
複数の報道が「野菜高騰」と報じている。何れも夏の暑さや台風の影響によるという。その高騰ぶりは通常の1.5倍から1.8倍とか。歳末に向けてさらに値上がりだろう、と予測している。師走になると、何もかも値上がりするのは例年通りだが、その上げ幅が大きい。
高騰の原因が自然のなせること、と言われると打つ手がないのか。トンカツ屋の主人が「うちではトンカツとキャベツだけ提供している。深刻です」という声が、キャベツの大盛り以上の盛り上がった悩みを顔に見た。ハウス栽培の野菜価格は今のところ影響がないとされるが、野菜不足に伴って値上がりしないか心配だ。
市内のレンコン農家は師走で全国各地への出荷で大忙し。岩国のレンコンは、篤農・村本三五郎が岡山から備中種を持ち帰り、これを門前の石代に植えたのが始まりで、それから広がり門前バスといった。1181(文化8)年に藩営として始まった。岩国レンコンの特徴は、しゃきしゃきとした歯触り、かじると糸を引くでんぷん質の腰のある粘りなどで、味の良さは格別(岩国通になろう参照)。
近年、レンコンの収穫量が減少しているのは後継者不足による栽培面積の減少が原因といわれる。一部では機械化されているようだが、目にする収穫作業は厳しい労働だと感じる。相当に年配の板前さんが「いい野菜がなかったら世界遺産にはなれなかった」と和食について話されていた。そうかもしれない、その話は農家の人への感謝をこめた味のある話だった。
「ン」の付くものを食べると運が増す。何年か前に正月帰省しなかった孫が電話での年賀挨拶で話した。ニンジン、コンニャク、そしてレンコンを上げた。レンコンはンが二つも付く。親戚から自家用に植えられたレンコンが届いた。どう姿を変えて運に連なるのだろう。