【シンガポール=吉村英輝】マレーシアのマハティール首相は28日、クアラルンプール近郊で記者会見し、同国とシンガポールを結ぶマレー半島高速鉄道計画の廃止を表明した。同計画は、中国が、経済圏構想「一帯一路」の主要事業として、受注攻勢をかけていた。
マハティール氏は、同計画廃止を「最終決定」とする一方、違約金交渉が必要だとした。ナジブ前首相と2016年末に協定に署名したシンガポールは、26年の開通へ向け、国内の用地取得などに着手していた。
高速鉄道はクアラルンプールとシンガポールの間の約350キロを約1時間半で結ぶ計画。現在は車で約5時間かかり、空路の利用者も多い。
事業者を選定するための入札手続きを昨年12月に開始していた。日本の企業連合も、新幹線方式での受注を狙い、中国と激しく受注を競っていた。
ただ、高速鉄道計画の駅予定地や沿線では、中国主導のインフラ案件が並ぶ。同計画も巻き込んだ公的資金流用疑惑を抱えるナジブ前首相を念頭に、マハティール氏は28日、「多大な費用がかかり、もうからない」と廃止理由を語った。
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マレーシアのナジブ前首相逮捕、政府系ファンド巡る汚職疑惑で
[クアラルンプール 3日 ロイター] - マレーシアの汚職対策当局は3日、政府系ファンド「1MDB」からの資金流用疑惑を巡り、ナジブ前首相(64)を逮捕した。
当局によれば、ナジブ氏の逮捕は1MDBの元子会社SRCインターナショナルに対する調査に関連したものだという。
2人の関係者は、ナジブ氏は再拘留命令が出された後に自宅で拘束されたと明らかにした。
ナジブ氏の広報担当者からのコメントは現時点で得られていない。ナジブ氏はこれまで一貫して不正行為を否定している。
ナジブ氏は4日に起訴される見通し。関係筋によると、複数の罪で起訴される可能性がある。同氏は5月の総選挙でマハティール氏に敗北して以降、出国を禁止されていた。
ナジブ氏は2009年の就任直後に1MDBを設立。現在、少なくとも6カ国で資金洗浄などの容疑で捜査が進められている。米司法省が提訴した民事訴訟によると、約45億ドルに上る1MDBの資金がペーパーカンパニーなどを介した複雑な取引を通して洗浄された疑いがある。
マハティール首相(92)は前月、ロイターのインタビューに対し、当局は着服と公的資金を利用した贈収賄などの疑いでナジブ氏の起訴を目指しているとし、同氏に対しほぼ完全な嫌疑があると述べていた。
マレーシア警察はこれまでにナジブ氏に関連した建物などから約2億7500万ドル相当の宝飾品、ハンドバッグ、時計などを押収。当局は1MDBの捜査に関連して400を超える銀行口座を凍結している。
hマレーシアのナジブ前首相を起訴-1MDB汚職事件で当局ttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-04/PBBILY6KLVR401
Yudith Ho、Anisah Shukry-
マレーシア当局、背任と収賄の罪でナジブ前首相を起訴
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ナジブ氏は不正行為を否定-起訴内容が全て真実とは限らない
マレーシアのナジブ前首相
Photographer: Joshua Paul/Bloombergマレーシアの検察当局は4日、政府系投資会社1マレーシア・デベロップメント(1MDB)を舞台にした汚職事件に関連してナジブ前首相を背任罪などで起訴した。
ナジブ前首相は3件の背任罪に問われ、最長20年の禁錮刑とむち打ち刑に加え、罰金を科せられる可能性がある。腐敗防止法違反で一つの罪状にも問われており、同罪で有罪となれば最長20年の禁錮刑と、資金流用額の5倍以上の罰金刑が言い渡される。これらの起訴内容は4日に裁判所員が読み上げた。
同氏は3日夜にツイッターの自身の公式アカウントに掲載した動画で、国民に謝罪した上で、起訴内容が全て真実であるとは限らないと指摘し、自己弁護した。同氏は5月の総選挙で予想外に敗北した後、2カ月足らずの3日に逮捕されていた。
5月の総選挙で勝利しナジブ政権を退陣に追い込んだマハティール首相は、1MDBから流出した可能性のある45億ドル(約5000億円)の回収を目指している。議会委員会は2016年に1MDBによる少なくとも42億ドルの不正取引があったと特定。米司法省は一部の資金が豪華ヨットや高級住宅、美術品などの購入に使われていたと指摘していた。
原題: Najib Faces Jail Time, Whipping After Being Charged in 1MDB Case(抜粋)
【おまけ】
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)7月4日(水曜日)弐
通巻第5748号
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これほどの腐敗だったとは! 米国で45億ドルを資金洗浄
ナジブ・ラザク(マレーシア)前首相を正式に逮捕。汚職で起訴へ
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7月3日、マレーシア当局は前首相ナジブを汚職容疑で逮捕した。
決定的となったのは、米国の当局が、ナジブが米国銀行を通じての資金洗浄で、およそ45億ドルという証拠を提示したことだった。
すでに容疑が固まっているのは、マレーシア政府のファンド「IMDB」から横領したとされる7億3100万ドル。このうち2730万ドルは「ピンク・ダイアモンド」の購入にあてられていた。
ほかに567個のブランドものハンドバック、2200の宝飾品など。主に夫人が購入した。
さらには殺人事件をおこしたナジブの前ガードマンの犯罪にナジブの命令があったか、どうか。
またフランスから潜水艦を購入した際も、ナジブは1億7000万ドルのリベートを取っていた。これらの容疑も固まり次第、追起訴される。
不明なのは中国主導の新幹線プロジェクトである。中国からいくらの賄賂を取ったかなど、今後の取り調べが進むことになる。
いずれにしてもナジブ前首相はマレーシアの2代目首相だったラザクの息子であり、言ってみればマレーシアの上流階級の「太子党」。既得権益組を守護し、一族が富み、国民の末端は、そのことに不満を募らせていた。このため先月の総選挙でまさかの落選、92歳のマハティール元首相の再登板となったのである。
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