日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

竹抱桜

2020年06月18日 | 地域

 桜、染井吉野は樹齢を重ねると幹の中心が空洞になる、何かで教わったことがある。その数三千本といわれる錦帯橋畔や吉香公園の染井吉野には空洞化した大樹は珍しくない。それでも季節になると桜の花をいっぱいに咲かせ、訪れた人を喜ばせ楽しませてくれる。錦帯橋畔には欠かせない貴重な存在といえる。

 そんな空洞のある数多い大樹の中で珍しい1本を見つけて10数年になる。それは空洞から1本の孟宗竹が覗き始めていた。その桜の木の周囲は竹が茂っており、自然の織りなす面白さだと楽しんでいた。勝手に、竹を抱く桜という意味で「竹抱桜」と名付けた。記憶しているにはこんなわけがある。なお、しばらくして「抱竹桜」という表札が立った。

 退職して持っていた棒状の携帯電話を二つ折りに変えた直後だった。いまはガラケイと呼ばれ、まもなく利用できなくなるものの、その新しい携帯にはカメラが付いており初めて撮ったのが「竹抱桜」だった。そのころ携帯で撮った写真の募集があり投稿したが、掲載にはならなかった。しばらくして記者の取材記事が載った。

 自粛もあって足を延ばしかねていたので気づくのが遅れたが、その抱かれた竹が枯れた。竹の寿命は10年から20年、50年と諸説ある。枯れた原因は、周囲の竹をすべて伐採し桜を独立させたことで、根の部分に異変を起こし枯れた、私はそう推測する。竹の姿が消え桜は映えるようになった。しかし、たった1本の竹ではあるが面白い自然のなりわいはもう戻ってこない。
コメント
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