アコースティックギターが基調の「ザ・ソング・ウィー・アー・シンギング」、スティーブ・ミラーが参加した「ヤング・ボーイ」は軽快だがどこか哀愁もある。渋い「カリコ・スカイズ」「フレイミング・パイ」と来て、リンゴが参加した「ビューティフル・ナイト」では、マッカートニー節がさく裂する。
大プロジェクト『ビートルズ・アンソロジー』を終え、『フラワー・イン・ザ・ダート』(89)『オフ・ザ・グランド』(93)と続いた、コンサートツアーのバックバンドとの息の合った共演も終わりを告げた。何だか、祭りの後の寂しさを感じる。
このアルバムは、基本的にポールとプロデューサーのジェフ・リンによる多重録音だという。派手さはないが、心にしみるいい曲が多く、ビートルズ解散時の最初のソロアルバム『マッカートニー』(70)や、ジョンの死が影響を与えた『タッグ・オブ・ウォー』(82)を思い起こさせるものがあるが、今回は、愛妻リンダの闘病が大きく影響しているのだろう。どうも、ポールは寂しさや喪失を感じた時に、いいアルバムを作る気がする。
『デイ・アフター・トゥモロー』(04)(2006.11.20.日曜洋画劇場)
ローランド・エメリッヒは、エイリアン襲来の『インデペンデンス・デイ』(96)、『GODZILLA』(98)と来て、今回は冷凍嵐。いやはやカタストロフィー劇が好きだねえ。でも、どれもイマイチ。
前半は、地球温暖化による冷凍嵐の出現と竜巻、大津波によるパニックがCGを駆使して描かれるのだが、後半は、何だか1家族の再会劇みたいになって興ざめさせられる。
これは、アメリカ映画の超大作の悪いパターン(残るか動くかで生死が左右されるのも、毎度のご都合主義)。終末ものとしては、昔々の角川映画『復活の日』(80)の方が、ずっと出来がよかったと思う。