田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ヒンデンブルグ』

2019-08-28 18:29:07 | 映画いろいろ
『ヒンデンブルグ』(75)(1979.11.5.月曜ロードショー)
 
 
 1937年、アメリカで起きたドイツの巨大飛行船ヒンデンブルク号の爆発炎上事故を、実話を基に、反ナチによる人為爆破という大胆な仮説を立てて描いたサスペンス映画。監督はロバート・ワイズ。
 
 昨日「日曜洋画劇場」で『オデッサ・ファイル』(74)を見たので、2日続けてのドイツ関連映画になった。演技陣は、ジョージ・C・スコット、アン・バンクロフトら、芸達者が揃っていたが、ワイズ監督作としては、他の作品に比べると心に迫るものが少ない。ラストのカラーからモノクロへの画面転換、事故を伝えるアナウンサーの絶叫が耳に残る。
 
  
 
 
 【今の一言】公開時は、当時はやっていたノスタルジー映画とパニック映画を組み合わせたような、中途半端な印象を受けた覚えがある。
 
『文化の泉 Vol.4 主人公は人間だけじゃない」(2012)から。
 
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『永遠(とわ)に美しく…』

2019-08-28 09:17:55 | 映画いろいろ
『永遠(とわ)に美しく…』(92)(1993.2.9.スカラ座)
 
   
  
 
 若返りに異常なまでに執着する女優のマデリン(メリル・ストリープ)とヘレン(ゴールディ・ホーン)は、永遠の若さと美貌を保つ秘薬を、巨費を投じて手に入れる。だがそれは、何があっても決して死ねない作用がある薬だった。監督はロバート・ゼメキス。
 
 一時期、あまりにもシリアス過ぎる高い演技力が見る者に疲れすら感じさせたストリープ。本人もそれに気づいたのか、それとも飽くなき演技への追求心からか、ここ何作かコメディに挑戦したことは知っていたが、いずれも見落としたこちらとしては、この映画が“コメディエンヌ・ストリープ”との初対面となった。
 
 だが、これを見る限りでは、彼女はコメディには不向きであり、残念ながら、一時期のキャスリーン・ターナーのように、硬軟取り混ぜてとはいかない気がした。何故なら、共演した名コメディエンヌのホーンのナチュラルな演技に比べると、ストリープは力んで、必死に取り繕っている感じがするからだ。
 
 ただ、デビュー作の『抱きしめたい』(78)から『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに至るまで、プロデューサー、スピルバーグの庇護を受けてきたゼメキスが、スピルバーグから離れ、盟友ボブ・ゲイルも除いて作ったこの映画は、明らかな失敗作であり、この映画をもってストリープのコメディエンヌ的な才能の有無を判断してしまうのは、ちょっとかわいそうな気もする。
 
 永遠の美しさを求めるが故の整形手術の繰り返し、挙げ句の果てはオカルト的な薬にまで頼って…というプロットから、もっとハリウッド族の楽屋落ち的な面白さを期待したのだが、ブラックでグロテスクな作りなので、笑うに笑えない。
 
 こうなると、これまでのゼメキス映画の面白さは、プロデューサーとしてのスピルバーグの影響が大きかったのかもしれないと思えてくる。という訳で、ストリープ、ゼメキス共に、次回作に大きな宿題を残してしまった感がある。
  
【今の一言】この後、ストリープは『プラダを着た悪魔』(06)『幸せをつかむ歌』(15)『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』(16)などで、コメディエンヌとしても一定の成果を上げた。たいした女優である。ゼメキスの最新作『マーウェン』(18)にあったブラックでグロテスクな味のルーツはこの映画あたりにあるのかもしれない。
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