『未知との遭遇 ファイナル・カット版』(97)
引っ越してBS4Kが見られるようになった。とはいえ、テレビは旧型のままなので実質は4Kでは映らないのだが…。そこで『未知との遭遇 ファイナル・カット版』を見た。これは製作20年を記念して発表された再々編集版。この映画もいろいろなバージョンがあって、ややこしい。
『未知との遭遇』(77)(1978.4.18.テアトル東京)
なかなか姿を現さない宇宙船の登場シーンが圧巻。ラストのラコーム博士(フランソワ・トリュフォー)と宇宙人との手話が感動的。ケーリー・グフィ少年もかわいらしく好演を見せる。主人公役に出世したリチャード・ドレイファスは『ジョーズ』(75)よりも良し。
『未知との遭遇 特別編』(80)(1980.9.25.渋谷東宝)
この素晴らしい映画を2年ぶりに見た。そして、何年たっても、あのラストシーンの感動を忘れることはないだろう。再編集された映画を見る機会はあまりないが、この映画の場合は、あまりにも第一印象が強烈であったため、再編集されたからと言って感動の度合いが大きく変わることはなかった。
オープニングの砂漠での旧戦闘機の発見から、電気技師ロイ・ニアリー(リチャード・ドレイファス)の不思議な体験→狂気→家庭の崩壊、科学者ラコーム(フランソワ・トリフォー)の探求の様子、ジリアン(メリンダ・ディロン)、バリー(ケーリー・グフィ)母子の体験、といった複数のドラマが展開し、その全てがラストの異星人との“未知との遭遇”につながる。
そして、彼ら異星人と親しく接するには、どうやらロイやバリー少年のような純粋さが必要なようだ。だからラコームがロイに言う「君がうらやましい」と。それは誰もが幼い頃は持っていたのに、成長するうちに失ってしまうものなのかもしれない。この映画は、そんなことも語っているような気がする。
クライマックスは、宇宙船との交信に始まり、行方不明だった人々の帰還(「お帰りなさい」と迎えるところが何ともいい)、宇宙船から降り立つ異星人、宇宙船に乗り込むロイたち地球人、そして、この特別編の目玉である宇宙船内部の様子が映り、ラコームと何とも愛らしい異星人との手話での交信、そして飛び立つ宇宙船となる。エンドタイトルに『ピノキオ』(40)の「星に願いを」がちらっと流れるところも特別編ならではだ。
その間、圧倒的な色彩美を見せられながら、夢の中に引き込まれるような感覚に陥り、現実離れをした感動が沸き起こる。そして、いつの間にか目に涙が浮かんでくるのである。そのわけは、自分でもよく分からないが、この映画には人を同化させる力があることだけは断言できる。
ただし、宇宙船内部のシーンは無用だった気がする。オリジナルのままトリュフォーと異星人との手話で終わらせた方が断然いいと思った。
池袋の夜 『スター・ウォーズ』と『未知との遭遇』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a8c92c57c2e2deeb97330766d8abfd5f
【インタビュー】『レディ・プレイヤー1』スティーブン・スピルバーグ監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0252d427482eb27bb9e501c5b7b8acce
【コラム】「1980年代が再びブームに スピルバーグの映画から」
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『E.T.』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3a3bcc49af8f76ddf987f84f51ab1a43