大学時代に教授に読むように薦められ、25年来読んでいなかった本書であるが、新潮文庫の100冊にエントリーされたことをきっかけに読んだ。
1962年に出版され、それ以来、環境問題に大きな影響を与え続けている古典的書物である。
50年近く前に書かれた科学的書物なので、さすがに古い見解がところどころに見られ、今の科学では常識外のことも書かれており、鵜呑みにすることはできない。
しかし、環境に対する考え方は、この当時からすると著しい進歩はしているものの、化学物質に多くを頼っている点では、当時とあまり変わっていない。
人間は、農業を始めたときから、自然との戦いを続け、その力を押しのけながら、現在の繁栄を気づいていることは確かである。
もし、自然との闘いをやめれば、乳幼児や子供の死亡率が高くなり、人口ピラミッドは50歳くらいを頂点にきれいな二等辺三角形になるだろう。
その辺までに考えが及ばないのが、アメリカ人らしいといえばらしい。
そうならないために、化学物質を適切に使いながら、その害を最小限に抑えていく努力を惜しまないでいたい。