黒と白の猫だった。背中から頭まで黒。腹から顎まで白の雌猫だった。良くしゃべり、お行儀のよい猫だった。ボクの膝の上が大好きな猫だった。ネズミ、トカゲ、スズメ、狩りの得意な猫だった。最後の前の日にはよく透る声で鳴いて何かを知らせようとしたみたい。ボクがのぞき込むとキミは目を細めた。世の中にお別れを告げたのかな。猫の仲間に知らせたのかな。
フランス語で幸せって意味のウルーって名前だった。24年くらい生きていた。こんなに長生きの猫見たことないって言われてた。
キミはもう鳴かないのか。僕をずっと追いかけてきたキミ。ボクに話しかけてきたキミ。ボクの膝の上で眠ったキミ。キミはもう鳴かないのか。