朝のラジオでサリンジャーの訃報に接した。91歳だったと。ついにこの時が来たのかという実感。ニューハンプシャーでと言っていたね、自宅で亡くなったのかしら。詳しくはわからないけど今日がバナナフィッシュには最良の日だったのかな。サリンジャーと言えば「ライ麦畑でつかまえて」野崎孝さんの訳が絶品。目から鱗の本だった。青春のバイブルと言えるかもしれない。この本を知ったのは、伊丹十三さんが、まだ一三と名乗っていた頃に書いた「おんなたちよ」のなかで紹介されていた一文を読んだ時だった。一三は、「ヨーロッパ退屈日記」で「女達よ」は十三になってからだったかな。学生の頃だものちょっと記憶が定かではない。そこに書かれていたのが理想の女性として本の中ではサリンジャーの「キャッチャーインザライ」が一番好きな小説でと言うところがあってそれではじめて田舎の少年は「サリンジャー」を頭の中に叩き込んだ。それから1年か2年かして本を買って読んだ衝撃、完全に参ったと言う感じ。次は原書を買って読んでみたけどあの当時のスラングが全く分からなくって時間はたっぷりあったけど途中でやめた。アメリカ人は、これよんで笑うんだから偉いなと変な感心をしてた。それからサリンジャー三昧で小品から中篇とほとんど読んだ。サリンジャーの研究とかいう類の本は読んでないけれど。死んでからも「相違ことは、ホールデンが嫌うから」とか分からなければ「シーモアに聞いてください」とか「フラニーに気をつけてやってくれないかゾーイ」とどこかで言っていそうだな。彼らの純粋さ、僕の中にもある。90%は、でたらめだけど、してはいけないことは、してはいけないという頑なさというか凄くとがったクリスタルのような純粋さ僕の中にあることをサリンジャーから教わった。サリンジャー先生さよなら。
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