むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『大航海時代の日本人奴隷 増補新版』ルシオ・デ・ソウザ, 岡美穂子(中公選書)

2024年11月30日 | 読書
十六世紀後半から十七世紀前半、日本で言えば、戦国時代後半から江戸時代初期の時代、ポルトガルとスペインが世界の海を支配し全盛を極めていました。
また、日本では豊臣秀吉が朝鮮出兵を行ったり、キリシタン追放、江戸幕府の鎖国と、急激に外国との係わりが変化していった時代です。さらにヨーロッパでは魔女狩りが盛んになり、異端審問のため、ユダヤ教徒がアジアなどに逃れる動きもあったようです。
そんな時代にイエズス会、スペイン、ポルトガルが日本人奴隷を禁止したこともあり、歴史のダークサイドである人身売買の奴隷に掛かる公的記録は乏しく断片的です。
主人が異端審問にかけられ証言者としての記録や、主人が亡くなった時の遺言で解放され、財産を受け継ぎ大金持ちになった奴隷の記録、暴動を起こし処刑された記録、また、ポルトガル人やスペイン人と結婚した記録などが残っているのです。
また、公に禁止された日本人奴隷が現場では、家事奴隷や、傭兵として有能で、欠かせない存在でいることにより、無くなることはなかった矛盾もありました。
日本人が生存していた記録は、マカオ、フィリピン、印度、スペイン、ポルトガル、メキシコ、ペルーなどにも及び、ほとんど全世界に散らばっていたのです。
奴隷は、さらわれたり、騙されたり、戦の捕虜だったり、親に売られたり、自分で自分を売って奴隷として国外へでたりと様々で、その運命も様々でした。
主人の後を継ぎ大金持ちになったり、傭兵として暴れまわったり、年老いて解放という名の解雇で物乞いに落ちたり、折檻で命を落としたりと、人の運命はわかりません。
奴隷にも年季奉公のような期限付きのものもあれば、終身奴隷の身分もあり、金を貯めてそれを払えば自由人になれたりと、様々だったようです。
日本の国内では、奴隷と言う言葉はつかわれませんが、年季奉公や遊郭の遊女なども、システムとしては奴隷とそん色なかったと言えるでしょう。
そんなことを考えながら読むと、もしかして、現代の日本でも、奴隷ではないけれど、奴隷のようなシステムにハマってしまっている人もいるのではないかと考えさせられました。

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キッコウハグマ

2024年11月29日 | 小さな自然
この時期に菩提寺山に登ると、キッコウハグマの種がはじけているのをよく見ます。キッコウハグマは晩秋に花を咲かせるのですが、普通は閉鎖花で蕾のまま受粉しているので花を開かずに種がはじけます。

開花すると小さくとも綺麗な花なのですが、なかなか見ることができません。


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♡姫くるみ

2024年11月28日 | 小さな自然
リスが食べた跡らしい、ヒメクルミの殻。
しっかりハート型。
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『地下室の手記』ドストエフスキー(新潮文庫)

2024年11月27日 | 読書
地下室にこもった男がつづった物語を、読者が読まされる形式の小説となっています。
その男自体が主人公となるのですが「自尊心が低く、かつプライドが高い」困った性格をしていて、世の中の全員が敵だと思っているような人間です。
地上が生きているのが苦しくて、地下で本を読んで暮らしている設定なので、現在で言えば、引きこもりでしょう。こういう人間がロシアにも多くいるというのですから、昔から引きこもりというのはあったのです。
その男が、自分が主人公の物語を手記という形にしたためいるのですから、面白い話の訳がありません。前半の3割程度と、後半7割程度のボリュームで2つの話が載っていて、前半の話は、面白くもなんともない、この『地下室の手記』を真似てシロートが書いたらこうなるみたいな小説でした。後半は、プロの小説家の仕事で、小説はこう書けば、こんなネタでも小説として面白く読めるよ、というお手本のような出来です。
私は、令和元年の「京都アニメーション放火殺人事件」の犯人を思い浮かべてしまいました。彼とドストエフスキーの違いは、この作品の後半のような小説を書けなかったのでしょう。
解説によると、この後につづく『罪と罰』から『カラマーゾフの兄弟』までの5大長編へつづく転換点となった作品だそうです。つまならい人間の普遍的な性質を物語として面白く書く才能が開花した記念すべき作品となったということでしょうか。


