル女子アナでも「メディア価値」が無くなれば、好調アパレルだってリースに応じないことは自覚すべきだろう。
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