宮益坂下の「渋谷東映」も12月4日で閉館になるという。ここは前を通ることは多かったが、おいにせがまれて見た「東映まんがまつり」以外はあまりなじみはなかったのだが、それでも閉館と聞くと一抹の寂しさを感じる。
『ゲゲゲの鬼太郎 大海獣』(1996.7.14.)
今回、驚いたのは、水木しげるの原作漫画を大きく改変していた点だった。原作の、功名心に取りつかれた科学者が、鬼太郎に注射を打って海獣に変身させてしまう件が全くカットされ、ただの外国対日本の妖怪同士のバトルものになってしまっていたのだ。
まあ、社会の変化や差別問題も含んだ表現の規制もあり、昔通りにというわけにはいかなかったのかもしれないが、この場合、科学万能主義に一石を投じるという、原作の骨子は残すべきだったと思う。
何々、子どもはそんなところまで見ていないって? そんなことはない。事実、この俺ですら、子どもの頃に読んだ原作漫画の衝撃をちゃんと覚えているのだから。子どもにこそ、しっかりとしたものを見せるべきだと思う。
『地獄先生ぬーべー 午前0時ぬーべー死す!』『ゲゲゲの鬼太郎 おばけナイター』(1997.3.16.)
今回の2本のアニメに共通して描かれていたのが、子ども同士のいじめや仲間外れだったのが、少々気になった。しかもそれを解決するのが、ぬーべー先生や鬼太郎という、実在しない妖怪となると、笑ってばかりもいられない。
実際のところ、今の学校や子ども同士のコミュニティでのこうした問題は、人間だけでは解決できないほど、深刻なものなのかと考えさせられてしまった。
もちろんこの映画は、大人が作ったものだから、そう大げさに考えなくてもいいのかもしれないが、子どもたちを信じてやりたいと思う半面、彼らの行動に対して、ある程度は大人が介入しなければならないのではないかという気もする。
『長靴をはいた猫』『銀河鉄道999 エターナル・ファンタジー』(1998.3.29.)
懐かしの東映まんがまつりの中でも傑作の一つをリバイバル公開。子どもの頃に夢中になって見たものを、おいと一緒に見るという時の流れに、感慨深いものを感じていると、おいは横でスヤスヤと寝ている。いやはや、勝手な思い入れはよくないということだ。