田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『エルヴィス・プレスリー:ザ・サーチャー~キング・オブ・ロックの魂の記録~』

2020-08-17 08:53:34 | 映画いろいろ

 昨日はエルビス・プレスリーの命日ということで、AXNが『エルヴィス・プレスリー:ザ・サーチャー ~キング・オブ・ロックの魂の記録~』(18)というドキュメンタリーを放送した。

 これは、元妻のプリシラ、ブルース・スプリングスティーン、トム・ペティらのコメントを交えながら、エルビスの軌跡をたどるもの。マネージャーのパーカー大佐の束縛と、おびただしい数の映画出演がエルビスのキャリアを妨げたと結論付けていたのが興味深かった。

 自分にとって、エルビスのすごさはリアルタイムでは分からなかった。遅ればせながら、ビートルズの洗礼を受けて洋楽に目覚めた中学時代。よく一緒に映画を見たYの姉さんがエルビスのファンで、Yの家に行くとエルビスのレコードを聴かされたのだが、正直なところ、ビートルズに比べるとあまりピンとこなかった。

 Yから「エルビスは映画にもたくさん出ている」と聞いて、ちょうどテレビでやっていたので見てみたが、『アカプルコの海』(63/73.7.4.水曜ロードショー)『ゴー!ゴー!ゴー!』(67/74.4.27.土曜映画劇場)『ガール!ガール!ガール!』(62/74.6.8.土曜映画劇場)も、詰まらなくて途中で見るのをやめた覚えがある。唯一見るに耐えたのは、エルビスが白人とインディアンのハーフに扮した、ドン・シーゲル監督の西部劇『燃える平原児』(60/73.12.7.ゴールデン洋画劇場)だった。

 そんなマイナスイメージを一新したのが、コンサートの模様を記録したドキュメンタリー映画『エルビス・オン・ステージ』(70)だった。「そうかエルビスはすごい歌手だったんだ」と認識を新たにしたが、それは「キング・オブ・ロックンロール」としてではなく、フリフリが付いたど派手な衣装で歌うエルビスだったのだ。

 映画を見た翌日、Yに「エルビスすごいじゃん。何故エルビスは日本に来ないの」と聞くと、Yは「エルビスが飛行機嫌いなため」と答えたが、その裏にパーカー大佐の国籍問題があったことを今回初めて知った。

 今回のドキュメンタリーを見ると、エルビスが唯一無二の存在であったこと、「キング・オブ・ロックンロール」と呼ばれる所以、そして、すさまじいまでの歌のうまさを再確認することができるのだが、それと同時に、スター故の悲劇や、マネージメントの難しさ、歌手とシンガーソングライターとの違いなども知らされた思いがした。

 エルビスの邸宅グレイスランドは、マイケル・ジャクソンのネバーランドと通じるものがあるのか…などとも思ったが、その名をタイトルにした『グレイスランド』(98)という映画があった。これは、妻を亡くした青年(ジョナサン・シャーチ)と、自らをエルビス・プレスリーだと名乗る謎の男(ハーベイ・カイテル)との奇妙な交流を描いたロードムービー。エルビス伝説の一端を描いた、ともいえるユニークな映画だった。

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ジョージ・ハリスン&エリック・クラプトン日本公演

2020-08-17 07:00:58 | ビートルズ

ジョージ・ハリスン&エリック・クラプトン日本公演(1991.12.14.東京ドーム)

 ジョン亡き後、リンゴ、ポール、そしてジョージと、それぞれ別々にではあるが、3人のコンサートを全て見ることができたのだから、感慨無量の気持ちになった。大げさに言えば、これで自分の中のビートルズについて、一定の区切りがついたような気もする。

 もちろん、今日のジョージにしても、高音は苦しそうだったし、久しぶりのコンサートということもあり、会心の出来というわけでもなかっただろう。だが、俺のような遅れてきたファンにとっては、彼が演奏し、歌う姿を生で見られただけでも、もう十分なのだ。

 リンゴもポールもジョージも、現役として、過去のわだかまりを乗り越えて、ソロナンバーと並列してビートルズナンバーを披露してくれたことが何よりもうれしい。加えて、ジョージは寡作ながら、いい曲を作ってきたんだなあ、と改めて思った。
  
 そして、かつてパティ絡みの諸々がありながらも、相変わらずのクラプトンとの仲の良さは、不思議といえば不思議なのだが、何と今日はクラプトンのリードギターで「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」が聴けたのだ。

 ほかには、ジョンに捧げられた「オール・ゾーズ・イヤーズ・アゴー=過ぎ去りし日々」に思わず胸が詰まり、『リーサル・ウエポン2』(89)のラストで流れた軽快な「チア・ダウン」に心が躍った。

 ただ、ポールのコンサートの時にも感じたのだが、例えば「アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー」の後には「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」が聴きたいし、「リトル・ピギー」の後には「ロッキー・ラクーン」が、「サムシング」の次は「マックスウェルズ・シルバー・ハンマー」が、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の次は「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」が聴きたくなってしまう。

 つまり、ジョン亡き後、3人での再結成などあり得ないし、してほしくもないのだが、頭の中では別のことも夢想しているのだから、矛盾している。

セットリスト
1.アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー
2.オールド・ブラウン・シュー
3.タックスマン
4.ギブ・ミー・ラブ
5.恋をするなら
6.サムシング
7.美しき人生
8.ダークホース
9.リトル・ピギー
【エリック・クラプトン・ソロ
ブリテンディング
オールド・ラブ
バッジ
ワンダフル・トゥナイト】
10.セット・オン・ユー
11.クラウド9
12.ヒア・カムズ・ザ・サン
13.マイ・スウィート・ロード
14.過ぎ去りし日々
15.チア・ダウン
16.デビルズ・レディオ
17.イズント・イット・ア・ピティ
18.ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィーブス
19.ロールオーバー・ベートーベン

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