昨年発売のCDだが、年越しで感想を記す。
『僕以外の誰か』。
ラップ調で始まり、激しいリズムで、ダンスしながら歌うような楽曲だ。構成や曲調が複雑だが、サビの「僕以外~」という部分だけは覚えやすい。
歌詞は別離の歌だ。僕は君の前から去るので、僕以外の誰かを探してくれと歌っている。別離の理由は明らかではない。「運命のミステイク」などと言っているが、どうしても恋人にはなれない理由があるのだろう。ロミオとジュリエットの時代ならいざ知らず、現代社会においてそのような理由はあまり想像できないので、自己犠牲的なヒロイズムに浸っている「僕」にはあまり共感できない。
『プライオリティ』。(木下百花)
木下百花のソロ曲。今回のCDでは最も印象に残った曲だ。
電子的なサウンドに乗せ、アクセントが後ろにあるような難しいリズムに乗せ、奔放なメロディーが続く。サウンドの感じは去年のじゃんけん女王藤田奈那の『右足エビデンス』に似ている。声が電気的に加工されているのも同じだ。きっとダンスも激しいのだろう。
歌詞はドラマ性を感じるが、難解だ。彼女が一番大切だと気付いたので、奪い出して逃げたいといった内容のようだが、詳しい状況は想像するしかない。サングラスをかけた怖い人にガードされている、派手な衣装の彼女とは何者か?お金で解決するなら僕が替わりに働くとも言っているが、彼女は借金のカタに風俗で働かされているのか?世界の不幸を彼女が一人で背負っているとはどういうことか?
アスファルトに散らばったネックレスの真珠をしゃがみこんで拾い集める姿はみじめだが、みじめさを晒してでも一番大事なものを拾いたいという心情を写していて、案外感動的な比喩になっている。
『太陽が坂道を登る頃』。(研究生)
久し振りに出た「通学路の片思いソング」だ。以前のAKB48グループにはこの手の曲が多数あった。『偶然の十字路』『柊の通学路』『初恋の踏切』などなど。片方が自転車通学なのが共通点だ。電車やバス通学を含めるともっと沢山ある。
今回の『太陽が坂道を登る頃』は、お互い部活の朝練に出るため早朝の坂道ですれ違う2人を描いている。彼の方は徒歩で、彼女は自転車だ。「十字路で偶然会いたい」という歌詞まであり、『偶然の十字路』を充分意識しているようだ。そして、彼はまだ「おはよう」と挨拶すらできていない片思いだ。それなのに「先輩に言ったら会わせろと言われるので秘密」などとよく言うよ。また彼女をバスケ部だと勝手に想像している。『ウインブルドンに連れて行って』は彼がラケットを持っていたから根拠があったが、この曲の彼は妄想癖がかなり強いようだ。こういう定番のテーマを歌い続けるのもアイドルポップの使命だと思う。
イントロからスタッカートで小気味よく刻むマーチのリズムが心地よい楽曲だ。
『途中下車』。
爽やかないい曲だと思いながら聴いていると、歌詞の内容から誰かの卒業ソングなのだろうと思い至った。始発駅から乗っていた列車を降りるのだから1期生だろう。調べたら上西恵の卒業ソングだった。
歌唱メンバーは同期という訳ではなく、妹を含む若いメンバーと歌っているようだ。関わりの深いメンバーを集めたのだろうか。
終着駅まで乗らずに卒業することを「途中下車」と称することに違和感を覚える。NMB48の活動に終着駅は決まっておらず、山手線のようなものだとしたら、いずれは誰もが下車しなければならない。上西にとって降りるべき駅が見つかったということだろう。
『恋は災難』。(チームM)
古めかしいロックンロール。『Virgin Love』や『涙の湘南』のような初期AKB48の劇場公演曲の雰囲気がする。似たようなメロディーやアレンジのせいかもしれないが。
パーティーで偶然出会って電撃的な恋に落ちてしまった相手のことを「災難のようだ」歌っている。赤ワインをこぼされた相手の方が災難だと思うが、私も「胸に消えない染み」を残されたというのは「赤ワイン」の縁語になっていて洒落た歌詞だ。
『孤独ギター』。(チームN)
山本彩のアルバムに入っていてもおかしくない曲だと思ったら、山本彩作曲作品だった。作詞は秋元康。
聴衆の中の意中の彼女に向けて弾いていた『ハートエレキ』とは異なり、この曲の彼は孤独と戦いながら弾いている。歌唱も山本のソロ部分が際立っている。
『Let it snow!』。(チームBⅡ)
せっかくの初デートなのにあいにくの雨。いっそ雪に変わってしまえという歌。愛があれば悪天候でも楽しいというのは『雨の動物園』だが、似たようなコンセプトの曲。楽しげな歌唱が好ましい。
