田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『愛と喝采の日々』

2019-08-22 14:27:08 | 映画いろいろ
『愛と喝采の日々』(77)

   

 プリマ・バレリーナとして成功した女性(アン・バンクロフト)と、結婚してバレエ界を引退した女性(シャーリー・マクレーン)。2人の対照的な人生を描きながら、女性の幸福は結婚か自立かを問い掛ける。2人の名女優の演技合戦と有名ダンサーのミハイル・バルシニコフの出演が話題となった。監督はバレエダンサー、振付師出身のハーバート・ロス。彼はこの年『グッバイガール』も監督している。
 
 この映画が公開された1977年は、『未知との遭遇』『スター・ウォーズ』というSF大作と、この映画をはじめとする“女性映画”の一群がブームになるという、ちょっと不思議な傾向のある年だった。
 
 アカデミー賞の主演女優賞は、この映画のマクレーンとバンクロフトのほか、『ジュリア』のジェーン・フォンダと『グッバイガール』のマーシャ・メイスン、そして『アニー・ホール』のダイアン・キートンがノミネートされ、キートンが受賞。
 
 助演賞は、この映画でマクレーンの娘役を演じたレスリー・ブラウン、『グッバイガール』でメイスンの娘を演じた子役のクイン・カミングスらが候補となったが、『ジュリア』のバネッサ・レッドグレーブが受賞。スピーチで政治的な発言をして物議を醸した。どれもが、今から思うと懐かしい出来事ばかり。
 
『外国映画女優名鑑』から
 
    
 
 2005年に73歳で亡くなったバンクロフト以外は、マクレーン(85歳)、レッドグレーブ(82歳)、フォンダ(81歳)、メイスン(77歳)、キートン(73歳)と皆まだ現役。やはり女性の方が元気で長生きだ。
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『眠れぬ夜のために』

2019-08-22 09:33:10 | 映画いろいろ
『眠れぬ夜のために』(85)

  

 行きずりの女(ミシェル・ファイファー)を助けたばかりに国際的な陰謀に巻き込まれる不眠症の男(ジェフ・ゴールドブラム)の姿を描いたサスペンスコメディ。原題は「INTO THE NIGHT」。確かに“夜の中に入っていく”感じのする映画である。
 
 監督のジョン・ランディスは、前作『トワイライトゾーン/超次元の体験』(83)の撮影中、主演のビック・モローと子役2人がヘリコプターの落下事故によって死亡するという事故を起こし、過失致死罪で起訴された。従って、この映画の主人公が不眠症という設定は、事故に悩んで眠れなくなったランディス自身の投影ではないかとも言われた。
 
 また、この映画は、ランディス映画常連のダン・エイクロイド、ギリシャのイレーネ・パパス、歌手のデビッド・ボウイ、ベテランのベラ・マイルズが助演し、メークアップのリック・ベイカー、人形師のジム・ヘンソン、歌手のカール・パーキンス。そしてジャック・アーノルド、デビッド・クローネンバーグ、ジョナサン・デミ、コリン・ヒギンズ、ローレンス・カスダン、ポール・マザースキー、ドン・シーゲル、ロジェ・バディムといった映画監督たちがゲスト出演している。これは、事故で落ち込むランディスへの応援的な意味合いがあったという。
 
 で、この映画もそうだが、『ケンタッキー・フライド・ムービー 』(77)に始まり、『アニマル・ハウス』(78)『ブルース・ブラザース』(80)『狼男アメリカン』(81)『大逆転』(83)『スパイ・ライク・アス』(85)『サボテン・ブラザース』(86)『星の王子 ニューヨークへ行く』(88)と続いたランディスの映画は、どれも趣味性が強く、ストーリーが破綻し、日本人には分からないジョークも多いので、大好きという者と、入り込めないという者に二分され、いわゆるカルトムービー化するケースが多かった気がする。
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