『コクーン2/遥かなる地球』(88)(1989.6.23.みゆき座)
老人たちが不老不死の惑星へと旅立ってから5年。彼らが地球へ帰ってきた。地球上でのさまざまな出来事から、彼らの中には地球に残ることを考え始める者もいた。
最近はビデオの普及もあって、興行的に安定した続編物が数多く作られている。とはいえ、前作を超えられず、幻滅させられることも多いのだが、中には前作を上回ってしまうケースもある。その原因は、続編であっても手抜きをしない、ちゃんと金を掛ける、前作とは違う視点から別のスタッフが作る…など複数あるのだが、実はこの映画のように、演じる俳優が同じであることが続編で最も大切なことなのだ。
特にこの映画の場合は、前作の老優たちがあまりにも見事だったため、誰一人欠けても違和感が残ってしまっただろう。その点、この映画の出来は決して前作を超えてはいないのだが、再び全員揃った彼ら、彼女らの姿を見られただけでもう十分と思わせて、だいぶ得をしている。
ただ、この映画が単なる彼らへのカーテンコールで終わらなかったのは、永遠の命を与えられた彼らを地球に戻すことによって、人間が本来持つ寿命という宿命について考える姿を見せ、不老不死は本当に幸福なものなのか、と問い掛けたことによる。
つまり、前作でロン・ハワードは忘れられた老人たちに夢とパワーを与えた。ところがこの映画のダニエル・ペトリは、彼らを再び生身に戻し、その中で生きていく厳しさと素晴らしさを改めて訴えたのである。これは前作に対するアンチテーゼとも取れる描き方である。
だから、ウィルフォード・ブリムリー演じる老人が吐く「人間は自分の子供よりも長生きをしてはいけない」という一言が心に残り、ラストの若いカップルの出発の姿が生きてくるのである。
さて、前作で見事なエイリアンを演じたブライアン・デネヒーが出てこないので残念に思っていたところ、ラストで特別出演。思わず「粋だねえ」と一声掛けたくなった。