『僕以外の誰か』。
ラップ調で始まり、激しいリズムで、ダンスしながら歌うような楽曲だ。構成や曲調が複雑だが、サビの「僕以外~」という部分だけは覚えやすい。
歌詞は別離の歌だ。僕は君の前から去るので、僕以外の誰かを探してくれと歌っている。別離の理由は明らかではない。「運命のミステイク」などと言っているが、どうしても恋人にはなれない理由があるのだろう。ロミオとジュリエットの時代ならいざ知らず、現代社会においてそのような理由はあまり想像できないので、自己犠牲的なヒロイズムに浸っている「僕」にはあまり共感できない。
『プライオリティ』。(木下百花)
木下百花のソロ曲。今回のCDでは最も印象に残った曲だ。
電子的なサウンドに乗せ、アクセントが後ろにあるような難しいリズムに乗せ、奔放なメロディーが続く。サウンドの感じは去年のじゃんけん女王藤田奈那の『右足エビデンス』に似ている。声が電気的に加工されているのも同じだ。きっとダンスも激しいのだろう。
歌詞はドラマ性を感じるが、難解だ。彼女が一番大切だと気付いたので、奪い出して逃げたいといった内容のようだが、詳しい状況は想像するしかない。サングラスをかけた怖い人にガードされている、派手な衣装の彼女とは何者か?お金で解決するなら僕が替わりに働くとも言っているが、彼女は借金のカタに風俗で働かされているのか?世界の不幸を彼女が一人で背負っているとはどういうことか?
アスファルトに散らばったネックレスの真珠をしゃがみこんで拾い集める姿はみじめだが、みじめさを晒してでも一番大事なものを拾いたいという心情を写していて、案外感動的な比喩になっている。
『太陽が坂道を登る頃』。(研究生)
久し振りに出た「通学路の片思いソング」だ。以前のAKB48グループにはこの手の曲が多数あった。『偶然の十字路』『柊の通学路』『初恋の踏切』などなど。片方が自転車通学なのが共通点だ。電車やバス通学を含めるともっと沢山ある。
今回の『太陽が坂道を登る頃』は、お互い部活の朝練に出るため早朝の坂道ですれ違う2人を描いている。彼の方は徒歩で、彼女は自転車だ。「十字路で偶然会いたい」という歌詞まであり、『偶然の十字路』を充分意識しているようだ。そして、彼はまだ「おはよう」と挨拶すらできていない片思いだ。それなのに「先輩に言ったら会わせろと言われるので秘密」などとよく言うよ。また彼女をバスケ部だと勝手に想像している。『ウインブルドンに連れて行って』は彼がラケットを持っていたから根拠があったが、この曲の彼は妄想癖がかなり強いようだ。こういう定番のテーマを歌い続けるのもアイドルポップの使命だと思う。
イントロからスタッカートで小気味よく刻むマーチのリズムが心地よい楽曲だ。
『途中下車』。
爽やかないい曲だと思いながら聴いていると、歌詞の内容から誰かの卒業ソングなのだろうと思い至った。始発駅から乗っていた列車を降りるのだから1期生だろう。調べたら上西恵の卒業ソングだった。
歌唱メンバーは同期という訳ではなく、妹を含む若いメンバーと歌っているようだ。関わりの深いメンバーを集めたのだろうか。
終着駅まで乗らずに卒業することを「途中下車」と称することに違和感を覚える。NMB48の活動に終着駅は決まっておらず、山手線のようなものだとしたら、いずれは誰もが下車しなければならない。上西にとって降りるべき駅が見つかったということだろう。
『恋は災難』。(チームM)
古めかしいロックンロール。『Virgin Love』や『涙の湘南』のような初期AKB48の劇場公演曲の雰囲気がする。似たようなメロディーやアレンジのせいかもしれないが。
パーティーで偶然出会って電撃的な恋に落ちてしまった相手のことを「災難のようだ」歌っている。赤ワインをこぼされた相手の方が災難だと思うが、私も「胸に消えない染み」を残されたというのは「赤ワイン」の縁語になっていて洒落た歌詞だ。
『孤独ギター』。(チームN)
山本彩のアルバムに入っていてもおかしくない曲だと思ったら、山本彩作曲作品だった。作詞は秋元康。
聴衆の中の意中の彼女に向けて弾いていた『ハートエレキ』とは異なり、この曲の彼は孤独と戦いながら弾いている。歌唱も山本のソロ部分が際立っている。
『Let it snow!』。(チームBⅡ)
せっかくの初デートなのにあいにくの雨。いっそ雪に変わってしまえという歌。愛があれば悪天候でも楽しいというのは『雨の動物園』だが、似たようなコンセプトの曲。楽しげな歌唱が好ましい。