田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『新・ガンヒルの決斗』

2020-08-07 10:23:41 | 映画いろいろ

『新・ガンヒルの決斗』(71)

 この映画の原題は「Shoot out」=(決着をつける)撃ち合い。ガンヒルという町がでてくるだけで、ジョン・スタージェス監督の『ガンヒルの決斗』(59)とは何の関係もない。

 銀行強盗の刑期を終えて出所したクレイ(グレゴリー・ペック)は、自分を裏切ったサム(ジェームズ・グレゴリー)への復讐を企てる。そんな中、昔なじみの女の娘を引き取る羽目になり、クレイは仕方なく彼女を連れてサムのいるガンヒルの町へ旅立つが…。

 製作ハル・B・ウォリス、監督ヘンリー・ハサウェイは、ジョン・ウェイン主演の『勇気ある追跡』(69)と同様。この映画ではペックで同じような線を狙ったのだろうか。とは言え、何だかしまらない西部劇に終わっているのは否めない。

 

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“チャレンジボーイ”轟二郎(三浦康一)

2020-08-07 08:28:05 | 映画いろいろ

 スタントマン出身と言えば、スポーツアトラクションで記録を競う「びっくり日本新記録」に“チャレンジボーイ”として毎週出演していた轟二郎(三浦康一)も亡くなった。

 その「びっくり日本新記録」の流れをくむ「鳥人間コンテスト」を映画化した『トリガール!』(17)で、久しぶりにちらっと顔を見た時はうれしかったのに…。

『トリガール!』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3c993add40e64dbf3c8a30d697a772b4

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名脇役ウィルフォード・ブリムリー

2020-08-07 08:17:58 | 映画いろいろ

 ウィルフォード・ブリムリーが亡くなった。味のある名脇役だった。

 『チャイナ・シンドローム』(79)『ブルベイカー』(80)『スクープ/悪意の不在』(81)『遊星からの物体X』(82)『ホテル・ニューハンプシャー』(84)『ナチュラル』(84)『コクーン』(85)『レモ/第1の挑戦』(85)「頑固じいさん孫3人」(86-88)『ハロー・マイ・トレイン』(87)『コクーン2/遥かなる地球』(88)『ザ・ファーム 法律事務所』(93)…。

 たくさんのいい映画に出たが、中でも『ナチュラル』の監督役と『コクーン』の老人役が絶品。

 『ナチュラル』ニューヨーク・ナイツのレッド・ブロウコーチ役のリチャード・ファンズワースとポップ・フィッシャー監督役のブリムリー。2人ともスタントマン出身の苦労人。弱小チームを率いるこの役には、そうした経歴が見事に反映されていた。

 孫と戯れる『コクーン』のベン・ラケット役。珍しく主演したテレビドラマ「頑固じいさん孫3人」は、この役の延長線上のものだろう。

 

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『イエロー・ハンカチーフ』

2020-08-07 07:20:27 | 映画いろいろ

『イエロー・ハンカチーフ』(08)(2010.4.8.松竹試写室)

 山田洋次監督の『幸福の黄色いハンカチ』(77)のアメリカ版リメーク、というよりも、もともとピート・ハミルのコラムが原作なのだから、里帰り映画みたいなものか。ジョン・フォードの『黄色いリボン』(49)もそうだが、アメリカでは、昔から木などに黄色いリボンを結んで、家から離れていた人を迎える印としたという。70年代初期にはトニーオーランド&ドーンの「幸せの黄色いリボン」といういい歌もあった。

 で、今回の映画だが、監督がインド系の人だからか、『幸福の黄色いハンカチ』への敬意が端々に感じられた。もちろん舞台は日本の北海道からアメリカの南部に移されてはいるのだが、登場人物の思考が東洋的なので、すんなりと映画に入っていけた。きっとオリジナルを何度も見て吸収したのだろう。ただ、惜しいかな回想シーンのうまさではやはり山田洋次に軍配が上がる。

 俳優陣では、健さんの役どころを演じたウィリアム・ハートがとてもいい。今までの彼は、どんな役もうまく演じていたが、インテリの嫌らしさが邪魔をしているところがあった。ところが、この映画ではぶくぶくに太った寂しいブルーカラーの男に成り切っていたのだ。

 妻役のマリア・ベロ(倍賞千恵子の役どころ)、若手のエディ・レッドメイン(武田鉄矢の役どころ)、クリステン・スチュワート(桃井かおりの役どころ)も好演を見せる。

『イエロー・ハンカチーフ』トークイベント(2010.6.22.)
山田洋次監督と桃井かおりを取材

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『フレンチ・コネクション2』ピート・ハミル

2020-08-07 07:10:47 | 映画いろいろ

 亡くなった作家のピート・ハミルはアイリッシュ系でブルックリン育ちの苦労人。日本では、山田洋次監督の『幸福の黄色いハンカチ』(77)の原作となったコラム「Going Home」を書いたことでも有名だ。

 ドーンの名曲「幸せの黄色いリボン」も、てっきりハミルのコラムが基になったものだと思っていたら、実は無関係で、ハミルが「自分のコラムを無断で使った」として、訴訟を起こしたこともあったそうだ。

 「Going Home」は短編集の『ニューヨーク・スケッチブック』に「黄色いハンカチ」として収められたが、その姉妹編とも言える『東京スケッチブック』には、ニューヨークの下町の映画館で見た『七人の侍』(54)の志村喬に憧れたアメリカ人青年が日本にやってくるが…という「八人目のサムライ」なる好短編が載っていた。

 ハミルは、異色西部劇『ドク・ホリディ』(71)や、ロバート・デュバル主演の渋い刑事物の『バッジ373』(73)といった映画の脚本も書いている。

 また、ジョン・フランケンハイマー監督の『フレンチ・コネクション2』(75)では、フランスへ渡ったジーン・ハックマン扮するポパイ刑事が、地元の刑事(ベルナール・フレッソン)に、ニューヨーク・ヤンキースのホワイティ・フォードやミッキー・マントルについて語るシーンがあった。

 ポパイが「自分は刑事になる前はヤンキースのマイナーにいたが、マントルの打撃を見て野球を諦めた」と語っても、野球もヤンキースも知らないフレッソンには全く通じない、というカルチャーギャップを生かした面白いシーンだった。

 川本三郎のインタビューに対してハミルが「ここは自分が書いた」と告白している。「本当は(ブルックリン・)ドジャースにしたかったが、(超有名な)ヤンキースも知らないフランス人が相手だから仕方なかった」と。さすがに生粋のブルックリン子だけのことはある、と感じさせるいい逸話だ。

『フレンチ・コネクション2』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a80833d4d29f099a4d47b557ff5361b9

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