みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

春の俳句その2(わたせせいぞう氏)

2006年04月01日 | 俳句・短歌
緑陰に嘘なきひとと口づけす
(わたせせいぞう)

白雨(ゆうだち)やひと筆描きの恋はとけ
(わたせせいぞう)

春泥をゆくチャップリン歩きして
(添削コーナー、詠み人知らず)

プーサンのリュックよちよち春の泥
(横浜市 松井伸子)

学校へ 走れば二分 春の泥
(姫路市 玉作奈々緒)

恋歌のごとく降りゐる春の雪
(茨木和生)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
・「緑陰」の句。氏のイラストを思い浮かべて味わうべし。氏によれば、俳句には省略されているが、彼女のブラウスは白色なのだそうだ。白色しかないと思うけれど・・・。今回のゲストのイラストレーター、わたせせいぞうさんは、氏のイラストそのままに爽やかな感じの方ですね。

・「白雨」の句。「白雨」で「ゆうだち」と読むんですね。もやもやが、さっと流し去られた、すがすがしい気持。もつれていても結局は一本の糸だったんだ・・・。上手い。イラストも俳句も、氏ならではの作風だ。

・「チャップリン」の句。雨で水溜りができたんだろうな。どろどろを避けて、へんてこに歩くのをチャップリンに例えるのは、上手いと思う。

・「プーサン」の句。ちいさな子供の後姿、大きなプーサンのリュックから、あんよと頭が飛び出して、よちよち歩く様子が、ほほえましい。

・「学校」の句。おそらくは中学生か高校生の女の子なのだ。田舎で、春の泥道が恨めしい。時間がない。走っていきたい、でも走って行ったら汚れる。どうしよう?と逡巡する様子が、これまた微笑ましい。

・「春の雪」の句。「降りゆく」じゃなくて「降りゐる」で、とても余韻が出てるように思う。

今回は春泥がテーマ。素人は、春といえば、花なのだけど、泥である。地面にもあまねく春は訪れる。空耳家の周りは、さほど都会というわけでもないのに、もう泥の道は残っていないなぁ・・・

(3月のNHK俳句で気に入った句でした。)
(写真は、自宅の庭より。春だ。名古屋は桜はまだ3分ぐらいで、あと一息。)
コメント (2)
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