『刑事ジョン・ブック/目撃者』(85)(1985.5.19.丸の内ピカデリー1)
殺人事件の「目撃者」となったアーミッシュの少年とその母親を守ろうとする一人の刑事の活躍を描く。監督はオーストラリア出身のピーター・ウィアー。
この映画の第一の魅力は、ハリソン・フォードの意外性に負うところが大きい。『アメリカン・グラフィティ』(73)で注目され始めてから、どちらかといえばアクション系や硬派な役の印象が強い彼が、この映画では珍しく抑えた演技を見せるからである。(唯一『ハノーバー・ストリート 哀愁の街かど』(79)があったが、成功作ではなかった)
加えて、アーミッシュという、これまで日本ではほとんど知られていなかった民族の存在を描いたところが、『シェーン』(53)や『無法松の一生』を思わせるような、部外者と人妻の恋、ヒーローと少年という、ありきたりのストーリーに厚みを持たせた。
アーミッシュという、文明から離れた民族と、そこに紛れ込んだ都会人である主人公との対比が見事だったし、心が通じ合いながらも、決して結ばれない異民族の関係がやるせなく映るからhttps://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0e7aea1e3edcf1c65f38381d53e7a365だ。
中でも、カーラジオから流れるサム・クックの「ワンダフル・ワールド」に乗って、思わず踊り出してしまうジョン・ブックと、ラジオも曲も知らないアーミッシュの未亡人(ケリー・マクギリス)との、くっつきそうになっては離れ…を繰り返すダンスシーンが、あたかも2人の立場を象徴しているようで印象に残った。
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