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菩提寺山2024晩秋

2024年11月26日 | アウトドア(山歩き等)
落ち葉の道を踏みしめながら静かな山行となりました。
アオハダの淡い黄葉も素敵です。
カエデ
足元を見るとヤブコウジが、もうすぐクリスマスだと教えてくれます。
頂上からは、真っ白な飯豊山
朝日連峰も雪が積もっていました。
空気が澄んでいて、日本海に浮かぶ粟島まで見えました。
11月では最後の山歩きになりそうです。
年末までにどれだけ歩けるかな?
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映画『ガス灯』

2024年11月25日 | 映画・ドラマ・アニメ等
Amazon プライムビデオにて、視聴しました。
1944年のハリウッド版です。
(ヨーロッパ戦線でノルマンディー上陸作戦、太平洋でサイパン島・フィリピンをめぐる戦いがあった年に、このような娯楽映画が公開されているとは、アメリカの余裕が恐ろしい。)
精神的虐待の方法で、モラハラの手口としても上げられるガスライティングの語源となった戯曲の映画化です。
新婚夫妻の生活で、夫が妻にガスライティングをしかけ、巧妙に精神病だと思い込ませていきます。夫の本当の狙いは何なのか、救いの手は差し伸べられるのか、サスペンス仕立てで物語は進むのです。
自分に自信が持てない人は、もしかしたら、誰かのガスライティングの餌食になっているのかもしれません。気になる人は見てみるのもよいでしょう。
主演のイングリット・バーグマンはアカデミーの主演女優賞を受賞していますが、すごくきれいでした。



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発見! 宝くじ当選祈願神社!

2024年11月24日 | トマソン&街角芸術
長野県飯山市にて、宝くじ当選祈願を受け付けている神社がありました。
ほんとうにご利益があったらすごいですね。
なんと、微妙なご利益です。
5万円程度で、こんな遠くまでお礼奉納をするのは、たいへんですので、今回はやめておきました。
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『イザベラ・バードの日本紀行』イザベラ・バード(講談社学術文庫) 

2024年11月23日 | 読書
イギリスの女性旅行家である著者が明治初期に日本を訪れ、単独で西洋人未踏の地である日本の奥地へ足を踏み入れます。
横浜→江戸→日光→南会津→会津坂下→津川→新潟→米沢→山形→秋田→青森→函館→室蘭→紋別の北日本の旅が前半3/4を占めており、これが圧巻でした。
特に峠越えをする地域の風土や、アイヌとの暮しなど、文献が乏しいド田舎の庶民の暮しの様子が歯に衣を着せぬ描写で書かれています。明治初期の日本の田舎(6~7月)では、男は、ほどんど素っ裸で暮していたことや、畳にはノミがたくさんいて、そのままでは眠られず携帯用折り畳みベットと蚊帳を持ち歩いていたことなども、予想以上に衛生状態が悪いことがわかりました。宿屋ではプライバシーが皆無で、障子に穴を開けて常時除かれていたことや野次馬が多く警官が来て追い払ってくれたことなども面白いです。
逆に、治安がよく、西洋人の女一人が旅をしていても、襲われたり騙されたりすることがないことや、祭りなどの大勢の人が集まる場でも、驚くほど警官の数が少ないことなどがあげられていました。
日本の近代化が急速に進んだのも治安の良さが大きく貢献しているのでしょう。
北海道ではアイヌとともに生活し、彼らの生活をよく観察して、記録に残しており、貴重な資料になっているはずです。
また、スケッチによる挿絵も精密で、写真よりわかりやすく感じました。
北海道の噴火湾から室蘭・紋別の絶景をほめたたえていたので、北海道に行ったら、よってみたい場所に加わりました。
後ろ1/4は、東京より神戸・大阪・京都・奈良・伊勢神宮などを巡っていますが、置く日本の記録より希少価値が低く感じます。それでも、10年くらい前までは攘夷だと刀を持って殺気だった侍が闊歩していた土地が、安全に旅をできる土地に変わったのには驚かされます。
当時の日本の財政状況や、政治のあり方などが総括的に書かれており、なりふり構わず西洋化に進んでいく様子が垣間見れました。

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晩秋のミヤマアカネ

2024年11月22日 | 小さな自然
翅の赤いワンポイントがキュートな赤とんぼですが、もう羽がボロボロです。
11月も半ばを過ぎるとトンボの季節も終わりですね。

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晩秋のキチョウ

2024年11月21日 | 小さな自然
晩秋には、ほとんど昆虫を見なくなりますが、キチョウは元気に飛んでいます。
成虫で越冬するので、11月になってもよく舞っています。
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