直木賞・山本周五郎賞ダブル受賞の『邂逅の森』へつづく作品。
とは言っても時代が違うので、別々に読んでも違和感はありません。
こちらの時代は少し前の携帯電話が普及しているくらいです。
個人的に楽しめたのは舞台が新潟県山北町がメインというところです。
現在の村上市(自分の故郷)ですが、山北町の熊田集落が舞台です。
現実は熊田ではなく、山熊田なのですが、なぜか、別名です。
府屋、勝木、中継などの集落名は本名なのに(笑)
山熊田の姓が大滝だったり、役場職員が板垣だったりと、よく調べていますね(笑)
若いころ、山北町を担当したことがあり、政府の立ち上がる農山漁村に山熊田を推薦するように仕掛けたのはわたしです。
そんな縁があるけど、まったく目立たない集落が小説の舞台になっているだけで、知り合いが登場人物のような錯覚をおこしてしました。
個人的な話はこのくらいにして、自然保護と自然と共に生きることの難しさが容赦なく描かれているところがこの作者の特徴ですね。
特にラストシーンなんか、どうなるか誰にも分からないですよ。
自然との共存なんて、そう簡単に理解できるものでも、予測できるものでもないのです。
それだけ、人間は自然から離れてしまっているのが実感できる小説です。