『摩擦係数』。
欅坂46時代から一貫して歌い続けているプロテストソングだ。摩擦を恐れず、言いたいことを言うと歌っている。『黒い羊』とよく似た世界観で、妙な安心感がある。プロテストソングで安心感というのも何か違うと思わなくもないが、このグループにはこういう楽曲がよく似合う。アルバムタイトル「As you know?」(ご承知のとおり)にぴったりの楽曲だ。
「殴るよりも殴られろ」という歌詞の意味が掴みづらいが、出る杭を叩く側より、出て叩かれる杭になれ、という意味だろう。
『条件反射で泣けてきた』。
曲調が印象的。ジャズなのか、チャールストンなのかわからないが、弾むようなピアノアレンジはお洒落だ。
昔付き合っていた彼女との思い出の詰まった麻布十番あたりを歩いていたら、条件反射で泣けてきたという内容。結局、元カノを忘れられない未練たらたらの男の歌なのだ。その未練がましい恰好悪さを「条件反射じゃしょうがない」と言い訳しているのがこの曲のミソ。自分の意志ではコントロールできないのだから、確かに仕方ないよね。素直でよろしい。
「浪花屋のたい焼き」という固有名詞は、乃木坂46『他の星から』に出てくる「紀の善のあんみつ」を思い出す。
『One-way Stairs』。
「必要なものは何でも手に入る迷い込んだ雑居ビル」とは一体何の比喩何だろう。しかも、そのビルの階段は登りだけ。一方通行で、降りることはできない。現実ではありえない違法建築。
おそらくそれは、人生とか、青春とかの隠喩なのだろう。もしかしたら普通の人生、青春ではなく、ドロップアウトした特殊な人生、青春だと言いたいのかもしれない。
鬱屈したマイナスのエネルギーが渦巻いているような曲調も妙に耳に残る。
『タイムマシンでYeah!』。
明るい能天気な歌だ。偶然遭遇した元彼女に、タイムマシンに乗って昔のように付き合おうと誘っている。
そんなに好きなら偶然など待たず、積極的に会いに行っているはずで、その場のノリなんだろう。でも、なんだか幸福感に溢れていて、聴いていてこっちまで幸福な気持ちになって来る。
同じくタイムマシンをモチーフにした、前田敦子『タイムマシンなんていらない』もまた幸福感に溢れた楽曲だったことを思い出す。
『ずっと春だったらなあ』。
なんだかまったりした歌だ。
遠くの大学に行きたいと相談して来た彼女に対して、賛成すべきか反対すべきか、正解の「手掛かり」を彼女の表情から読み取ろうとしている時点で、彼の恋は詰んでいる。正解など求めずに、自分の正直な気持ちを伝えるべきなのだ。「大学なんてどこでもいいじゃない(遠くにはいかないでほしい)」と言ったらどうなったかと、うじうじ考えているが、「もしもの話さ」と言う通り、口には出せない。
似たような状況の楽曲がある。東京の大学に行くという彼女を快く送り出せなかったのが『酸っぱい自己嫌悪』の彼だ。賛成しても、反対しても、どちらでも後悔することになるのだ。
「一瞬の優しさと一生の後悔を天秤に掛けながら僕たちは生きている」と歌っていて、印象的なフレーズだが、それらが均衡して両立することは無いのだと思う。好むと好まざるとに関わらず、どちらかを選ばなければならないのが現実だ。
ずっと春だったらなあ、というモラトリアムを求める心情には激しく共感する。
欅坂46時代から一貫して歌い続けているプロテストソングだ。摩擦を恐れず、言いたいことを言うと歌っている。『黒い羊』とよく似た世界観で、妙な安心感がある。プロテストソングで安心感というのも何か違うと思わなくもないが、このグループにはこういう楽曲がよく似合う。アルバムタイトル「As you know?」(ご承知のとおり)にぴったりの楽曲だ。
「殴るよりも殴られろ」という歌詞の意味が掴みづらいが、出る杭を叩く側より、出て叩かれる杭になれ、という意味だろう。
『条件反射で泣けてきた』。
曲調が印象的。ジャズなのか、チャールストンなのかわからないが、弾むようなピアノアレンジはお洒落だ。
昔付き合っていた彼女との思い出の詰まった麻布十番あたりを歩いていたら、条件反射で泣けてきたという内容。結局、元カノを忘れられない未練たらたらの男の歌なのだ。その未練がましい恰好悪さを「条件反射じゃしょうがない」と言い訳しているのがこの曲のミソ。自分の意志ではコントロールできないのだから、確かに仕方ないよね。素直でよろしい。
「浪花屋のたい焼き」という固有名詞は、乃木坂46『他の星から』に出てくる「紀の善のあんみつ」を思い出す。
『One-way Stairs』。
「必要なものは何でも手に入る迷い込んだ雑居ビル」とは一体何の比喩何だろう。しかも、そのビルの階段は登りだけ。一方通行で、降りることはできない。現実ではありえない違法建築。
おそらくそれは、人生とか、青春とかの隠喩なのだろう。もしかしたら普通の人生、青春ではなく、ドロップアウトした特殊な人生、青春だと言いたいのかもしれない。
鬱屈したマイナスのエネルギーが渦巻いているような曲調も妙に耳に残る。
『タイムマシンでYeah!』。
明るい能天気な歌だ。偶然遭遇した元彼女に、タイムマシンに乗って昔のように付き合おうと誘っている。
そんなに好きなら偶然など待たず、積極的に会いに行っているはずで、その場のノリなんだろう。でも、なんだか幸福感に溢れていて、聴いていてこっちまで幸福な気持ちになって来る。
同じくタイムマシンをモチーフにした、前田敦子『タイムマシンなんていらない』もまた幸福感に溢れた楽曲だったことを思い出す。
『ずっと春だったらなあ』。
なんだかまったりした歌だ。
遠くの大学に行きたいと相談して来た彼女に対して、賛成すべきか反対すべきか、正解の「手掛かり」を彼女の表情から読み取ろうとしている時点で、彼の恋は詰んでいる。正解など求めずに、自分の正直な気持ちを伝えるべきなのだ。「大学なんてどこでもいいじゃない(遠くにはいかないでほしい)」と言ったらどうなったかと、うじうじ考えているが、「もしもの話さ」と言う通り、口には出せない。
似たような状況の楽曲がある。東京の大学に行くという彼女を快く送り出せなかったのが『酸っぱい自己嫌悪』の彼だ。賛成しても、反対しても、どちらでも後悔することになるのだ。
「一瞬の優しさと一生の後悔を天秤に掛けながら僕たちは生きている」と歌っていて、印象的なフレーズだが、それらが均衡して両立することは無いのだと思う。好むと好まざるとに関わらず、どちらかを選ばなければならないのが現実だ。
ずっと春だったらなあ、というモラトリアムを求める心情には激しく共感する。