『津軽百年食堂』『まほろ駅前多田便利軒』(2011.8.13.)
(旧ブログ「お気楽映画談議」から)
夫:先週『津軽百年食堂』(大森一樹監督作)と『まほろ駅前多田便利軒』(大森立嗣監督作)の二本立てをギンレイホールで見たね。
妻:『こち亀』に続き、”ご当地映画”続きだったわね。
夫:『津軽~』に出てくる食堂の名前も“大森食堂”だったから、さしずめ“大森祭り”か?! 偶然ながら、どちらも若者の再出発やふるさと愛を描いていた。もちろん映画の内容は異なるけど、こうして2本並べて見ると、プロとアマの違いというか、ベテラン監督と新人監督の差をまざまざと見せ付けられた思いがするなあ。
妻:というと?
夫:片や、『津軽百年食堂』は、明治と現代という二つの時代背景と雑多な登場人物をテンポ良く描いている。簡単に言えば青森のPR映画なんだけど、たとえ、どんな条件で“ご当地映画”を撮ったとしても、映画のプロならそれなりに楽しいものに仕上げてしまうんだな。大森一樹は、伊達にアイドルやゴジラの映画を撮ってきたわけじゃないんだと思ったよ。本人にしてみれば、先に公開された『世界のどこにでもある、場所』のようなシュールな映画が撮りたいのかもしれないけど、映画監督ならばどんなテーマでも撮り続けるということが大切なのではないかな。その意味では立派だと思うよ。
一方、まほろ(町田)を舞台にした『まほろ駅前多田便利軒』は、独り善がりで感情過多のカメラの長回しに違和感があったし、全体のテンポも悪かったな。あまり観客のことを考えて作っていないという感じがしたよ。
妻:確かに見ていてちょっと疲れたわ。でも、松田龍平って、たたずまいが松田優作にそっくり!で、それを見られただけでもよかったかな。
夫:瑛太が「なんじゃいこりゃー」と優作のパロディーをやったら、横にいた龍平が「誰それ。全然似てない」と言う場面もあったね。大森立嗣監督にしてみれば、瑛太と松田龍平を使って、昔の『傷だらけの天使』や『探偵物語』のようなものが撮りたかったのだろうけど、残念ながら雰囲気だけの突っ張り映画に終わっていたな。もう少し観客の気持ちを考えて整理すれば締まったとも思うけど、これが彼のテンポなのかな。ちょっと惜しい気がするけどね。
妻:まあまあ、今後に期待、ということで。
夫:大森一樹監督とは和歌山県の田辺市で毎年行われている「田辺・弁慶映画祭」でご一緒する機会があったけど、素顔は、スティーブ・マックィーンやB級アクションが大好きな、愛すべき映画好きのおっちゃんだったよ。
妻:難しいことは分かりませんけど、会ったことのある大森一樹監督には情が移っちゃって若干ポイント高し?
完成披露試写会を取材した(2011.3.4.ニッショーホール)
『英国王のスピーチ』(2011.8.29.)
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