『日本沈没』(73)(1974.1.15.荏原武蔵野館.併映『グアム島珍道中』)
小松左京の原作小説は、この映画化に続き、ドラマ化、漫画化と続き、一大ブームとなった。当時、中学生だった自分もその渦の中にいた。同時期、この『日本沈没』と並行して、田中角栄の『日本列島改造論』がもてはやされたのも皮肉な話だ。また、同時期に『ノストラダムスの大予言』がベストセラーになったのも象徴的だ。
森谷司郎監督の映画は、日本列島が海中に沈むというセンセーショナルな内容と、特撮を駆使したディザスターシーンに目が行きがちだが、今思えば、実は、故国を失い難民となった日本人はどうなるのか、という壮大なテーマを描こうとしたのだと思う。
残念ながら、それが成功していたとは言い難いのだが…。また、『男はつらいよ 葛飾立志篇』(75)で、小林桂樹がこの映画と同じ名前と風体の大学教授・田所を演じていた。あれは山田洋次流のパロディだったのだろう。
桁外れの脚本家、橋本忍
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